サムライ左近法務事務所の事件帳

本業の法律事件の他、考古学、歴史学、戦国山城等を、その実証から紹介します。

忍び寄る「時効」

2010-05-11 14:24:09 | Weblog
 料理店・飲食店などの飲食代は
民法174条で、その債権発生のときから1ヵ年間で
特殊な事情がない限り、消滅時効にかかります。

・ 料理店・飲食店の飲食料債権 1年
・ 商品の売掛金債権 2年
・ 請負代金債権 3年
・ 利息債権、賃料債権、その他の商事債権 5年
・ 私人間の普通の債権 10年

 時効を中断させるには裁判上の請求、裁判手続きを
とらなければなりません。
裁判外の請求(請求書の送付、電話での請求など)
でも、時効は一時的に中断します。

 しかし裁判外の請求のときは請求後6ヶ月以内に
訴訟などの裁判上の請求、差押え、仮差押え、仮処分
などの裁判手続きをしないと、時効は中断しなかった
ことになります。
また、時効期間が6ヶ月延びるのは1回限りです。

 この裁判外の請求で重要なのは必ず内容証明郵便
で行うことです。
相手が請求書を受け取っていない、請求を受けて
いない、などの水掛論になっては簡単には
請求したことが証明できないことがありますね。
いつ請求したかという証拠を残しておくためにも
内容証明郵便で請求することが重要です。

 時効の成立が目前に迫った場合には取り合えず
内容証明郵便で支払い請求すると、
仮に時効を中断することができます。
また債務者が債務の承認をした場合も時効は
中断します。
債務の承認とは一部分の支払い、支払い猶予の
要請、利息の支払いなどです。
これは時効の成立後でもかまいません。
債務の承認は時効の主張を放棄したことになります。

 売掛金債権を保全するために、その人の勤務先を
第三債務者として、給料債権を仮差押えする方法が
ありますが
その取り立て分は給料の1/4まで可能です。

 但し、支払い命令を受けて、その債務者が異議申立てをすると
通常の訴訟に移行しますので、手続き上は
面倒になるかも知れません。

(附記)

 給料の仮差押えは、当人の社内信用を
著しく失墜させる訳ですから、普通の人間でしたら
事態の改善を図るべく対応されると思います。


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