テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

ネタバレ備忘録 ~「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」①

2013-04-15 | ドラマ
 「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」は、終盤で種明かしをされる事がいくつかあります。
 それらを今から明かしますので、未見の方には“ネタバレ注意”です。





 お祖母ちゃんの所の間借り人のお爺ちゃん。勘のイイ人はすぐに気が付いたかもしれませんが、あの人はオスカーのお祖父ちゃんですネ。つまり、「9.11」で死んだトーマスの父親です。
 第二次世界大戦の末期、1945年のドレスデン爆撃で両親を亡くしたショックから口が利けなくなったらしいのですが、ただそれが幾つの時の事だったのかが分かりませんでした。子供の頃だったのか? その後に結婚したのか?・・など。
 原作本に関するウィキペディアにある程度の答えがありました。

<作品ではオスカーを語り手とする主軸の物語とともに、失踪したオスカーの祖父がまだ生まれぬ息子(オスカーの父)に当てて書いた手記、オスカーの祖母による回想が交互に差し挟まれており、二人が体験したドレスデンにおける空爆の悲劇が911の悲劇と重ねあわされる。>

 何処かでお祖母ちゃんとお祖父ちゃんは連絡は取れる関係だったのでしょう。息子が死んだのを知った祖父ちゃんは祖母ちゃんの所にやって来て、そのまま(孫には偽って)間借り人として住み続けます。
 ある夜、お祖母ちゃんが留守の時にやってきたオスカーは初めて間借り人と出くわし、お祖母ちゃんが言ったような怖い人ではないと知ったオスカーは、自分がパパの部屋で見つけた鍵の鍵穴を探しているんだと話し、老人は一緒に探してあげようかと申し出るのです。
 映画の中盤は、この老人と孫のロード・ムービー的味わいがありますね。
 老人にとっては亡くなった息子の代わりでもあり、初めての孫というものとのふれあいでもある。勿論、そういう関係であることは少年には言わないのですが。
 ある時点で少年は老人が自分の祖父であると気付きます。ちょっとした仕草がパパに似ている。お祖父ちゃんに間違いない。パパが顔も知らないと言っていたお祖父ちゃんだ。
 オスカーが老人が祖父だと気付いた後、鍵穴探しよりももっと突っ込んだ告白をします。“あの最悪の日”に留守電に入っていたパパの声を老人に聞かせるのです。
 あの日の後、その留守電を自分だけの秘密にしておこうと、少年は同型の受話器を店で新しく買い、留守電の残っている受話器を隠してしまったのですが、それをお祖父ちゃんに聞かせるのです。同じ悲しみを共有しようとしたのでしょうが、老人には数十年前の苦しみに匹敵するショックであったと思われます。少年の部屋からの帰りしなに、老人は鍵穴探しはもうやめようと告げるのです。

 その夜、オスカーがお祖母ちゃんの部屋を双眼鏡で覗くと、彼女がお祖父ちゃんに何か詰問をしている様子で、その後お祖父ちゃんが部屋を出て行くのが見えました。お祖父ちゃんがオスカーとの鍵穴探しなどを告白し、それにお祖母ちゃんが怒ったのでしょう。タクシーに乗り込むお祖父ちゃんに『お祖父ちゃんだろ!?』と詰め寄り、またも家族の前から消えていこうとするのをなじるのです。

 終盤では、鍵穴探しのお礼に沢山のブラックさん宛てに手紙を書くオスカーですが、お祖父ちゃんにも手紙を書きます。帰って来てと。
 さりげなくお祖父ちゃんを受け入れるお祖母ちゃんのシーンが嬉しいですね。


(ネタバレは続く)
 

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