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シリーズ「大学生のための自己分析のススメ」その8

2017-07-22 | 仕事

就活が楽しくなる!そのカギは、私たちが日々”無意識”に行っている自己分析を早期に”意識化”することです。

「大学生のための自己分析のススメ」と題して、簡単にできる自己分析の手法と活用法を、分かりやすく解説してゆきます。
自分を知ることは周囲や世間とつながってゆくことを意味します。あなたにしかできない就活を楽しんでください。

今回は、インプットの3つの情報源の3つ目「各種検査」についてのお話です。

 

 

③適性検査:自分の特性を数値で把握すること。

検査と聞くと、まず企業が採用参考で行うSPIや一般常識テストなどを想像する人が多いと思いますが、ここで言う適性検査とは、ある特定の検査を受けなさいという意味ではありません。
大切なのは、自分の特性や興味を数値で把握し、情報発信の材料にすることです。
就職活動の支援という立場から、実際にどんな検査が行われているのか幾つか例を上げると、「VPI職業興味検査」「厚生労働省編一般職業適性検査(GATB)」「キャリア・インサイト」などが比較的多く用いられている様です。
これらは、個々の適性能力や興味を測定し、適切な職種との関連性を探るために用いられる検査ですが、他にも性格特性や行動特性、または心理状態などを把握するものあり、実に多種多様な検査が行われています。(採用選考に登場するSPIシリーズなども、職業適性を判断する検査ツールの一つです)

自己分析の中でも、特に自己理解の部分を促進する場合に、適性検査は大変有効だとされています。
例えば、自分は物作りが好きだと思っている人が興味検査を受けてみると、以外にも物作りより接客の興味を示す値の方が高かったり、数字には強いと自信を持っている人でも、適性検査では数理の値が低い結果となったりすることは、よくあることです。(意外な結果が出る人と、そうでない人がいます)
3つのインプットに適性検査が入っているのは、自分を客観視することと、自分の適性能力を思い込みではなく、正確に把握することが大切だからです。(但し、好きかどうかは大切です)
そして、検査で得た情報は、自分の特性能力を数値や順位などで表現することで、より具体的で説得力のある情報となって、自己PRや志望動機に活かせるのです。

検査に関する注意点

就職に関する適性検査を受ける場合は、以下の点に注意が必要です。
① 検査の目的や内容を把握し、自分にとって必要だと判断できるものを受けること。
② 検査結果については、基本的に専門家に相談し、その解釈や捉え方を正しく理解すること。
③ 検査結果が絶対ではないので、あくまでも自己分析の一つの情報として位置付けること。
適性検査の中には、インターネットで手軽に受ける事のできるものもありますが、初めて適性検査を受ける方は、専門家や就職支援者などと相談して、適切な検査を受けること、またその結果ついても、正しく理解するための説明(フィードバック)を受けることをお勧めします。

資格・検定・入学試験も活用できる

就職に関する適性検査の他にも、「実用英語検定」・「簿記検定」・「TOEIC」・「MOS」などの資格検定試験や、入学試験なども、自己理解を深めるためのツールとして活用できます。
これは、自己分析の中の「目標に対する自分の行動パターン」を探る時に役に立ちます。
試験に合格するために、自分はどんなプランを立て、どの程度遂行したのかなどの経過を辿ることで、ある目標に向かう時の自分の行動パターンが明らかになるのです。
しっかりとしたスケジュールを立て勉強する人もいれば、気分次第で勉強する人もいる様に、勉強一つ取ってみても、人には様々なパターンがあります。自分の行動パターンを探ってみましょう。
また、点数や正解率、さらに順位などで、自分の能力を数値で把握することも忘れてはいけません。
これは、今現在の自分の実力を記録しておき、将来の自分との比較対象とするためです。
人間の成長に競争原理は有効ですが、実は最も有効なのは、人との比較よりも、自分自身との比較であり競争です。「過去の自分と今の自分を比べる」という自己評価の仕方もあるのです。

検査結果のフィードバックは専門家に・・・

実は、適性検査を受けた後に、がっかりする学生も少なくありません。
それは、自分が目指している職種の適性度が低いという結果が出た場合です。
いくら興味があっても、能力がなければその仕事には適していないと思い込み、進路変更するケースもあるくらいです。
前述に専門家のフィードバックが必要だと書いたのは、まさにそういった不安要素になった時に、結果をどのように活かすのかアドバイスをもらうためです。
実は、自分にとって不都合な結果や意外な結果が出た方が、むしろラッキーだと私は思います。
それは、自分自身をもう一度深く考え、今後の方向性を確かめる良い機会となるからです。
検査結果は進路決定の全てではありませんが、一考の価値のある情報には間違いありません。
なので、受ける際は適切な検査を、真剣に受ける必要があるのです。
もしも、あなたが何らかの検査を受けて、その結果のフィードバックを就職相談窓口でお願いしたい時は、一つ注意があります。
それは、検査に対する知識を持っている相談者かどうか?ということです。
就職相談者の全員が検査の専門家ではありません。
なので「・・・・の検査について詳しい方はいらっしゃいますか?」などと、はっきり告げて下さい。
安易に相談を受けると、適切な理解とは程遠い見解を示されて、かえって混乱するケースもあるので、言い難くてもしっかり伝えて、専門家にフィードバックしてもらえるよう行動しましょう。

 


シリーズ「大学生のための自己分析のススメ」その7

2017-07-18 | 仕事

就活が楽しくなる!そのカギは、私たちが日々”無意識”に行っている自己分析を早期に”意識化”することです。

「大学生のための自己分析のススメ」と題して、簡単にできる自己分析の手法と活用法を、分かりやすく解説してゆきます。
自分を知ることは周囲や世間とつながってゆくことを意味します。あなたにしかできない就活を楽しんでください。

今回は、インプットの3つの情報源の2つ目「他者の声」についてのお話です。

 

 

②他者の声:人からの、思わぬ情報こそ重要です。

最初に言っておきますが、この項目が一番重要です。就職活動成功の必須条件と言えます。
そして、就職活動中のほぼ全ての学生に不足しているのが他者からの情報収集です。
ほぼ全ての学生が、せいぜい周囲の親しい友人や家族くらいにしか聞いていないからです。
これは、「他己分析」などとも呼ばれており、自分のことを周囲の人に尋ねて再確認したり、自分の行動を見直したり、さらには新たな一面を発見したりする分析手法ですが、実は自分のことを知るためには、親しい人にも訊くのもありですが、それ程親しくない人に訊く方が、意外に為になる情報が多いのです。
だからと言って、誰かれ構わず、通りすがりの人に訊けば良いというものではありません。

ここではまず、人から情報を上手く引き出すためのコツと、続いて誰に何を訊くべきかを説明します。
まずは、人から情報を上手く引き出す時のコツをまとめると、以下のようになります。
① 事前に、聞きたい内容を整理しておく。(順番も決めておくと良い)
② 相手の都合に合わせ、十分な時間を設定する。(時間厳守)
③ なぜそんな質問をするのかの理由を述べてから質問する。(唐突な言い方をしない)
④ メモを取り、内容を確認しながら聞く。(分からない事は再度聞く)
⑤ 相手のペースに合わせ、途中で話を遮ることのないよう心がける。(最後までよく聞く)
⑥ 相手の立場や役割を理解し、適切な態度で質問する。(うなずき、笑顔、感謝などの表現)

就職活動の時期に盛んに行われる会社説明会や、OB・OG訪問など、さらに就職支援の相談窓口などで絶大な威力を発揮するのが、以上のコツです。
実は、人に質問するということは、コミュニケーション能力の向上には最良のトレーニングにもなるので、出来るだけ多くの人に質問する機会を作ることをお勧めします。
そして、適切なマナーや、上手な質問の仕方をマスターすると、多くの人が訊かれた内容以上の、もっと為になる情報を与えてくれる様になります。

では次に、誰に何を訊くべきかについて説明します。
これは絶対にそうすべきということではありませんが、多くの学生が意外に訊いていない部分に焦点をあてて説明する事にします。
① 自分の第一印象・・・初対面の人(就職支援者や会社訪問先の担当者など)
⇒ 過去からの印象の変化については、付き合いの長い友人や先生に訊く。
② 自分の声量や語調などの話し方・・・初対面の人(就職支援者や会社訪問先の担当者など)
⇒ 普段の話し方の確認は友人や先生・ビデオや録音などで確認する。
③ 自分の長所や短所・・・友人・先生・親(家族)・就職支援者・アルバイト仲間など、気兼ねなく
はっきり意見を言ってくれる人。
④ 自分の将来に関すること・・・先輩・先生・家族・就職支援者・会社訪問先の担当者

以上の4項目は、意外に多くの学生が人に聞いていない内容です。
特に①②などは、就職活動においては必須項目ですが、全く気にしていない人も多い様です。
私は職業柄、相談を受けた方には、その人の印象について何らかの情報を発信しますが、一般的には、人から「私の印象はどうですか。」などと聞かれる場面は稀と言えます。
しかし、就職活動で一番重要なのは、その自分の印象なのです。自分は周囲の人にどんな第一印象を与えているのか、どんな話し方をしているのかを、客観的に知る事が大変重要なのです。
勿論、良い印象だと言われたら安心できるでしょう。しかし、そうでない場合が問題です。
そうでない場合とは、単に印象が悪いという意味ではなく、自分の思っている印象とは違う印象を与えている場合のことで、自分では普通に振舞っているのに、相手には「機嫌が悪いのかな?」などと思われたり、逆に「何だか嬉しそうだな。」と思われたりするケースのことです。

自分をよく知る友人や先生が相手なら、そんなことはないでしょうが、初対面の人は普段の貴方を全く知らないので、第一印象で勝手に判断します。(自分もそのように人を見ていると考えれば良いのです)
だからこそ、普段の自分をあまり知らない就職支援者などに「私の印象はどうですか?」などと、勇気を持ってストレートに尋ねると良いのです。
しかし肝心なことは、良くも悪くも受け止める姿勢で訊くということです。
自分のことを人に尋ねるのは容易なことではなく、大変勇気がいるし、時には傷つくことも覚悟しなくてはいけません。しかし、それもまた社会に出て行くためのトレーニングだと捉えて欲しいのです。
他者からの情報収集は不可欠ですが、そこには謙虚さと熱意が必要です。
真剣に、一生懸命な姿勢で質問すれば、ほぼ全員が真摯に応えてくれるはずです。
そして貴方自身も、やがて友人や後輩達に情報を求められた時は、真剣にその人のことを考え、真摯に応えることのできる人になって下さい。


シリーズ「大学生のための自己分析のススメ」その6

2017-07-11 | 仕事

就活が楽しくなる!そのカギは、私たちが日々”無意識”に行っている自己分析を早期に”意識化”することです。

「大学生のための自己分析のススメ」と題して、簡単にできる自己分析の手法と活用法を、分かりやすく解説してゆきます。
自分を知ることは周囲や世間とつながってゆくことを意味します。あなたにしかできない就活を楽しんでください。

【2-2】インプットに必要な3つの情報源

図で示したように、就職活動における自己分析の情報源(インプット)は、①振り返り、②他者の声、③適性検査の3つに大別されます。
しかし、多くの学生が「自己分析=自己の振返り」という認識だけを持っており、それだけでやったつもりになっていますが、単に自分を知るだけでは不十分と言うより、殆どしていないのと同じです。
確かに、自己の振り返りはとても重要です。
しかし、就職活動においては、振り返りだけで得た情報量では全く足りません。むしろ他の2つから得た情報の方が、意外なほど重要な意味を持ちます。
面倒くさいとか、人に訊くのが恥ずかしいなどと言っている場合ではありません。
出来るだけ早い時期に自己分析に取り掛かるのが、就職活動を楽しくする必須条件です。
では、一つずつ説明してゆきます。

①振り返り:どんな言動をとって来たのかに注目する。

「シリーズ・その2」の就職活動における自己分析の目的②の中で、振り返りの自己分析は、単なる思い出話しをするためではなく、過去の自分の軌跡を整理することで、未来の方向性を見出す作業だということを説明しました。
ここでは、どうすれば過去から未来が見出せるのか、について説明します。
振り返りの自己分析の中で最も大切なのは、様々な出来事や経験の中で、自分がどの様に変化してきたのかを把握することと述べましたが、ここではもっと具体的に、その変化を「言動の変化」として整理することを提案しています。
人の感情や価値観は、その行動や言葉に表れるからです。
逆に言うと、行動や言葉で、自分のその時の感情や価値観を、相手に伝えることが出来るという訳です。
例えば、嬉しいことがあった時に笑顔になったり、悲しい出来事に涙したりといった、表情がそれに当たります。また、道に落ちているゴミを拾うか否かなどは、その人の価値観に由来する行動です。
この様に、自分が今まで経験して来た様々な場面で、どんな行動を取って来たのか、またはどんな言葉を発して来たのかなどを、ノートなどに記録してゆく行為が、ここで言う振り返りのことです。
そして、最も大切なのが未来の自分ですが、それこそ、自分の取ってきた行動が、随分前から変わらないのであれば、未来の自分も同じ行動を取り、変えたいと思う行動はどんな風に変わるのかを考えるということになります。

昔から、時間にルーズな人は、自分で変えようと思わない限り、社会人なってもやはりルーズになり、せっかちな人は、やはり社会に出ても同じようにせっかちな仕事の仕方をするのです。
何事にも真面目に取り組んで来た人、言葉巧みに窮地を上手く乗り切る人、皆と協力的に取り組む人、一人でするのが好きな人、人に頼み事をするのが上手い人など、人には様々な行動パターンがあります。
自分の行動パターンを把握して、変えたいのか、変えたくないのか、などと考えることが、そのまま未来の自分を創って行くこととなるのです。
言い換えれば、自分は今後どんな場面でどんな行動をする人間になるのか、またそんな行動を取る自分が一番活躍できる場所(職場)はどんなところなのか、といった考え方になることが、未来の自分を考えるということです。

つまり、単なる振り返りは、順序通りに並べられた情報の羅列に過ぎないので、それを発信しても相手には想像はさせても、理解まではしてもらえないという結果になるのです。
例えば、履歴書の学歴欄がそれに当たります。
学歴欄を読んだだけでその人を理解できた。という人はおそらくいません。
それぞれ過ごしてきた過程で、どんな事に遭遇し、どんなことを感じ、何をして、何を得て来た人なのかを伺い知ることで、その人を理解してゆきます。
したがって、早い段階で日頃の出来事やその時に感じたこと、考えたことなどを記録することがとても大切です。
記憶だけに頼っていると、実際に応募する時に苦労します。

次回は、他者の声についてです。


シリーズ「大学生のための自己分析のススメ」その5

2017-07-11 | 仕事

就活が楽しくなる!そのカギは、私たちが日々”無意識”に行っている自己分析を早期に”意識化”することです。

「大学生のための自己分析のススメ」と題して、簡単にできる自己分析の手法と活用法を、分かりやすく解説してゆきます。
自分を知ることは周囲や世間とつながってゆくことを意味します。あなたにしかできない就活を楽しんでください。

2:自分を知る手法

【2-1】情報収集と情報発信

これまで、就職活動における自己分析の目的と、分析の型について説明して来ました。
以降は、自己分析の”手法”に焦点を当てて、より具体的に進めて行きたいと思いますが、まずは冒頭に述べた、この手法の、最も基本的な考え方を説明しておきます。
それは、自己分析を「情報収集(自分を知る手法)」と「情報発信(自分を知ってもらう手法)」に分けて考え、後で統合するという手法のことです。
一番の特徴は、他者への情報発信を前提とした自己分析の手法ということです。

この手法を、先に述べた3つの目的と結びつけると、以下のようになります。
1,自分を知り、好きになり、自身を持つこと
2,過去の変化に気付き、これからの変化を考えること
「自分を知る手法」

3,自分の事を他者に伝え、理解し判断してもらうこと
「自分を知ってもらう手」

つまり、自己分析の目的を果たすためには、2つの手法が必要ということになります。
しかし、就職活動を開始したばかりの学生の殆どは、「自分を知る手法」の方だけを重視する傾向があり、情報発信の重要性に気付くのは、実際の選考が始まった後となってしまうのです。
従って、これから説明する手法は、なるべく就職活動以前の段階から始めることをお勧めします。

解説図1「自己分析の基本イメージ」

上の図は、「自分を知る手法」と「自分を知ってもらう手法」をさらに詳細に説明するためのものですが、以降は、「自分を知る手法」を”インプット”、「自分を知ってもらう手法」を”アウトプット”とします。

まずインプットの内容ですが、この図では、自分を知るためには3つの情報源が必要であり、そこから得た情報を基に、自分を構成する要素を分類して整理するという手法を示しています。
実は、自分を深く広く知るためには、自分を振り返り考えるだけではなく、他者に訊いて確かめ、職業適性検査などを受けて、自分の能力や知識を客観的に数値で捉えるといた行為が必要なのです。
そして、集まった情報を分かりやすく整理し、真に自分と向き合うために必要なのが「自分を構成する要素」という情報整理の手法です。

次にアウトプットの内容ですが、この図では、相手に理解してもらうための情報発信として、インプットで導いた、自分を構成する要素の中から、3つのカテゴリーを使って”自分らしさ”を表現する手法を示しています。
実は、自分のことを相手により深く理解してもらうためには、様々な側面から自分を表現する必要があります。
「自分はこうです」と言うよりも、「自分は、こんな時に、こう考え、こんな行動をとる。」という説明の方がより理解が増すという手法です。(詳細は後日述べます)

次回は、自分を知る手法(インプット)について詳しく説明して行きます。


シリーズ「大学生のための自己分析のススメ」その4

2017-07-06 | 仕事

就活が楽しくなる!そのカギは、私たちが日々”無意識”に行っている自己分析を早期に”意識化”することです。

「大学生のための自己分析のススメ」と題して、簡単にできる自己分析の手法と活用法を、分かりやすく解説してゆきます。
自分を知ることは周囲や世間とつながってゆくことを意味します。あなたにしかできない就活を楽しんでください。

【1-4】自己分析に欠かせない伝達力

最初に言っておきますが、伝達力のない人などいません。
人に個性があるように、伝達力にも強弱や質の違い、さらにその手法に違いはありますが、誰しも必ず持っている能力だということを大前提として説明して行きます。
まず、伝達力とは「伝える力」と「達する力」という二つの”力関係”から成り立っていると考えることができます。
そして、双方の力関係が上手く合わさって初めて、伝達した事(伝えた事・達した事)になるのです。
一方的に何かを伝えようと情報を発信しても、その伝え方や時間が不十分なら、相手には何も理解してもらえないかも知れません。その時点では伝達ではなく、発信しただけとなります。
しかし、適切な時間を使って伝え方を工夫すれば、その情報は相手に理解され易くなるのです。

例えば、英語が分からない日本人に、英語で道を尋ねる外国人観光客の様子がそうです。
道を聞こうと必死で言葉を発しても、その言葉が理解できないので答えようがない。という光景は、容易に想像が付くと思います。
しかし、ある程度時間をかけて、地図を出して目的地を指差すなどの行為を付ければ、言葉が通じなくても、行きたい場所が分かるので、今度は聞かれた方が、何とか教えようと、その地図を指で追って現在地や道順を説明する事が出来ます。
この様に、伝える方は、最初に目的や意思を言葉に込めて、自分の都合で投げかけますが、それを予期せずに受ける側は、伝えた者の状況や真意など、即座に理解できない事の方が多いのです。
しかし、相手が何かを伝えようとしていることは理解できているので、言語以外の情報を受け止めようとします。そしてゼスチャーや表情などから、相手の要求を察するのです。
ここで重要なのは、伝達とは、特に達する側の受取り方に強く影響されるという点です。
もしも尋ねられた日本人が全く受け付けようとせず、相手の顔さえ見なければ、そこで関係は破綻しますが、何かを受け止めようとするなら、結果は違ってくるのです。

伝達力とは、一方的に伝えるだけの能力ではなく、達するように工夫して伝える能力(豊かな表現力)である一方、相手が何を伝えたがっているのかを、想像し察知する能力(深い受容力)のことです。
つまり、発信者と受信者、双方に必要な能力を兼ね揃えた能力と言えるのです。
貴方が伝える側の時は、達する事を意識した表現をし、達する側の時は、伝える者の意図を理解しようという姿勢で受け止めるということです。

多くの企業が、学生に求める能力として、コミュニケーション能力を挙げますが、実はこの伝達力と大きな関係があると私は考えており、その共通項は、相手が主体であるという点です。
人間関係の構築において、どちらか一方の都合だけを優先させる関係は、多くの場合破綻します。
双方の目的や価値観、さらに利害などが一致してこそ、良好な関係となるのです。
従って、自分の事だけではなく、相手の目的・価値観・利害などを推測したり、事前に調査したりと、理解するための準備をした上で、自分との共通点や、さらに良好な関係に発展できるアイデアなどを、真剣に模索する必要があるのです。
伝達力もコミュニケーション能力も、一方通行では成立しません。必ず相手がいるのです。
就職活動は、先輩社会人との初対面の連続です。しかも、単なる出会いではなく、相手に期待感を感じさせ、興味を持ってもらわなくてはなりません。その時に威力を発揮するのが伝達力となるのです。
単なる表現者のままではなく、伝達力を強化して就職活動に臨むのが理想的ですが、今現在、既に伝達力の優れた人はそう滅多にいません。どの学生も、伝達力の前に、表現力の段階で足踏みしています。
だからこそ、今これを読んでいる貴方の強化すべき能力は伝達力なのです。
強化の方法は、後で詳しく述べますが、就職活動には、書いて伝達する場面と、言動で伝達する場面の2つの伝達場面を要します。(応募書類と面接)
そして、双方に共通して大切なのが、相手のことを把握するということです。

次回は、自分を知る方法についてです。