サムライ左近法務事務所の事件帳

本業の法律事件の他、考古学、歴史学、戦国山城等を、その実証から紹介します。

成年後見と親族相盗

2008-05-24 17:22:18 | Weblog
以下の事例は
成年後見制度における
「親族相盗例」
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に対する検察側と弁護側の対立です。

(概況)
本件は青森県で発生した事件です。
成年後見の妹さんから財産管理を頼まれた兄が
保険金約1億円超を着服したとして
業務上横領罪に問われた論告求刑です。

保険金そのものは、妹さんの娘さんが
交通事故で重度の障害を負い、それが預金されて
いましたが、兄が自分の金のように、儲け話や愛人に
つぎ込んでいたとの事。

検察側は「成年後見は公共的な性格を持っている」として、親族相盗例の適用を否定し、懲役8年を求刑しています。
一方、弁護側は親族相盗例を理由に控訴棄却を求め
ると同時に棄却されない場合は執行猶予付きの判決を
求めています。

『法は家庭に入らず』
と言われますが、あまりにもひどい兄の行為だと私は
思います。
「成年後見」
親族がなる場合は、それなりの覚悟が必要です。
現状では、家制度の崩壊、家族の多様化によって
家族の要員それぞれが、財産を有することが
当たり前になりました。
今後、こうした事例は増えることはあっても
減ることはないと言えます。

その為の予防法務として
「任意後見」があります。
問題が修復できなくなる前に
先ずは専門家に相談される事をお勧めします。

(親族相盗)
刑法第244条
親族間の窃盗・侵奪
刑法第255条
同 横領(244条を準用)
*親族間で発生した一部の犯罪行為または
 その未遂罪については、その刑を免除するものである。

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