テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

[さらばブロンソンよ!]

2003-09-16 | [コラム]
 チャールズ・ブロンソンが亡くなって約2週間。先週末の週刊芸能ニュースにいくつか取り上げられていて、過去の人でなく、思い出の人であったことにちょっとホッとした。訃報が流れた翌日に「荒野の七人」(1960)を借りようと出掛けたが、一つ目の書店兼ビデオ店には置いてなく、二つ目のビデオ店でやっと見つけたからだ。しかも、どちらの店でもレジのパソコンでチャールズ・ブロンソンで検索を御願いしたら何にもヒットしなかった。

 特にブロンソンのファンというわけではない。「大脱走(1963)」は大好きな映画でこれを借りようかとも思った。しかし、「荒野の七人」の彼の印象がちょっと薄いのを思いだし、これにした。どちらもジョン・スタージェス監督。ユル・ブリンナースティーブ・マックイーンロバート・ボーンジェームズ・コバーン等、実に懐かしい俳優達。黒澤映画の西部劇版。映画は流石にちょっと古くさかった。子供との絡みが似合っているブロンソン。結末が想像通りだったのには、かえってガックリ。彼の顔を見ながら、日本のスポーツ出身のタレント"照英"を思い出してしまった。

 日本のお茶の間には1970年の男性化粧品のコマーシャルで人気者になった。バックで流れたジェリー・ウォーレスの「男の世界」も70万枚の大ヒットで、我が家にもEPレコードがあった。映画俳優としては、その2年前当時人気絶頂のアラン・ドロンと共演した「さらば友よ」(1968)でブレイクしたと言っていいだろう。フランスの二枚目とのコンビはフランスでも日本でも好評だった。

 出演作のほとんどがアクション物で、同じ監督同じスタッフとの作品が多い。スタージェス監督とは「さらばバルデス(1973)」でも一緒。J・リー・トンプソンマイケル・ウィナーの監督作品は10作ずつくらいあるのではないだろうか。そして、奥さんジル・アイアランドとの共演作といったら数え切れない。

 日本人として忘れてならないのは、1971年の「レッド・サン」だ。監督は007シリーズで有名なテレンス・ヤング。西部劇にアラン・ドロンが出て来て、さらに三船敏郎が侍姿で出てくるのだ。当時はアメリカン・ニューシネマの隆盛期で、そちらに興味のあった私は、この映画は見なかった。ただ、予告編は何度か見た。今思えば、これも是非見ておきたい映画だった。

 ネットのデータベースでブロンソンの作品群を調べていて、「レッド・サン」以外にあと4つ見てみたいものが出て来た。

 一つは、「おませなツインキー(1969)」。リチャード・ドナー作品で、共演がスーザン・ジョージ。なんとブロンソンが作家の役で、十代のギャルと恋愛ごっこをするらしい。スーザンも懐かしいし。

 二つ目は、「インディアン・ランナー(1991)」。ブロンソンは主役ではないが、マドンナの元夫、「デッドマン・ウォーキング」「アイ・アム・サム」で好演のショーン・ペンの第1回監督作品。晩年のブロンソンを見てみたい。

 三つ目は「テレフォン(1977)」。「ダーティー・ハリー(1971)」のドン・シーゲル監督作品で、音楽も"ハリー"と同じラロ・シフリンピーター・ハイアムズスターリング・シリファントの共同脚本のサスペンスもので、米ソ冷戦下のアメリカでのソ連人スパイのテロ物と聞けばこれはもう、見たくて見たくてたまらなくなった。共演は、抑えた演技の光るリー・レミック

 最後は、「雨の訪問者(1970)」。新作として劇場で見た作品で、ルネ・クレマンのサスペンスもの。フランシス・レイの主題曲が美しく、新人マルレーヌ・ジョベールのショートカットが可愛らしかったのを覚えている。もう一度見てみたいが、我が家の近くのビデオ店にはこれがなかった。トホホ。
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2 コメント

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マルレーヌ・ジョベールは (anupam)
2005-08-24 23:40:07
当時すんごい人気だったらしいですよ、フランスでは。日本人のジャーナリストがパリで彼女にインタビューすることになって向かう道中のタクシーの運ちゃんに「お願いだがら、マルレーヌを日本に連れていかないでくれよ~~」って言われたほどだったんですって。日本では、まあまあ・・って感じでしたが。

でもレンタル屋さんに「雨の訪問者」がないっていうのも・・何かさびしいですね。あんなにヒットしたのに・・
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人気者 (十瑠)
2005-08-25 07:20:56
データを調べたら、これデビュー作じゃないんですね。ゴダールの「男性・女性」(←未見)あたりから出ているらしい。



>日本に連れていかないでくれよ~~



って、誰か先例がいたのかな?ドロン?ダニエル・ビダル?



スタイルが良かったんで、ファッション・モデルが映画デビューしたみたいな感じでしたね。

テーマ曲もよく聞きましたよねぇ。
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