Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

映画「おらおらでひとりいぐも」

2020-11-15 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 若竹千佐子さんの芥川賞受賞作を「モリのいる場所」(熊谷守一の晩年を描いた作品)の沖田修一監督が映画化した。若竹さんは55歳で夫を亡くした後、主婦業の傍ら執筆を始め63歳で作家デビューをした人だそうだ。
 主人公の桃子さんと同じく長い一人暮らし生活を送っている私にとって、特に興味のあるテーマではなかったせいか、原作を読んでも感動はなかった。 が映画では、田中裕子が演ずる桃子さんの分身(寂しさ1,2,3)に、濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎の3人が扮すると言う演出が面白そう…。そのくらいの期待で姫さん、SE子さんと3人で出かけた。

 桃子さんの毎日のルーティンワークは…
 朝食は目玉焼きとトースト、持病の腰痛に備え湿布薬を貼る(これがなかなかの大仕事)、時々病院へ(長い待ち時間の後毎回同じ薬をもらう)、病院の帰りは必ず図書館へ(古代生物の本か図鑑を借りる)、時には近くの娘と孫が訪ねて来る、雪が降れば除雪…と、何の変化もない単調な生活に見えるのだが…、実はなかなかリズミカルでドキドキする毎日なのだ。

 それは、最近桃子さんの分身(寂しさ1,2,3)が現れて「おらだばおめだ」と言いながら賑やかに相手をしてくれる。歌ったり、ダンスをしたり、バンド演奏をしたり(脳内歌唱?)、節分の鬼になったりして。時には亡き夫も現れて若き日々を思い出させてくれる。

 そのうち桃子さんは車を買い替え、お弁当作って森へ出かけ、図書館司書さんが勧める新しいサークルに入り、いつの間にか少しずつ自由な新しい日常を生きるようになっていた。
 そんなお話でした。芸達者な役者さんが揃い穏やかに見られる楽しい映画でした。私は、今は「寂しさ」君たちの助けを借りなくてもそんな毎日を送っている。でも時にはそんな賑やかな分身が訪ねてくれると嬉しいかも。