左腕坊主

ハンドボール選手、櫛田亮介の2006年4月~2008年4月までを綴ったブログ

『2007世界選手権・観戦記』 第5話

2007年02月10日 | 2007世界選手権観戦記
『チェッキ!!!チェッキ!!!チェッキ!!!チェッキ!!!』と大合唱を続けながら腹ごしらえの為にホテル付近に止めている車まで全員で戻った。

各々持参のパン、サラミ、ピクルスそしてビールなどで腹ごしらえ。

いよいよ戦闘態勢に入ってきた。

ラッパ、太鼓、国旗、マフラー、帽子などの応援グッズに身を包み。試合会場まで大移動が始まった。

『チェッキ!!!チェッキ!!!チェッキ!!!チェッキ!!!』

行進すること30分くらいだろうか、いよいよ試合会場に到着。

この移動中のもチェコ軍団のテンションはさらに鰻上り。

マルティンからチケットを受け取り会場内に入った。チケットは日本ではあまり見かけないが座席番号が明記されていた。つまり指定席ということだ。入り口から直ぐ右にVIPルームがあり、少し奥には大会の記念グッズ、ハンドボール用品、ビールや食物などが売っていた。

チェコ対スペイン戦の前にカタール対エジプト戦があったがアジア枠から出場しているカタールをエジプトが軽く一蹴。

少しの休憩を挟みいよいよ、チェコ対スペイン戦。チェコ軍団の盛り上がりは最高潮。それもそのはず、昨日からこの時のためにビールを煽り、気持ちを高ぶらせきたのだ。そして相手は前回大会チャンピオンのスペイン。盛り上がらない訳がない。

チェコからの応援団は総勢200名と言った所か、会場自体は4階席くらいまであって1万人くらいのキャパに50パーセントの入りと言った所か。つまり5千人程の観客数だった。その中200名の数などしれているかもしれない。しかし200名が一箇所に集まり、みなそれぞれチェコグッズを持ってきている。盛り上がりは最高潮。

そこは完全にチェコのホームだった。

『チェッキ!!!チェッキ!!!チェッキ!!!チェッキ!!!』凄まじいまでの応援。

『ホーンザヒトシ!!!ホーンザヒトシ!!!ホーンザヒトシ!!!ホーンザヒトシ!!!』どういう訳か『ホンザヒトシコール』

まあいいけど・・・

チェコの国歌斉唱。全員が立ち上がる。帽子を取る。国家を口ずさむ。

試合は始まった。

スペインは世界最強ポストプレーヤーのウリウスを中心にゴリゴリ攻め立てる。チェコにはそこまで目立った選手はいない。

ぱっと見た印象ではスペインの方が遥かに力は上に感じた。事実終始押し気味に試合を進めたのはスペイン。

それでもチェコは何とか着いていく。ここ頑張らないと離されるという時に、踏ん張る、シュートをねじ込む、GKがスーパーセーブをする。

応援がビックプレーを呼び。ビックプレーが更なる応援熱を上げる。

4点ほどのリードを許しながらも絶対にそれ以上は離される事なくチェコは着いていく。

試合は終盤に動いた。そこまで我慢して我慢して着いてきたチェコ。スペインのミス、スペインの退場、チェコのビックプレー、チェコGKのスーパーセーブ。

一気に同点に追いついた。何度も何度も離されそうになり、後半20分とうとう試合は振り出しに戻った。チェコの応援席は完全に総立ち。もちろん試合開始直後から総立ちだったが、この時は全員が飛び跳ねていた。

しかし、スペインはそう簡単には崩れない。前回チャンピオンがいよいよ本領発揮。しつこいまでのポスト攻撃、分かっていてもウリウスは止められない。無理やり止めようとすれば直ぐに退場になってしまう。結局最初から最後までウリウスにやられた。もちろんその他のスペインの選手もすばらしかったが、それくらいウリウスのプレーは衝撃的だった。

一度は同点に追いついたチェコだったが、結局4点差で敗れた。

ウリウスはこの試合のベストプレーヤーに選ばれた。

試合後もチェコ軍団の応援は鳴り止まない。4点差で敗れたことは事実、しかし前回王者スペインを追い詰めたのも事実。何よりチェコの選手の1プレー、1プレーには気持ち、魂が篭っていた。そして応援団の魂の声援は選手に届いていた。

チェコの選手達が応援席の前まで来て、応援団にお礼を言いにきた。形式的なものではなく、本当にありがとうと言う気持ちがあるのだろう。なかなか応援席の前から立ち去らない。応援席からも選手のプレーに対してありがとうと言う気持ちがあるのだろう。この日一番のチェココール『チェッキ!!!チェッキ!!!チェッキ!!!チェッキ!!!』



ホテルまでまたチェコ軍団と共に戻る事になった。

車に着いた。チェコ軍団とはここでお別れ。一人一人と握手を交わした。

『ホンザ・ヒトシ一緒に応援してくれてありがとうな!!!』

『こちらこそ、すげー楽しかった。デクイ』

『デクイ』とはチェコ語で『ありがとう』を意味する言葉だ。この旅でおぼえた。

チェコ軍団と別れ、マルティンとスタニスと共にピルナに戻った。





2週間後・・・

アウェーでの上位チームとの対戦。試合開始時間は17時から14時30分へと変更になった。アウェーでのタフな試合を24対22で何とかピルナが制した。相手のファンにビールをご馳走になった。

この日は僕たちの試合。そして『2007世界選手権ドイツ大会』のフィナーレ、つまり決勝戦だった。決勝戦はドイツ対ポーランド。

僕達の試合後。その会場で、巨大スクリーンに決勝戦を映し出し相手チーム、ピルナ、そして観客みんな一緒に応援した。

この為の試合時間変更だったのだ。恐らくドイツが決勝進出を決め急遽変更になったのだろう。それにしてもすばらしいアイデアだと素直に思った。みんなが嬉しくなる。みんなが喜ぶアイデアだと思う。

日本で言えばサッカー日本代表の試合をスポーツバーやサッカー場でみんなで集まって応援する。あんな感じだろうか???

決勝戦は2万人近くの観客が入ったらしい。そしてドイツの各地で僕達と同じようにドイツ代表を応援したのだろう。いったい何人の人がハンドボールドイツ代表を応援したのだろうか???そんなことを考えると、羨ましくなった。

ドイツは世界チャンピオンになった。



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『2007世界選手権・観戦記』 第4話

2007年02月08日 | 2007世界選手権観戦記
若干の胸焼け&喉の渇きで目覚めた。

分かってはいたが予想通り若干の二日酔い・・・

さすがアホ代表・・・

試合は夜の20時から・・・

それまでどうするんんやろうか???

シャワーを浴びて、準備をして11時にホテルをチェックアウト。ここでも信じがたい光景が・・・

ロビーでビール飲んでるですわ。聞く所によると、昨日から終わりなく飲み続けているらしい・・・

完敗

荷物を各々車に乗せて20名でブレーメンの街を観光だ。とてもそんな気分とコンディションではないんだけど・・・

まあこいつ等のリュックにはビールがシコタマ入っているんでね。
『ホンザヒトシほら飲め』『ムシャシクシャシビール飲みたいんだろ???』って勧めてくれます。

ノーと言えない日本人炸裂。

とりあえずビールを受けとり、ポケットの中に入れて飲んでない、(つうかさすがに飲めないんだけど・・・)僕をみて『ホンザー・どうした???せっかくビールあげたのに飲めよ』って。ビールの栓を開けてくれます。

まあそんなやり取りしながらブレーメンの街を徘徊。教会に入ったりしてね。どんなに酔っ払っていても教会入ったらさっと帽子とって少し真面目な顔になりよるんですね。

こうしてブラブラしながら時間を過ごしましましが、いかんせん寒い・・・

まじで風邪厳重注意!!!

いきなりというかたまにというか、『ガリッ、ガリッ』って変な音聞こえるんですわ。なんやろ、なんやろってずっと気になっていてね。

正体突き止めました。なんやと思いますか???

チェコ軍団のおっさんのポケットから生のニンジン出てきたんです。しっかり齧ったあとがありました。すごいもの見てしまった・・・もうこれには一人でほくそえんでました。おもろすぎた。なんで生のニンジン???

試合時間は20時から幾らなんでも時間がありすぎや。外は寒いし。

まあまた入るのはお決まりの酒場ですな。

ビール、ビール、ビール、ビール。

終わりなき旅・・・

ほんまにこいつ等にとっては水なんかな???おいしいのか???そんなに飲んで???

この酒場でもさらにビールを飲み続け時間を過ごす。

試合時間が近づいてきたのか???この酒場を後にする。

腹ごしらえのために一度荷物を置いてある車まで戻るとの事。ビールのほかにもパンやサラミなどの食料持参らしい。

車へ向かう道中も『チェッキ!!!チェッキ!!!』とチェコ軍団は大合唱!!!

いよいよテンションが上がってきている。

試合は近い!!!

つづく

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『2007世界選手権・観戦記』 第3話

2007年02月07日 | 2007世界選手権観戦記
パーティーが始まった。

改めてアホみたいな量のビールを目の前にして圧倒された。

まあ当然チェコ軍団は面白がって僕にアルコール度数の強い酒を『飲め、飲め』と煽ってくる。ここは日本代表として真っ向勝負!!!『頑張れオレ!!!』

ホテルの一室でシコタマ飲んだ後・・・

僕はなんやかんや言うてもう部屋に戻って寝るかな???と淡い期待を抱いていたが・・・

甘かった・・・

チェコ軍団はもう一度チェコグッズに身を包み、外に繰り出す。極寒のブレーメン、夜中・・・

どこにいくのか???

歩く事20分ほどだろうか???

言うまでもなく、この間もみんなリュックにビールを入れて飲みながらの大移動である。

ブレーメンの中央駅に到着した。この駅の中にある酒場でもう一度飲みなおすようだ・・・

底なし・・・

もうこの日何本のビールを飲んだのか分からん。

ドイツ人もそうなんだけどパーティー言うてもねほとんど食い物なんてないんですわ。日本で言う居酒屋みたいなイメージではないんやわ。

ただひたすらビールを飲む。飲む。飲む。

ほんまに真っ向勝負を挑み何回翌朝に撃沈してきた事か・・・

それを分かっていながら、馬鹿の一つ覚えみたいにビールを飲む日本代表のオレ!!!アホの日本代表かぁ???

なんとか、なんとかこの酒場でもしのぎきりホテルへ戻る事に。

限界やーーー。

ホテルに到着。そしたら今度はホテルのロビーで他のチェコグループが飲んでいる。こいつ等と合流・・・

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

なんなんでしょうか、僕の中でメラメラ燃え上がるこの感じっ。完全にアホですね。ここでも調子にのって自ら『カンパーイ!!!』とか言い出す始末。

『キキリキ、ヤポンキー』おそらく日本人の事だろう。
『ムシャシ、クシャシ』K‐1の武蔵を知っているらしくそれと『クシ』が混ざったんか???
『ホンザ・ヒトシ』なんでこう呼ばれるん???

なんか分からんけどチェコ軍団は僕の事この3つのどれかで呼ぶんですわ。

もう何でも構わん。こうなったらとことん行くのみや。

結局このあともう一度ホテルの一室で飲み直し、何度目かの限界が訪れてマルティンとともに部屋に戻って爆睡。何時に寝たのかはわからん。

スタニスはまだ飲んでた・・・

つづく


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『2007世界選手権・観戦記』 第2話

2007年02月02日 | 2007世界選手権観戦記
マルティンの旧友、ユリカと合流しマルティンの運転で走る事10分・・・

どうやら目的地に着いたようだ。

車を止めると先ほどのチェコサポーター達が大集合。

『何が始まるんや・・・』

サポーター達は各々何かしらチェコに纏わるものを身に着けている。帽子、マフラー、国旗、服など。本気具合がそれだけで窺える。

マルティンとスタニスはそのサポーター集団と合流。僕もついていく。マルティンが僕の事を紹介してるっぽいが、全く今後の展開が読めない・・・

とりあえず日本人の『クシ』だと握手を交わしていく。

話も一段落したのか、車を止めた向かいの建物にマルティンとスタニスがおもむろに入っていく。どうやらホテルのようだ。少し安心。しかしそのホテルのロビーには同じくチェコサポーターらしき一団がビール片手に寛いでいた。少し不安。

一部屋を数人でシェアするタイプのホテルらしく料金は格安のようだ。

チェックインも終わり、再度サポーター集団と合流。マルティンが部屋割りなどを伝えている。そして一同暗闇に消えていった。

僕等もマルティンの車に荷物を取りに戻る。その間の会話でこの軍団総勢20名程。ほぼ全員マルティンの幼少時代のハンドボールクラブの仲間。今回のチェコの試合を応援する為にチェコから車数台で駆けつけている事などがわかった。

暗闇からチェコ軍団がホテルのロビーに再集結。1泊の割にみんなやたらと荷物が多い・・・

それぞれの鞄から、信じられへんほどのアルコール類が出てきた。確実に一人30本以上はビール用意している・・・

その他にもどう見てもアルコール度数の高そうな類の酒が何本も確認できる・・・

『何が始まるるんや・・・』

『30本×20人=600本 600本のビールは何処にいくんねん???』

そんな不安を他所にとりあえずマルティンとスタニスと部屋に荷物を置きに行く。

部屋に荷物を置いて直ぐにマルティンとスタニスに『いくぞ、クシ』と出発を促される・・・

『どこに行くんや???』

とりあえず同じ階のチェコ軍団が大挙する部屋に3人で雪崩れ込んだ・・・

パーティーが始まった・・・

つづく

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『2007世界選手権・観戦記』 第1話

2007年01月30日 | 2007世界選手権観戦記
少し遅くなったが、先週の観戦してきた世界選手権の話でもいってみようかぁ!!!

あんまりハンドボールに詳しくない人の為にも少しだけ世界選手権について説明しておこうか。

国同士の世界一を決めるビックイベントで簡単に言うとサッカーのワールドカップのハンドボール版だ。ほんまか???

残念ながら今回の世界選手権に日本代表は出場してない。

こいつが実は今ドイツで開催中である。そんでもって今日から準々決勝が始まっている。

当然ながらテレビでも多くの試合がライブで放送している。ドイツ代表が勝ち残っているだけにピルナの選手も毎日この話題で持ちきりだ。

以上が簡単な説明だ。


先週のアウェーでのモゴノ戦を終えて、ピルナに戻らずにマルティンとスタニスと共に直接、観戦地のブレーメンまで大移動。観戦予定の試合はチェコ対スペイン。チェコはマルティンとスタニスの母国。スペインは前回大会の優勝国。まあ言うまでも無くマルティンが運転の車の中でスタニスはすでにビール、ビール、ビール、ビール、ビール・・・

事前に二人から『ブレーメンではパーティーだから寝ないよ』と言われていた。

この説明では僕も分からん。まあ分からんままこの旅は始まったんやけど・・・

僕は最悪の場合一晩飲み歩いて過ごすか、よくて車の中で仮眠。これくらいの覚悟をしていた。大袈裟かもしれんけど、ほんまにこいつ等と付き合うにはそれくらいのつもりでおらんと・・・風邪だけはひかんようにこれだけが今回の注意事項。後は流れに身を任せるのみ。

こういう背景もあって僕は少しセーブしながらスタニスに付き合ってビールを飲んでいた。石黒との試合の事とか思い出したりしてね。

モゴノと戦ったライプチヒから世界選手権の会場があるブレーメンまでは400kmを超える長距離。しかしマルティンのマッハ運転であっと言う間にブレーメンに到着。

後部座席からマルティンとスタニスを観ていても明らかにテンション上がっているのが分かる。

『おいおいどうなんねんやろ・・・』

ブレーメンの街中を車で移動中、チェコの国旗を纏った一団に遭遇した。何でもこの日のチェコ対エジプト戦でチェコは1点差で勝利したらしい。太鼓やラッパを鳴らしながら街を徘徊中のようだ。よくTVで海外のサッカーの応援なんかで見かけるあの感じ。『チェッキ!!!チェッキ!!!チェッキ!!!チェッキ!!!』かなり盛り上がってる。

『いやーハンドでもこんなに盛り上がってるやんけー』
僕は純粋にそう思いながら車の中からその光景を眺めていた。

そしたら突然マルティンがクラクションを鳴らした。
『おった、おった。おーい。』
マルティンがその一団に声を掛ける。盛り上がるチェコの一団の中から一人が車に駆け寄ってくる。

『なんやなんやなんや・・・』

訳の分からんままその一人が車の中に入ってきた。とりあえず自己紹介。握手を交わしながら『クシ』って呼んでくれと言った。

『オハヨウゴザイマス。アリガトゴザイマス。』なんと日本語が返ってきた・・・
彼の名前は『ユリカ』と言うらしい。

全く状況つかめ無いままマルティン、スタニスそしてユリカは盛り上がる。どうやらマルティンの古くからの友人のようだ。完全にアウェーの車中、未だにその晩これからどうなるのか分からんままユリカとも乾杯した。

今宵これからどうなんねん・・・

ちなみに画像はユリカと僕。

つづく

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