今回は「環境先進都市」としてのフライブルクを紹介したいと思っています。フライブルクの環境政策の柱は公共交通政策、緑化・自然保護政策、廃棄物リサイクル政策、エネルギー利用政策などがありますが、今回はそのなかでも公共交通政策を中心に紹介させていただきます。
フライブルクの環境政策で有名なものとして「環境定期券」制度の導入があります。これは環境保全を目的に公共交通機関の利用を促進させるために、日曜日などにこの定期券を使用すると本人だけでなく、大人一人と子供四人までは無料になるという行政サービスです。
公共交通としてはバスもありますが、特にヨーロッパの主な都市ではトラムという市内電車路線が充実しています。フライブルクにも数多くの路線があり、主路線では7~8分間隔で、そうでない路線でも15~20分間隔で走り、市民の重要な足になっています。
日本でもかつては市内電車が多くの都市に走っていたそうですが、車社会の到来と地下鉄の充実などにより次第に廃線になってしまったのは残念に思います。これに対しヨーロッパでは近年トラム見直され、いくつかの都市では一度廃線になったr路線でも復活したりしています。従来のトラムと新型トラムを比較すると、新型トラムでは連結によって輸送力が増大し、高速高密度の運行ダイヤで利便性が増し、低床車両によるバリヤフリー対応で老人などにも利用しやすくなりました。一方では市内中心部への車の乗り入れ規制や郊外の駐車場を無料にしたりしてパーク&ライドを促進させる政策も実施しています。
フライブルクでもこのような公共交通政策を実施しており、市街地の繁華街では車の通行を心配することなく、のんびりショッピングを楽しむここができます。よく車社会の日本人の方からは、買い物などは不便ではないかと尋ねられることがありますが、市街地へはトラムで移動し、おしゃれなファッションブランドの買い物をしたり、おしゃれなレストランなどでパーティー楽しんだりする一方、日常品や食材などは郊外にあるショッピングセンターに車ででかけて購入しますので、その使い分けがうまくできているのだと思っています。日本の中小都市では市街地商店街の衰退などが問題になっていますが、フライブルクなどでは市街地の環境が保全されるだけでなく、歩行者が快適にショッピングできる快適性も実現し、市街地の活性化にもつながるという成果がみられます。
私もこのような公共交通政策によりフライブルクの市街地で快適なショッピングなどを楽しむことができることは誇りに思っております。少しの不便さは我慢しながら環境を維持したり、安全安心な生活をもとめることは、これからの社会ではとても必要なことであると思っていますので、皆さんもフライブルクを訪れる機会があれば、そのようなことを考えるきっかけになるのではないかと期待しています。