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私だけの仕事の流儀(和尚)

2016-02-21 | 仕事

「私だけの仕事の流儀」3人目は、個性派男性の登場です。

 

ニックネームは「和尚」さんです。

福岡市在住 51歳。

現在は、就職活動中とのことです。

 

私と和尚の出会いは昨年の7月頃でしたが、その風貌と物言いから最初は随分年上の方だと思い込んでいましたが、実は私と3歳しか違わないお兄さんだったと知り驚きました。

しかし、その後イベントの企画などを共に考え活動する中で、随分年上に思えたのは、単なる見た目だけでなく、その知識の広さと深さにあるのだと思い知ることになりました。

今回は、そんな男の人生のほんの一部ですが、みなさんに紹介したいと思います。

 

● これまで経験したお仕事・またはその一部

某有名加工食品メーカーの営業職(約5年)・某地元運送会社の倉庫内作業(約23年)

 

● もっとも印象深い仕事と、その内容

新卒で入社した加工食品メーカーで、返品商品を別の商品に詰め替える作業をさせられていたことです。

今では考えられませんが、当時は賞味期限の表示義務もない時代。会社は売れ残りを軽減する目的で、返品になった加工品(中身)を別のパッケージに入れて販売するという手法を取っていました。

同業者も当たり前のように行っていたいわゆる「すり替え工作」を、仕事とは言えやり切れない思いで、しかもサービス残業でしていたことは、今でも忘れられません。

 

● その仕事を振り返って、今思うこと

新卒で社会に出て、初めての経験ばかりだったが、さすがに「すり替え」はおかしいと思い、当時付き合いのあったある経営者に打ち明けたところ、「それは賢いやり方だよ」と言われ、なおショックを受けたことを思い出す。

見ぬもの清で、ごまかして会社の利益を上げることが賢い考えのはずはない!との思いに駆られ、5年目で退職したが、しばらくして当時の係長はその手法を続けた後に部長になったと聞き、「世の中わからん」と思い、不信感だけが募っていった。

※これは、ある会社の批判や告発ではなく、一つの経験談ですので、その点はご理解ください。

 

● 忘れられない仕事での失敗談

某加工食品メーカーの営業時代に、あるキャンペーンがあり、約80名の当選者に1,000円分の商品券を発送する仕事を担当したが、肝心の商品券を入れ忘れるという大失敗をしてしまったこと。

ちょっとした確認不足から発送後に入れ忘れに気が付いて、慌ててキャンペーンを実施してくれた量販店に謝罪に行き、すぐに再発送して事は収まったが、今のようなネット社会だったら、それだけでは済まなかったと思う。

 

● 仕事で影響を受けた人

某加工食品メーカーで出会った二人の先輩。

一人は5歳上で、超体育会系で相撲取りのような大男。上司には愛想が良いが、下には恫喝は日常茶飯事、それに加えて意味不明の罵倒が前触れもなく始まり、時には暴力も…そんな恐ろしい先輩だった。

そしてもう一人は、体育会系のさらに上の上司。超気分屋で自己中心的な人物。誰にも言わないから信用しろと言われて話したことが、翌日には皆が知っている状態だった。しかし、自分のことを棚に上げて「お前は常識がない!」といつも言われていた。

恫喝されるは、常識がないと言われるは、さんざん罵倒されているうちに、自分は何を信じたらいいのか、世の中何が正しいのかを深く考えるようになった。

その影響が一番出ているのが、読書の習慣がついたこと。真実を本に求めてあらゆるジャンルの本を読み漁っていた。

その他に影響を受けていると思うのは、たまに大きな声を出して周囲を驚かせる時があることと、こんな人間にはならないと反面教師にしていること。

 

● 仕事で楽しいと思う瞬間

何らかのトラブルが生じた時に、それを解決できた瞬間。

1日の行動目標が時間通りに進み、すべて上手くいった時。

 

● 今になって思う、仕事のために、やっておけば良かったこと

今でも悔やむのが、商品すり替えを止めさせられなかったこと。

社内では何度も疑問を投げかけ上司に詰め寄ったが、その度に「これもお前のためだ」と抑え込まれるパターンが続いた。その頃に「情けは人の為ならず」という言葉の意味を知った。

当時の自分がもう少し論理的に説明できる技量があったらと思う。

だからこそ、その頃からしきりに本を読んだ。

 

● ズバリ、仕事とは何か

「商は笑なり」という言葉があるが、仕事は常に相手を満足させてこその仕事。単にお金を稼ぐだけではなく、商売相手のその先にいる顧客の満足まで意識して、みんなが笑顔になるような仕事が本当の仕事だと思う。

 

● 自分にとっての仕事の意味価値とは

まず仕事をする舞台となる「会社」とは、「会(あう)」に「社(やしろ)」という字で表すように、神の元に人々が集うという、良いイメージの解釈が出来るが、一方で「企業」と表現すると「企(くわだてる)」とは「人」を「止める」と書き、「業(なりわい)」とは「ごう(カルマ)」を意味する。つまり、そこに人々を留めて混沌の中へいざなうという、マイナス的な解釈も出来る。

そう考えると、仕事の意味価値とは、やはり自分自身のスタンスをどう規定するかが重要で、心の奥底にある人としての誠実さを見極め、社会に反映させることではないかと思う。

自分にとことん向き合い、アイデンティティにつながる。それが仕事の意味価値だと思う。

● 未だ社会に出ていない若者へ、贈る言葉

「若者達よ、とにかく本を読め!そして書け!」

今はスマホさえあれば、どんな疑問でもそれなりの答えを出してくれる。しかし、それは本物の答えではなく、誰かの言葉を簡単に信じているに過ぎない。だからブレる。

しかし、本を読み疑問を得て、また本を読み違う疑問を見つけ、さらに本を読んで考えた出した答えは本物だと、私は言いたい。

さらに、その答えを自分のものにして行くためには書くことも必要。

仕事に直接関係ないと思っても、様々な本を読んでいると、何処からかヒントが出てくるもの。だから、読んで、書いて、また読んで・・そういう繰り返しで得た知識が本物であり自分の血肉になると思う。

 

★ 私だけの仕事の流儀とは

常に、他者と違った目線で物事を観ること。

どんなに上手く進んでいるように見える仕事でも、みんなが同じ方向だけ観ていると、必ず変な方向になる。だから自分はあえて人と違う目線で「一石を投じる」スタンスを取りたい。

自分はもともと人嫌い。だから人と群れたり、他人とべったり一緒に過ごしたりするのが苦手だった。

そんな自分だからこそ、常に人と違うスタンスを取ることが、私だけの仕事の流儀だと思う。

 

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今回のインタビューでは、私の知らない和尚の側面がいくつもあり、驚きの連続でした。

しかし、和尚の、和尚たるゆえんが少しだけ分かったような気がします。

彼はいつでもどこでも、必ず時間さえあれば本を読んでいます。

そして、会話の端々に、それを彷彿とさせるような、難しい言葉や言い回しをするので、時々ついて行けなくなるのですが、それがまた和尚らしくて、話すのが楽しくなります。

今回、改めて教えられたのは「誠実さ」です。

和尚は、今でも新入社員のころの「すり替え工作」のことを思い出し、悔いが残ると言っていました。

もう30年近くも経つというのに、しばしば話に登場するくらい、和尚にとっての業のようなものを感じました。

しかしそれこそ、誠実さの表れではないかと、私は思います。

単なる正義感や責任感ではなく、自戒を込めたその誠実な姿勢は、彼を知る人なら誰でも頷けると思います。

もう一つ、このインタビューの中で彼らしいエピソードがありました。

それは、和尚がまだ大阪の大学生だった頃、世間に嫌気がさして方向性を見失っていた時にある先輩に誘われて、やくざ稼業の一歩手前まで入り込んだ経験があるというお話でした。

当時の男子なら流行映画の影響もあり、誰でも一度は憧れた極道の世界も、現実に覗いてみたら大違い。

さっさと足を洗い、きれいな身体で元の世界に戻れて良かったと、笑いながら話して下さいました。

あのまま道を踏み外していたら、今頃魚のエサにでもなっていたと、若気の至りを懐かしむ一面もありましたが、私はそのお話を聞きながら、当時から思い込んだらまっしぐらな人だったのかと感じました。

自他共に認める「本の虫」。彼には本という存在があったことで、自分と向き合うことが出来、さらに深く心理を追及したいという思いを高めて行けるのだと思います。

私が彼を一番尊敬するところは、深い知識を持ちながらも、人の話を聴く姿勢を忘れないところです。

自分の経験や知識を奢ることなく、謙虚に温存している彼の生き方には頭が下がります。

これからも、和尚からいろんな事を学びたいと思います。

ありがとうございました。

 

 

 

2016.2 Yout hworkerSupport「私だけの仕事の流儀」