寒来光一の日替わり笑話

お笑い作家・寒来光一(さむらいこういち)が、毎日(たぶん?)、笑いのネタをお送りします。

自動車(笑ートエッセイ)

2010-11-28 00:47:15 | 笑ートエッセイ
 考えてみれば、全く不思議なネーミングである。
「自動」で動く「車」。
 そこで、「自動」を辞書で引くと、「自然に動くこと、自分の力
で動くこと」(広辞苑)と書いてある。

 自然に動く車?
 確かに、坂道でサイドブレーキをきちんとかけていないで駐車し
ていると、自然に動き出してしまうことがないとは限らない。
 事故にもなりかねないから、要注意である。
 しかし、それはあくまでも特殊な例だ。
 暴風で車が吹き飛ばされることもあるが、それなら「自然に」で
はなく、「自然によって」動く車となる。

 したがって、この場合には、後者の「自分の力で動くこと」とい
う解釈を用いることになるのだろう。
 しかし、これもやはり変である。
 一般的には、人がキーを差し込み、エンジンをかけ、アクセルを
踏んではじめて動くのだ。
 どう考えても、車に意志があって、自分の力で動いているように
は思えない。

 もしそんな車があったら、大変である。
 中には、凶暴な車があって、群集の中に突っ込むやつもいるだろ
う。となると、駐車場などうかうか歩けなくなるではないか。

 どうも、「自動」で動く「車」と解釈したのが、間違いのようで
ある。
「自分で動かす車」。
 これなら分かる。しかし、免許を持たず、いつも乗せてもらう私
の場合には、どうみても「自動車」とは思えない。
 むしろ「他動車」と呼んだ方が、ぴったりくるような気がする。

 となると、「自」や「他」を頭に持ってくるのは、あまり意味が
ない。
 そこで、いっそのこと取り払って、「動車」にしてもいいはずだ。
 しかし、ちょっと待てよ。動く車?
 それなら、「動かない車」は何と言えばいいのだろうか。
 人間を速やかに移動させる機能を果たしてこそ、意味があるはず
である。
 もはや動く機能を失った車は、車ではなくただの物体に過ぎない。
 つまり、車と言えば、「動く車」のことだけを指すのだ。

 こうなると、「動く」という言葉を切り捨てるのに、もう何のた
めらいも感じる必要はない。
 かくして、「自動車」は、「車」と呼ぶのが最も合理的であると
いう結論に達するのである。



   下関駅に行くと、「忘れ物市」というのをやっていました。
   それにしても、いろんな物がありますね。
   定番のカサ、かばん、スカーフ、時計、カメラ、つえ、ベル
   ト(わざわざ車内ではずしたんでしょうか?)……。 
   
  
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コカ・コーラ(笑ートエッセイ)

2010-11-24 00:55:36 | 笑ートエッセイ
「♪スカッとさわやか、コカ・コーラ~」
 テレビからこの曲が流れてくると、心がわくわくしてきたものだ
った。
 画像は消えても、メロディだけは永遠に残してほしかった。その
せいか、コカ・コーラを飲むことはめったになくなった(ただ単に
年をとっただけかもしれないが)。



   朝鮮半島が、一挙にきなくさくなってきましたね。
   危機的な状況に陥らないことを願うばかりです。 
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おつり(笑ートエッセイ)

2010-11-20 00:36:03 | 笑ートエッセイ
 コンビニのレジで、精算をする。980円だという。
 あいにく小銭の持ち合わせがなく、1000円札を出す。
「おつりはいらないよ」と言う度胸もなくおどおど立ち止まっている
と、当然おつりを受けとめる羽目となる。
 私が左手のひらを上に向ける。すると、女性店員の両手が私の手の
ひらに伸びてきたのだ。
 右手に10円、そして左手に10円を握っているのかというとそう
ではない。右手でつまんだ20円を私の手のひらに載せ、左手は私の
手のひらの下10センチほどの空間に、差し出している。

 何かのおまじないかと思ったが、どうもそうではないらしい(それ
が証拠に、なんの追加料金も請求されなかった)。
 となると、私がよほど頼りなく見え、おつりさえも満足に受け取る
ことができないと思ったのかもしれない。万が一、おつりをこぼした
ときの用心に備えたとしか思えないのだ。

 もし、その万が一のときには、お金はどちらのものになるのだろう
か。
 法律的には折半かもしれないが、やはりそこはお客様第一という店
の方針で、私のものになりそうな気がする。
 いや、たかが20円だ。そんな時には、私が失敗の責任を取って、
「つりはいらないよ」と見栄を切って、出ていってやろう(200円
だったらそうはいかないが)。

 しかし、問題はそんなことではない。
 私だって、いくら頼りないとはいえ、おつりぐらい98%の確率で
きちんと受け取ることができる自信がある。
 その客である私のプライドを傷つけるというのは、あまりにも無神
経な行為ではないだろうか。
 繊細な私の心は、かなり傷つきながら、次の客の様子をさりげなく
観察していた。
 すると、どうだろう。次の客に対しても、その店員は同じ動作をす
るのだ。
「やった! 私と同じぐらい頼りない仲間がいた!」と、喜んだのは
一瞬のことである。どう見ても、私よりしっかりした感じの男性なの
だ。
 かなり厳しい目を持った店員なのだなと思い、次の客の様子を探る。

 それは、見るからにしっかりとした、女性客である。まさかそんな
ことはあるまいと思ったが、やはり2度あることは3度あるのだ。

 その後数人の様子を観察した後、私の疑惑は確信に変わった。
なんのことはない。年齢、性別、背の高低、服装の色、眼鏡の有無な
どに関係なく、だれにでもそうしているのだ。
「おつりを返却する際は、万が一に備えて、お客の手のひらの下の
10.5センチに、自分の手のひらを差し出すこと」などというマニ
ュアルが存在するのかもしれない。

 そうと分かれば、安心である。今度からは、その店の方針に協力す
るために、店員の手のひらの下10.5センチに、私の右手を差し出
すことにしよう。
 そうすれば、万が一どころか億が一に備えることになる。やはり、
危機管理は、万全にしておくことが大切である。



   小倉の繁華街で、角を曲がる前に立ち止まってメールを打ってい
   ると、声をかけられました。
   何と数か月ぶりに会う友人だったのです。
   あの角を曲がっていれば、出会っていなかったわけで、何とも不
   思議な縁でした。 
   友人とは、12月の再会を約して別れました(実を言えば、近日
   中に連絡をとる予定だったのですが、その手間が省けたというわ
   けです)。
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ATM(笑ートエッセイ)

2010-11-16 00:22:02 | 笑ートエッセイ
 ATMの前に行くと、なぜか緊張してしまう。
 操作が苦手なわけではない。私のような機械に弱い人間でも、何
回か操作するうちに、いつの間にか覚えてしまうものだ。
 お金を引き出す時に、何か抵抗感を感じるというわけでもない。
自分の金をどう扱おうが、やましく感じる必要はないのだ(そもそ
も、やましいと感じるほどの大金を預けているわけではない)。

 問題は、あの防犯カメラというやつである。
 人間の内面性を見ずに、顔の表情や仕草だけで、人を怪しいと判
断するのだから、私のような人間にとっては、天敵と言ってもいい。
 いや、それよりも問題なのは、カメラの向こうで、どんな人間が
自分を見ているのか、全く分からないことである。
 眼光鋭い、その筋っぽい雰囲気を漂わせた人間かもしれないし、
ひょっとすると、もう少しのところでアイドルになり損ねた、愛ら
しい女性かもしれない。
 前者ならば、ますます緊張の度合いが高まるだろうし、後者だっ
たら必要以上に時間をとり、見栄を張って多めに預け入れてしまう
ことにもなりかねないのだ。

 これでは、不安がつのっていくのも、当たり前だろう。
 こちらの情報は丸裸の状態なのに、監視する側の情報が全く与え
られていないというのも、あまりにも理不尽な話ではないだろうか。
 そこで、提案したい。
 個人情報の関係で、生年月日や好みのタイプを表示するのは無理
にしても、せめて監視者の年齢、性別、血液型、カラオケの持ち歌
ぐらいは公表してもらいたい。
 たったそれだけのことで、顧客と銀行との距離感は、ぐっと近づ
くはずである。

「今日の担当は、『浪花節だよ人生は』が好きな45歳の男性だった
の。血液型はO型だから、きっと大らかな人ね」
 こんな想像を楽しむこともできるようになり、ATMの前に立っ
た時の緊張からも解放されるはずである。



  フィギュアスケートの村上佳菜子選手、やりましたね。16歳の
  優勝は、浅田真央選手と同じスピード快挙だそうです。 
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宛て名(笑ートエッセイ)

2010-11-12 00:31:13 | 笑ートエッセイ
「封筒に、この表にある人の住所と名前を書いてくださいね」
 私が、サラリーマンだったころの話である。

 アルバイトの若い女性に、宛て名書きを頼んだ。当時はパソコンなどな
い。彼女は、言われたとおり、封筒にせっせと宛て名を書き始めた。
 小1時間たったころ。
「はい、できました」
「お疲れさま……!?」
 受け取った封筒を見て、私は絶句した。
 何とそこには、住所と(まさしく敬称のついていない)名前だけが書か
れていたのだった。

「あんた、手紙を書いたことがないのか!」
 こうどなりつけたい気持ちをぐっとこらえて、私はにっこりとほほえみ
ながら、こう諭すように言った。
「宛て名を書く時には、名前の後ろに『様』をつけてくださいね」
 彼女は、けげんそうな顔をしながら、渋々と取り掛かり始めた。きっと、
心の中でこう毒づいているのだろう。
「それならそうと、最初から、そう言ってくださいよ」
 いや、ひょっとすると、こう思ったのかもしれない。
「この人、すご~い! 何でもよく知ってる~!」
 ただ、それにしては、表情が暗かった。案外、そのどちらでもなく、こ
んな可能性も考えられる。
「この人、感じ悪いから、わざとミスして恥かかせてやろうと思ったのに、
気がつかれてしまったみたいだわ。ああ、残念!」

 今となっては、真相は知るよしもない。しかし、いずれにしても、何と
も「様」にならない話ではある。
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アボカド(笑ートエッセイ)

2010-11-08 00:40:56 | 笑ートエッセイ
「アボカド」のことを、「アボガド」と思い込んでいた。
 妻が大好物で、いつも「アボガド、アボガド」と口にしていたからだ。
 いや、妻のせいにするのは潔くない。いつもそそっかしい妻の言うこと
を、辞書で確かめもせずに鵜(う)呑(の)みしたのがそもそもの間違いだっ
たのである。

 しかし、だからと言って、妻が口にした言葉を、いちいち辞書を取り出
して調べるわけにはいかない。「私を信用できないの!」という罵声が飛
んでくるに違いないからである。

 罵声を浴びせられても、真実を訴えていくべきだという声もあるだろう。
しかし、夫婦の信頼関係を損ねてまでそうしていく価値のあるものが、こ
の世の中にそうたくさんあるとは思えない。

 したがって、我が家では、依然として「アボガド」である。
 妻に間違いを告げてはみたが、「へぇ、そうなの」の一言だ。当然のこ
とながら、次からはまた「アボガドが食べたい」と言うに決まっている。

 我が家と同様の理由から、「アボガド」派が案外、多数を占めているよ
うな気がする。そうなると、へたに「アボカド」などと口にすると、軽べ
つされる可能性もある。
 外でも内でも、「アボガド」で通した方が、むしろ無難なのかもしれな
い。


   
    連日の死闘に幕!
    日本一は、ロッテがまさかの快進撃で、栄冠を勝ち取りました。
    ファンではないけれど、敵ながらアッパレ! 
   
   
コメント (4)
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山登り(笑ートエッセイ)

2010-11-04 00:45:11 | 笑ートエッセイ
「山登りをしてきた」と、友人が言った。
「ふうん」と、私は気のない返事をした。「はい、おみやげ」というセ
リフが、続いて出てこなかったからである。

 しかし、すぐに私は、友人の言葉が気になり始めた。
 考えてみれば、おかしな話だ。「山登り」をした後に、「山下り」を
しているはずだ。
 友人は、山から下ったからこそ、今ここで話せるわけである。
 登りっぱなしで、下りてはいないなんてことは言わせない。

 いや、待てよ。一つだけ可能性がある。
 私も山に登っており、二人で山頂に立って話している場合だ。この場
合は、まだ下山していないわけだから、まさに「山登りをしてきた」と
いうにふさわしい状況である。

 しかし、私が手軽に登れる山と言えば、せいぜい標高300メートル
だ。そんな山は、山男を自負する彼らにとって、もはや山とは呼べない
代物である。
 したがって、彼らと私が、山頂で出会う可能性は、限りなく小さくな
る。

 そういう意味では、やはり「山登り」は違和感がある。かと言って、
「山下り」では、彼らにもプライドを傷つけられたような気がするかも
しれない。
 したがって、ここは中間をとって、「山の登り下りをしてきた」と述べ
るのが、最も妥当なのではないだろうか。



   文化の日ということで、美術館の「モネ展」に行ってきました。
   みんな考えることが同じらしく、たくさんの人でにぎわっていまし
   た。 
    ★あまりにも空がきれいだったので、久しぶりに写真をアップし
     てみました。
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