旅する心-やまぼうし

やまぼうし(ヤマボウシ)→山法師→行雲流水。そんなことからの由無し語りです。

今宵は海底(うなぞこ)で静かに眠れ

2008-01-20 01:01:35 | 水の道逍遥
蒲生海岸は長浜の波打ち際。打ち上げられた魚が一匹。

  *

七北田川が太平洋に注ぎ込む姿を見たさに長浜側に行った。河口には羽を休めるカモの群れ。しばし眺める。





太平洋側の砂浜を歩き出してすぐのこと。波打ち際に打ち上げられた魚が一匹。タチウオだ。体長は約1メートル。



「かわいそうな姿になって・・・」と思いつつ、カメラのファインダー越しに覗いて見たら、赤い背びれが波打っている。そう波打って、陽の光に輝いている。エラもかすかに動いているのだ。

「生きている!生きている!」

つい、嬉しくなってしまった。そして、静かに持ち上げて海に帰してやった。

「今宵は、海の底で静かに眠れ!!」


  月夜の浜辺

                   中原中也 『在りし日の歌』

月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。

それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂(たもと)に入れた。

月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。

それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
月に向つてそれは抛(はふ)れず
浪に向つてそれは抛れず 
僕はそれを、袂に入れた。

月夜の晩に、拾つたボタンは
指先に沁(し)み、心に沁みた。

月夜の晩に、拾つたボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?


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