テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

華麗なる賭け

2005-03-09 | サスペンス・ミステリー
(1968/ノーマン・ジュイソン製作・監督/スティーヴ・マックィーン、フェイ・ダナウェイ、ポール・バーク、ジャック・ウェストン、ヤフェット・コットー、サム・メルヴィル)


 思い出の作品から。
 67年のアカデミー作品賞を獲った「夜の大捜査線」の監督、ノーマン・ジュイソンが、その翌年に、大スタースティーヴ・マックィーンと組んで作った洒落た逸品。

 マックィーンは、実業家として成功していながら、ゲーム感覚で銀行強盗を計画するトーマス・クラウンを演じる。彼は、自分は一切手を染めず、しかも、実行する人間もお互いを知り得ないシステムを作って楽しむ男。

 相手役フェイ・ダナウェイは、マックィーンに惹かれながらも、仕事として彼を追いつめる女性保険調査員を演じた。アーサー・ペンの「俺たちに明日はない(1967)」のボニー役で注目され、オスカー候補にもなった新人だが、その後デ・シーカ監督の「恋人たちの場所(1968)」でM・マストロヤンニと浮き名を流したりして、美形ではないが退廃的なムードをもった女優だった。この映画では、キャリア・ウーマン風のキリリとしたところも見せた。

 冒頭、一回目の銀行強盗の時に、スクリーンを大小様々な大きさのフレームに分けて、各メンバーの動きを追うシーンがあった。軽快な音楽にのって新しい映像を見せたが、映画技法的には大した効果は生んでいないようだった。

 この映画の音楽は、ミシェル・ルグラン。「シェルブールの雨傘(1963)」「ロシュフォールの恋人たち(1966)」などのフランス製ミュージカル他、たくさんの映画音楽を作っていて有名ですが、この映画でも『風のささやきThe Windmills of Your Mind』がアカデミー歌曲賞を獲って、ミュージック・シーンでも大ヒットした。イギリスの男優が唄ってヒットしたんだが、名前を忘れてしまった。ネットで調べても分からないんですが、どなたか覚えてないですか?

 T・クラウンはスポーツも万能のようで、ポロをしたり、海辺でサンド・バギーをかっ飛ばしたり、グライダーを操縦したりする。それぞれのシーンでも、ルグランの音楽が効いていて、洒落た感じがした。『風のささやき』はグライダーのシーンで流れた。

 マックィーンが怪しいとにらんだダナウェイは彼に近づく。彼の家でチェスをするところでは、背中が大胆に開いたドレスで登場。二人の表情、手の動き、脚の動きを上手く繋いで実に官能的な場面になった。あのキスシーンは長くて、観てるこっちが恥ずかしくなるくらいだった。

 マックィーンも段々彼女に惹かれていくんだが、マックィーンらしく『女にはおぼれないゾ』という雰囲気が良かったですな。
 今度やったら絶対に捕まえるつもりのフェイ・ダナウェイ。しかし、彼は2回目の計画も実行する・・・。

 犯罪ものだがマックィーンが演じるとスポーツ感覚になる。「大脱走(1963)」でも一人だけそんな感じでした。

 ジョン・マクティアナンがリメイクした「トーマス・クラウン・アフェアー(1999)」では、007のピアース・ブロスナンが主役をやった。保険調査員レネ・ルッソとの大胆なベッドシーンがあったりして、大人のムードたっぷりだったが、マックィーン版のような、男のロマンは稀薄だったな。映画サイトをのぞくと、リメイク版を先に観た人は、そちらの方がいいという人もいるようだ。

 カメラは「夜の大捜査線(1967)」「カッコーの巣の上で(1975)」のハスケル・ウェクスラー

 マックィーンとダナウェイは、「タワーリング・インフェルノ(1974)」でも共演した。ダナウェイは、確かP・ニューマンの奥さん役だったかな。
 あっ、それと、ダナウェイはリメイク版にも出ていたようですが、ちょっと影薄っ!

2006年10月の再見記事はコチラ

・お薦め度【★★★★★=大いに見るべし!】 テアトル十瑠

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9 コメント

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わかりました! (micchii)
2005-03-11 17:43:35
TB&コメントありがとうございました!

全然知らなかったんですが、ネットで調べて何とかわかりました。

あのLex Harrisonの息子のNoel Harrisonという人のようです。
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ありがとうございました! (十瑠)
2005-03-11 18:13:10
ノエル・ハリソン!

そうでした。そんな名前、というか確かにノエル・ハリソンでした。

あーっ、スッキリした。

ほんとに、ありがとうございました。
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Unknown (micchii)
2005-03-11 22:56:49
名前が出てきそうで出て来ない時というのはほんとにじれったいものですよね(笑)

お役に立てて何よりでした。
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TB、ありがとうございまする (anupam)
2006-02-26 17:52:57
なるほどね~音楽も一流のスタッフで、これはやはり見てみなきゃあきまへんな!

公開時には「華麗なる=カレー 賭け=かけそば」というバカにされた邦題だったようですが、見事ツボにはまったタイトルといえましょう
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お薦め (十瑠)
2006-02-26 23:11:35
マックィーンファンのanupamさんにはお薦めですぞ!

フェイ・ダナウェイも、ボニーよりは人間味が感じられて好きだったなあ。
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>はじめまして (Yuhi)
2006-11-01 00:32:17
はじめまして!Yuhiと申します。

今回初めて「華麗なる賭け」を見たのですが、
なんとこの映画のリメイク版が「トーマス・クラウン・アフェア」だったとは、今日初めて知りました(汗)。

「トーマス~」の方は以前に見たはずなのに、あまり記憶になくて、全然気づかなかったのです。

この映画は、随分古いですが、今見てもスタイリッシュで余韻が残る、とても良い映画だったと思います。

では今後ともよろしくお願いします♪
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いらしゃいませ、Yuhiさん (十瑠)
2006-11-01 07:34:32
洒落てて、サスペンスもあって、しかも心理的な駆け引きが余韻を残す。
私も先日数十年ぶりに観ましたが、古くさくなっていないのに感激しました。

こちらこそ宜しくお願いします♪
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Unknown (シュエット)
2008-02-07 09:57:56
十瑠さん、早速にお邪魔します。
これはねサントラももってます。携帯にもこの曲入れてます!マックィーンいいです!
オープニングが今見てもオシャレ!襲撃シーンも。スタイリッシュって言葉、この映画で始めて知りました。
二人がドンドン惹かれあう、でも互いにその道のプロ。愛はあっても譲れぬ己の道。最後は…まさに華麗なる賭け!。あのチェスシーンなんて、センスのよさを感じるわ。いまだったら、あの辺通り越して直ぐに…情緒も何もない。でも、思ったのは彼にはスーツよりジーンズが似合うなって思った。
本作でフェイ・ダナウェイ見たときはのけぞりました。「俺たちに明日はない」のボニーから、一足飛びに…「男やん」って思ってしまった。
リメイクは観てません。観る気もありません。観られました?
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こんにちは♪ (十瑠)
2008-02-07 11:56:01
40年前の映画ですが、一昨年BS放送で再会しまして、やっぱり面白かったです。勿論、音楽もネ♪

リメイクは一応観ました。
感想は記事の中に書いていますので・・・。
お薦めは、しません。
私はレネ・ルッソが出ていたから観たようなもんでして。ヘヘッ
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