特待生と野球留学

「特待生」、「野球留学」、「アマチュアリズム」に焦点を絞って展開します。

クラブチーム

2007年06月05日 | 展望

伊吹文科相の陳腐な野球留学NG発言です。まあ、雑談程度の話に記者が食いついただけかもしれませんが…。

文科省ダメ出しも高野連改定拒否
(2007年5月12日06時01分  スポーツ報知)
 伊吹文科相は野球留学にもくぎを刺した。京都出身の同相は「西岡、今江(ともにロッテ)も京都出身なのに、京都の高校にいなかった。部員のほとんどが寮生活をして特待制度を受けるというのは、本来のスポーツの在り方としてどうか」と苦言。

今江は京都府向日(むこう)市出身で、京都田辺ボーイズ-PL学園高です。JR京都線の向日町駅から2つ目の山崎駅は京都・大阪の府境に位置します。郡山シニア-大阪桐蔭高の西岡は、たしかに一部の選手名鑑では(なぜか)京都府出身ということになっています。本人のオフィシャルサイトでは大阪府大東市出身ですけど…。

いずれにしても、このレベルで野球留学NGを語るのは勘弁してほしい気がします。私は高校まで鹿児島で過ごしました。もう30年ほど前のことですが、中部地方のある高校に数人の鹿児島出身の選手がいました。たしかに複雑な気持ちになったのを覚えています。

その後、私はケ○の穴を拡張しましたので、別に誰がどこに行こうが本人の勝手だと思っていますが、「特待生が問題なのではない、野球留学こそが問題なのだ」とする論調も多いわけです。

【主張】野球特待制度 拙速ではない論議重ねよ
(産経新聞 2007/05/12 05:04)
 繰り返しになるが、特待制度が悪いのではない。全日本大学野球連盟や全国高等学校体育連盟も制度の全面否定には疑問を呈している。誤った運用や拡大解釈が問題なのであり、制度を利用し半ば野放し状態の野球留学に検討を加えることが重要だと考える。

郷土意識は大なり小なり誰でも持っているものでしょうし、そうである限り、野球留学批判がやむこともないでしょう。もともと、京阪神地区に送り出された「金の卵」たちが帰省することなく故郷に触れられる機会が甲子園だったわけです。郷土意識(や学校対抗意識)を煽り立てて、部数を伸ばし広告を得るのが主催新聞社のビジネスです。

それなら、プロがこれを利用しない手はないはずです。道州制が議論され始めて久しく、いずれ47都道府県体制は消え去る運命にあります。都道府県単位で考える必要はないでしょうが、NPBが一定数のユースチームを組織し、プロを目指す者はこっち、クラブ活動としてやっていく者はそっち、という具合に分けたほうがすっきりするのは事実です。

いっそのこと、プロ球団と私学が共同でクラブチームを組織してもいいのではないかと思われます。この場合、学校単位のチームではありませんから、高野連傘下からは離れることになります。ただし、クラブチームですから学生野球憲章の呪縛からは逃れることができます。

ここで問題になるのは、サッカーと違って、両者の間の交流戦を高野連様が認めるとは思えないという点です。もとより、今のNPBと高野連様の関係では、高野連様の領域にNPBが手を突っ込む(既得権益を侵す)ことになりますから、もしプランとして持っていたとしても口に出すことさえできないでしょう。

特待生問題も野球留学問題も、野球界という全体の中で考えていけば、必ず解決策は見つかります。高校野球の枠の中だけで解決しようとすると、寮費が適正かどうかという話にしかなりません。