テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

マッチポイント

2020-12-26 | サスペンス・ミステリー
(2005/ウディ・アレン監督・脚本/ジョナサン・リス・マイヤーズ(=クリス・ウィルトン)、スカーレット・ヨハンソン(=ノラ・ライス)、エミリー・モーティマー(クロエ)、マシュー・グード(=トム・ヒューイット)、ブライアン・コックス、ペネロープ・ウィルトン、ユエン・ブレムナー/124分)


 マンションの共同アンテナのサービス・チャンネルで放送されていたので録画しました。コロナ禍の中、レンタルにも行きづらい所に以前から観たかった作品だったのでラッキーでした。

*

 アイルランド出身のプロテニスプレーヤーが競技生活に疲れ、ロンドンの高級テニスクラブで会員相手のコーチの職を得る。彼の名前はクリス・ウィルトン。アンドレ・アガシなど一流選手とも対戦したことはあるが勝利に対する執念からして劣っていると感じたし、過酷なツアーにも馴染めなかったのだ。
 市内にちょっと高めの部屋を借り、クラブでは早速大企業の御曹司のお相手をすることになった。御曹司の名前はトム・ヒューイット。
 汗を流した後の雑談で気に入られ、ヒューイット家の別荘に誘われる事になった。けっして裕福な家庭で育ってはいないが卑屈ではなく、礼儀正しい態度が気に入られたようだった。オペラが好きという所もヒューイット家に合った。
 トムにはクロエという妹がいたが、彼女もクリスに好感を持った。
 別荘にはトムの恋人も呼ばれていたが、彼女はノラというコロラド出身のアメリカ人だった。肉感的な唇のセクシーな女性ノラ。女優の卵らしいがトムの母親からは息子の嫁に相応しくないと毛嫌いされているようだった。
 クロエの彼氏という地位を確実に手に入れながら、ノラの官能的な魅力にも惹かれるクリス。
 2度目の別荘訪問の際、トムの母親に才能について侮辱されたと感じたノラは雨の中に出て行き、それを見つけたクリスは追いかけ、どちらが誘うでもなく麦畑の中で愛し合うのだった。
 将来、義理とはいえ姉弟の関係になるやも知れないのでノラはクリスとの距離をとろうとしたが、クリスは尚も未練を残していた。
 クロエの口添えもあってクリスはヒューイット家の経営する会社に厚遇で採用され、やがて二人は結婚する。
 その後、トムからノラとは婚約解消したことを知らされ、改めてノラの消息を探したが電話も繋がらず諦めかけていた頃、偶然に街中で二人は再会する。
 強引に連絡先を聞くクリス。請われるままに教えるノラ。
 理性では抑えられない愛欲だけが引き鉄の二人の逢瀬は、この後破滅への道を辿っていくしかないのだが・・・。

*

(↓Twitter on 十瑠 から(一部修正あり))

ウディ・アレンの「マッチポイント」を観る。結構新しい作品と思ってたけど2005年、15年前なんだね。序盤でドストエフスキーが出てくるから「罪と罰」辺りが参考になるかと思いきや・・、なるほど「陽のあたる場所」か。ただなぁ、語りがストレート過ぎない? それに結末も呆然としてしまうし。
 [12月 8日 以下同じ]

「マッチポイント」。序盤から不倫話になっていくのは見え見えで、『はぁ、「ハンナとその姉妹」の二番煎じか』と思って観てて、中盤以降は同じような局面の繰り返しでダレてきたが、終盤、allcinemaのエロチック・サスペンスというジャンル設定が納得の展開にドキドキしてきた。

ただなぁ。最初のツイートにも書いたけど、時系列通りの展開で語っては新鮮味がないよね。ラストはこちらの予想をイイ意味で裏切ってくれて面白いんだけど「女と男の観覧車」のラスト程の納得感はないわな。定石通りの展開なのにあのラストは中途半端。定石通りが正解と思うけど。

主人公が持ってた携帯、所謂ガラケーだったので調べたら、iphoneって2007年の発売だった。そんなに古い映画だったんか。

映画はストーリーを語るものだが、同時に人間を描くものだ。「マッチポイント」の主人公にラスコリニコフを投影しようとするのなら、もっとバックボーンもちらつかせた方がいい。と、僕は思う。とは言いながら「罪と罰」は読んでないんだけど・・。

「マッチポイント」3回目を観る。ま、2回目は途中で邪魔が入ったので実質2回目かな。2回目だからやはりポイントは上がる。終盤の息苦しいまでのサスペンスに持っていくプロットの巧さ、細かな演出の冴、伏線の数々にも唸るけど、どうしてもラストは承服できないな。
 [12月22日 以下同じ]

ウディ・アレンの作品で愛欲がドラマの動機になってるのって僕には強引すぎる感が残るんだよね。「ハンナと・・」とか「マッチポイント」も不倫が強引なのよ。後先全然考えてないし。ただ、後者が前者より面白いのは犯罪サスペンスとなって盛り上がるからだ。運が強すぎる嫌いはあるけれどネ。

*

 2週間もかかってたんですね、2回観るのに。
 どうしても2回観ないと掴み切れないレベルの映画なんですが、サスペンスなので終盤の展開と僕が納得できない理由をこの後のネタバレ備忘録に書くことにします。

 観終わってしばらくすると幾つか疑問も出てくるのに観ている間はアレンの巧い語り口にそのまま乗せられたって感じ。

 アカデミー賞では脚本賞に、ゴールデン・グローブでは作品賞(ドラマ)、助演女優賞(ヨハンソン)、監督賞、脚本賞に、フランスのセザール賞でも外国映画賞にノミネートされたそうです。





・お薦め度【★★★★=サスペンスファンの友達にも薦めて】 テアトル十瑠

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