旅する心-やまぼうし

やまぼうし(ヤマボウシ)→山法師→行雲流水。そんなことからの由無し語りです。

国内最長の貞山運河と北上運河・東名運河

2022-08-13 19:00:19 | 水の道逍遥
(Google Earth Pro画像をベースにして加工)



地元の貴重な歴史的財産を総合的に紹介しようと始めた貞山・北上・東名運河事典
もうかれこれ17~18年も経った。

当時も現在もいまだここまで詳しい情報提供サイトは出ていない。
運河に関係する市と町のものは、それぞれのエリア内のことが主となっている。
(仙台市、石巻市、塩竃市、名取市、多賀城市、岩沼市、東松島市、松島町、七ヶ浜町、利府町)
全体を所管する宮城県庁でも、なかなか充実をみていない。

そういう状況から、「ならば自分で・・・」と思い込み、今に至った。
最初はブログ、次はマイクロソフト社が提供するホームページ作成支援アプリ(後にサービスが廃止)、そして現在はWixで作り替えて公開している。


しかし、宮城県を離れて間もなく4年。
このコロナ感染拡大で、現地再訪もままならなくなった。
最新情報の入手も難しくなった。
そろそろ止める潮時かと思うこともしばしばある。
兄に意見を求めたところ、「もったいない。まだ続けるべきだ。」と返ってきた。

そんなかんやで、しばらくぶりにサイトをいじってみた。

今回追加(更新)した画像は、次のもの。※この記事の見出し画像を含む。



(貞山運河「木曳堀」) ※宮城県庁提供画像に『街道をゆく26 嵯峨散歩 仙台・石巻』(司馬遼太郎著)からの抜粋分を付記。


<付記>
司馬遼太郎氏は、降り立った仙台空港からタクシーで向かった貞山堀のことを次のように紹介している。

 『街道をゆく26 嵯峨散歩 仙台・石巻』
~ 私はひと目、貞山堀をみたいとおもっていたが、おそらく開発などのために消滅しているのではないかとも思っていた。ともかくもこれほどの美しさでいまなお保たれていることに、この県への畏敬を持った。
政宗のころ、仙台米を水上輸送するために掘った運河なのである。当初は、内川とか、堀川、あるいは御船引(おふねひき)堀(ぼり)などといわれた。政宗以後も掘りつづけられ、これによって仙台平野の諸川はヨコ糸としてつながれ、南はこの荒浜付近から、北はとぎれつつも北上川河口の石巻付近まで至っている。そのあたりは明治につくられたもので、北上(きたかみ)運河という。全長四十七キロという、なんとも長大な〝遺跡〟なのである。
 「貞山」
 とは、政宗の死後の謐名(おくりな)である。貞山堀という呼称は江戸期からあったわけではなく、明治初年の土木家が、江戸期日本に似つかわしからぬこの大業に驚き、運河の名を貞山堀と名づけたときにはじまる。政宗がどういう人物であったかを知るには、まず貞山堀を見なければならない。
 ところが、貞山川についてのくわしい脱明や土木史的な資料についての古い記録がすくなく、せいぜい、近代以前の日本土木史についての唯一の大著である土木学会編の『明治以前 日本土木史』(昭和十一年刊)か、同書と同年に発行された『仙台藩史』(東北振興会編)にわずかに載せられているぐらいである。
 「灌漑用水にもつかいますか」
 と、運転手さんにきいてみた。運転手さんはこの運河のほとりの岩沼で育った人だから、そのことばは信じうる。それによると、海水がすこしまじるために田畑にはつかえない、ということだった。純粋の運搬用運河としてこれほど長大なものを政宗は掘り、沃土の果実を江戸に運んだのである。
「フナはとれます。シジミ、アサリもとれます。」
と、運転手さんはいった。いまはむろん運搬にすらつかわれていない。つまりは無用のものなのだが、宮城県がこれを観光として宣伝することなく、だまって保存につとめていることは、水や土手のうつくしさでよくわかる。仙台藩の後身らしく、武骨で教養のある風儀が、そのことで察せられるのである。 ~

  (注)① 「無用」のものとは司馬氏の誤解。運河は、昔も今も活用されている。
     ② アンダーラインは、わたしが付けたもの。



(北上運河) ※過去にわたしが撮影。


(東名運河) ※過去にわたしが撮影)


こちらは、領国図の一部を切り出し、加工したもの。



(奥州仙台領国絵図 制作:正保2(1645)年)


(仙台領分図 制作:寛文10(1670)~延宝6(1678)年間)


(仙台領国絵図 制作:元禄14(1701)年)





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