旅する心-やまぼうし

やまぼうし(ヤマボウシ)→山法師→行雲流水。そんなことからの由無し語りです。

本当の豊かさって何だろう~夕張市民の映画祭を知って~

2007-02-23 16:28:50 | 日々雑感
今日、夜9時のNHKニュースを見て、涙が出てしまった。多額の負債を抱え、生活もままならなくなった北海道夕張市民。(低金利資金への借換え支援を決断した北海道庁にも頭が下がるが)なんといっても、夕張映画祭を市民の手で実現したその姿には、感動を押さえることができない。

「ありがとう」「おかえりなさい」 映画『幸せの黄色いハンカチ』ならぬ黄色の紙の小旗に書き込まれた文字。たった30秒しか停まらない駅で、旗を振りながら出迎える市民。それに電車の車内から立ち上がって答える乗客。終点の夕張駅では出迎えた人と抱き合う来訪者。

「去年までは、上からの指示のように受け止めていた。」

行政主導型の映画祭をそのように静かに語る人が、その中心にいた。
迎える側も来た側も、そしてNHKのキャスターも語る。「元気をもらいました!!」と。

何とすばらしい映画祭なのだろう。何と心優しき人々なのだろう。ここにはホンモノの出会いがある。そう思ったら、熱いものがこみ上げてきた。

     *

この報道の前に流されたのが、日銀の金利引き上げ。この金利引き上げは直ちに円高につながらなかった、株価が上昇した、こういう内容のものだった。金、かね、カネ・・・。

しかし、やっぱり思ってしまう。ホントの豊かさって何だろう・・・と。

メディアの大見出しはいつも金利引き上げ、景気動向、企業の国際競争の激化etc。
確かにそれは日本のみならず世界経済に大きな影響をもたらす重要案件。しかし、まぎれもなくそこにあるのは、日本や日本人中心の報道の仕方。読者の関心がそこにあるから仕方ない、メディアも商売だからと思っていつつも、しっくりとこない。
     *

地球の半径6300キロメートル。その表面積はというと、(真の球体ではないから単純にはいかないが、大雑把に球の表面積 公式S=4π で求めても良いところだけど)答えを急げば、5億9百95万平方キロメートル。そのうち陸地は1億4千889万平方キロメートル(ちなみに日本の国土面積は約37万平方キロメートルだから、全体のわずか0.25%)。海は3億6千106万平方キロメートル。したがって、海洋は、地球の表面積の71%、陸地の2.4倍の広さをもっているそうな。

わたしが計算したのではない。すばらしいサイトがあった。
国土交通省東北地方整備局秋田港湾事務所のこのページ ⇒ こちら


なぜ、こんな数字を挙げたかといえば、わが短気からではない。

かつて、グローバリゼーション、地球化などという言葉が盛んに飛び交っていたころは、南半球の低開発国(表現が変わって発展途上国)と北半球の先進諸国との格差問題、いわゆる南北問題が大きく取り上げられていた。地球環境問題、人口爆発。過激な表現がそれを象徴していた。

それがいまでは、いつもわが国中心の報道。そうしたことが、その受け手である私達の心に、得体のしれない個人主義、悪く言えば自己中心主義の芽を育ててはいないだろうかと考えてしまうからである。

これまでも何度となく聞いた。海外の事件や事故を知らせる報道でも、常に「日本人はいませんでした。」「日本人は・・・。」 日本人はやはり日本人中心だと。

そこで報道される日本人の中には、外国籍を持ちながら日本に長年暮らす外国人は入っているのだろうか。日本に暮らす外国人にだって、祖国に親類縁者がいて、その人が事件や事故にあっていないかどうかとても気になることであるだろうに・・・。日本人というかぎり、あわせてどこそこの国籍のひと○○人とか、どこそこの国のひと○□人とか、全体的にかつ具体的に知らせればよいのに。

     *

人は(いや生き物は)、5億9百95万平方キロメートルの表面積を持つ地球の上で、人と自然の相互連関構造の中で生きている。そのことを思い、そして自分なりの納得のいくやり方で立ち上がったとき、きっと強くもなれれば優しくもなれるのだろう。そこに行き着くまでに、陰に陽に多くの支えがあったことを知るからでもあるはず。

夕張市民が抱えた重荷は、ひとり夕張市民の為した結果ではない。そう言う人がいたら、やっぱりわたしはNOと告げよう。その時々の国策が(国民が)、その時々にそう仕向けたものでもあると。

本当の豊かさは、苦しい生活を強いられることとなった過酷な大地に暮らす夕張市民の、そしてそれに答えようとしている人々の温かな心の中にあるのではないだろうか。

“共に生きる”

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