離職は”悪いこと”だった時代
約30年前の日本では、終身雇用、年功序列がまだ当たり前の時代でした。
当時は「就職」と言うより「就社」といった感じで、一旦会社に入ると、その後の人生を委ねることが入社することという感じでした。
そんな時代に、会社を止め転職するという行為は一大決心が必要でした。
よほどのスキルや実績がなければ簡単に次の仕事は見つからないと思っている人が多かった様に記憶しています。
私も、そんな時代に入社3年目で会社を辞めましたが、当時は周囲の大人から「一旦辞めたら癖になる」と言われたものです。
しかし、その後バブル崩壊やリーマンショック、大震災などを経て、日本人の価値観は明らかに変わりました。
「物の豊かさ」から、「心の豊かさ」を求める時代になったのです。
給料が高いから、福利厚生が良いからという条件だけでなく、その仕事にやりがいはあるか、自分が成長できるか、どれほどの人に役に立つのか、といった要素を重視する人が増えて来て、実際にそれが実現できる会社に転職したいという傾向が強くなっています。
転職を”良しとする”時代になった
総務省の労働市場調査では、日本の転職者はだいたい20人に1人の割合だというデータがありますが、リクルートキャリアの調査では、20代の転職経験者は34%、30代では54%、40代では62%というデータもあります。
転職者の動向の実態は、その調査の方法によって様々ですが、もはや転職にネガティブな印象を持つ人はかなりの少数派になったことは明らかなようです。
私は、自分がそうだからという訳ではありませんが、あと5年も経てば「転職も立派な社会経験」として認知され、転職はむしろ「1回くらいはした方がいいよ」なんて言われる時代になると思っています。
事実、私の周囲には、新卒で一回は県外に就職して、数年後に挫折し離職して地元に帰って来て、地元の中小企業に転職してほしいという経営者は何人もいます。
もちろん、単に辞めれば良いということではありませんが、昔と違って転職に抵抗感を示す経営者も明らかに少なくなっている様です。
ポジティブ転職がトレンドになる
今の日本は「働き方改革」の真っただ中です。
その恩恵を受けている人、ありがた迷惑だと感じている人、捉え方は様々だと思いますが、私は、この改革?の影響を今後最も受けるのは、ある程度の経験を積んだ中間層の労働者ではないかと考えています。
誰もが経験を積みながら、自分に合った、自分らしさを感じることの出来る仕事や働き方を選んで転職する時代になって行くのは間違いないと私は思っています。
企業も、個々の事情に合わせた働き方ができるような柔軟性を持つ事が求められ、いわゆる「雇ってやる」的なスタンスでは社会的にも指示されない風潮が広まると思っています。
さらに、これまでの様に「優秀な人材が欲しい」などと言っている企業は直ぐに置いて行かれるとも思っています。
これからは、優秀な人材が育だつ環境作りに力を入れる企業、つまり「社員を大切にする企業」だけが支持される時代になると確信しています。
これからは、自分を高め、幸せになるためのステップとしての「ポジティブな転職」がトレンドとなる時代がすぐそこまで来ていると思います。