平成の内にやり残したことはやっておきたいなぁ、と最近何かにつけて思います。
昨年年末から書いていたアルスラーン戦記の最終巻の感想も実は余りにも酷い結末に、完結を待ち続けた日々が泣けて来るくらい哀しくて途中で止めたままにしてましたが、大掃除で書庫を片付けたら角川書店版から光文社版まで並んでいるのを見て、やはり書いておこうと思います。
エステルの死に私もガックリきましたが、15巻ではガックリどころではない死を見届けました。
第一部1巻~7巻でのパルス無双の要、(宮廷画家)軍師ナルサスと彼を愛するアルフリードの死。
皆殺しの田中芳樹ですから覚悟はしてたけど、まさか本当にナルサスを最終巻の一つ前で退場させるとは…
何か深い考えでもあって少人数でアルスラーンから離れているのかと思ったら、結論から言えばナルサスの最後の策などなく、新婚のアルフリードを連れてのんびり調べ物をしている最中に、この世で最も憎まれてるヒルメスの不意打ちにあって亡くなった。
落馬し背中強打で痛くて動けないナルサスを殺っちゃうヒルメスも騎士道精神のないヤツです。
せめてアルフリードは生かしてナルサスの子供を産む役割にするとかして欲しかった。
アルスラーンの十六翼将はアルスラーンを筆頭に子孫がいない。
銀英伝ではラインハルトの子やミッターマイヤーの養子などが力を合わせてローエングラム王朝の基盤をしっかり作るんだろうななど想像するのも楽しい余韻があったのに、ダリューンにもナルサスにもエラムにだっていない。
エラムなんて生き残って夫婦になったのに何故か子供がいない。
一体誰がアルスラーンのことを後世に語るというのか。
16巻はジャスワントの死から始まり、味方も敵も何の見せ場もなく次々サクサクと亡くなっていく。本当に悲しいホロリ
しかも過去の田中作品で既に書いたような死にかたが多い。
自分の作品からパクるのは構わないけど、読者的にはまたか!となります。
ナルサスを殺したヒルメスは蛇王ザッハークがのり憑いたアンドラゴラスをみて叫びながら逃げ出すダメっぷり。
そこは敵わずとも一太刀なりと浴びせて、さすがカイ・ホスローの直系よと思わせて欲しかった。
第二部の冗長などうでもいい話が続いたのは、ヒルメスのわけのわからない行動だと私は思ってます。
関わる国や人が次々破滅していく。イリーナ姫とどこかでひっそりと幸せになっていれば良かったのに。
ヒルメス戦記なんか始めるからこの始末。
そして人間相手なら絶対死なないだろうダリューン、誰より強いダリューンにヒルメスは遂に討たれる。
同情すらできない呆気なさ。尊師との関係とかの説明すらなかった。
ラスボス蛇王ザッハークは魔王な存在だと思ったら、「自分は千年前の聖賢王ジャムシード時代に作られた人造人間だ」と語りだしてしまった。
えー!田中芳樹先生、まさか鋼の錬金術師に影響された?と思わず叫びそうになりました。
なんだかイメージの違ったザッハークにあのダリューンが討たれてしまう。あぁ…思ってたんと違う…
キレたアルスラーンが宝剣ルクナバードでザッハークと戦う。
ギーブとファランギースがたった一人で戦わせるわけないと思うし、国1番と2番の射手が援護射撃すらしない。
こんな作品1番の大見せ場がたった1ページで描かれるなんて、全盛期の田中作品では考えられないですよ。
結局アルスラーンとザッハークは相打ち。しかも将来ザッハークは復活するかもとギーブが言ってたから、アルスラーンはパルスから蛇王の呪縛さえ真に解放できなかった。
アルスラーンはダリューンと同じ墓に眠りたいと遺言する。
腐女子へのサービスだろうか… まぁ、ナルサスの横にはアルフリードがいるから仕方ないけど、エステルのことは頭にもないの?
解せない。エステルの存在故に陛下は結婚出来ないと言われてたくらい執着してたのに。
兄のように慕っていたダリューンと眠るアルスラーン。
鞘の中で眠る宝剣ルクナバードの次なる所有者を探し、アルスラーンの遺志を継ぐ者に渡す役目をエラムに託して。
残ったギーブ、ファランギース、エラムは親しい仲間やその親族を連れてシンドゥラのラジェンドラのもとに亡命し、パルスタンを作り、ラジェンドラの要請でシンドゥラの為に戦ったりしながら(ギーブがアルスラーン以外の王に仕えるとかないない!)ギーブは蚊に刺されて亡くなり、ファランギースも病で亡くなり、エラムはアイーシャと夫婦になり、キシュワードの遺児アイヤールを育てるも二人の実子には恵まれないまま、アイーシャも亡くなる。
アルスラーン死後暗黒の空位時代を迎えていたパルスをもう一度統一するため、エラムとアイヤールとアイヤールの息子ロスタム(この名前、王書読んだ時からいつか出ると思ってたよ)はペシャワール奪還を目指す。
ある時、何かピンときた六十歳の老エラムは若いロスタムに宝剣ルクナバードを鞘から抜いてみろと命令する。
ロスタムは驚きつつもルクナバードの鞘を持ち、右手に柄を掴み抜こうとすると、剣は自らの意思で鞘から飛び出すかのように勢いよく鞘走って月光を浴びてきらめいた。
「おお、(陛下の志しを継ぐのは)そなただったか」
アルスラーンの死後五十年、エラムがアルスラーンから託された願いはロスタムが受け取った。
パルスを「望ましの王土」にするため、ロスタムの長い戦いが始まる。
エラムの役割は終わった。
月明かりのした、エラムは一歩進むたびに変化がおこる。
どんどん若返っていくことにエラムは気付かない。
そして、目の前に次々現れる懐かしい人々。
イスファーン メルレイン ギーブ ファランギース アルフリード ジムサ ジャスワント トゥース パラフーダ ザラーヴァント グラーゼ クバート ナルサス ダリューン そして左肩にアズライールをとまらせたアルスラーン!
エラムは一頭だけ空だった馬に乗り、「陛下 何処へ参るのでしょう」と若々しい声でたずねる。
アルスラーンは微笑みながら
「空は無限だよ、エラム。空の下もまた無限だ」
アルスラーンと十六翼将は満月の下進んでいく。
こんなシーン銀英伝でミッターマイヤーが夢でみたよね?
ラストはエラムがロスタムに語った言葉で終わります。
「アルスラーンとは、ひとりの王の名前ではない。王としての在り方をしめす言葉なのだ」
このシーンだけは少しウルッときました。
7巻で終わっておけば最高だったのに。
最終巻はあらすじを読んでいる感じでした。キャラへの愛情が感じられない描写が残念でなりません。
ザッハークをなんとか倒し、蛇王からの呪縛を解放し、奴隷も解放した解放王アルスラーンの治世はパルスの歴史に輝き、十六翼将の活躍も綺麗星の如くアルスラーンの治世を彩ったのである。
…みたいなのが良かったなぁ。
戦記ものだから皆殺しはわかるけど、やっぱりもっとパルスのために活躍したアルスラーンを見たかったです。
読んでくださりありがとうございました。
昨年年末から書いていたアルスラーン戦記の最終巻の感想も実は余りにも酷い結末に、完結を待ち続けた日々が泣けて来るくらい哀しくて途中で止めたままにしてましたが、大掃除で書庫を片付けたら角川書店版から光文社版まで並んでいるのを見て、やはり書いておこうと思います。
エステルの死に私もガックリきましたが、15巻ではガックリどころではない死を見届けました。
第一部1巻~7巻でのパルス無双の要、(宮廷画家)軍師ナルサスと彼を愛するアルフリードの死。
皆殺しの田中芳樹ですから覚悟はしてたけど、まさか本当にナルサスを最終巻の一つ前で退場させるとは…
何か深い考えでもあって少人数でアルスラーンから離れているのかと思ったら、結論から言えばナルサスの最後の策などなく、新婚のアルフリードを連れてのんびり調べ物をしている最中に、この世で最も憎まれてるヒルメスの不意打ちにあって亡くなった。
落馬し背中強打で痛くて動けないナルサスを殺っちゃうヒルメスも騎士道精神のないヤツです。
せめてアルフリードは生かしてナルサスの子供を産む役割にするとかして欲しかった。
アルスラーンの十六翼将はアルスラーンを筆頭に子孫がいない。
銀英伝ではラインハルトの子やミッターマイヤーの養子などが力を合わせてローエングラム王朝の基盤をしっかり作るんだろうななど想像するのも楽しい余韻があったのに、ダリューンにもナルサスにもエラムにだっていない。
エラムなんて生き残って夫婦になったのに何故か子供がいない。
一体誰がアルスラーンのことを後世に語るというのか。
16巻はジャスワントの死から始まり、味方も敵も何の見せ場もなく次々サクサクと亡くなっていく。本当に悲しいホロリ
しかも過去の田中作品で既に書いたような死にかたが多い。
自分の作品からパクるのは構わないけど、読者的にはまたか!となります。
ナルサスを殺したヒルメスは蛇王ザッハークがのり憑いたアンドラゴラスをみて叫びながら逃げ出すダメっぷり。
そこは敵わずとも一太刀なりと浴びせて、さすがカイ・ホスローの直系よと思わせて欲しかった。
第二部の冗長などうでもいい話が続いたのは、ヒルメスのわけのわからない行動だと私は思ってます。
関わる国や人が次々破滅していく。イリーナ姫とどこかでひっそりと幸せになっていれば良かったのに。
ヒルメス戦記なんか始めるからこの始末。
そして人間相手なら絶対死なないだろうダリューン、誰より強いダリューンにヒルメスは遂に討たれる。
同情すらできない呆気なさ。尊師との関係とかの説明すらなかった。
ラスボス蛇王ザッハークは魔王な存在だと思ったら、「自分は千年前の聖賢王ジャムシード時代に作られた人造人間だ」と語りだしてしまった。
えー!田中芳樹先生、まさか鋼の錬金術師に影響された?と思わず叫びそうになりました。
なんだかイメージの違ったザッハークにあのダリューンが討たれてしまう。あぁ…思ってたんと違う…
キレたアルスラーンが宝剣ルクナバードでザッハークと戦う。
ギーブとファランギースがたった一人で戦わせるわけないと思うし、国1番と2番の射手が援護射撃すらしない。
こんな作品1番の大見せ場がたった1ページで描かれるなんて、全盛期の田中作品では考えられないですよ。
結局アルスラーンとザッハークは相打ち。しかも将来ザッハークは復活するかもとギーブが言ってたから、アルスラーンはパルスから蛇王の呪縛さえ真に解放できなかった。
アルスラーンはダリューンと同じ墓に眠りたいと遺言する。
腐女子へのサービスだろうか… まぁ、ナルサスの横にはアルフリードがいるから仕方ないけど、エステルのことは頭にもないの?
解せない。エステルの存在故に陛下は結婚出来ないと言われてたくらい執着してたのに。
兄のように慕っていたダリューンと眠るアルスラーン。
鞘の中で眠る宝剣ルクナバードの次なる所有者を探し、アルスラーンの遺志を継ぐ者に渡す役目をエラムに託して。
残ったギーブ、ファランギース、エラムは親しい仲間やその親族を連れてシンドゥラのラジェンドラのもとに亡命し、パルスタンを作り、ラジェンドラの要請でシンドゥラの為に戦ったりしながら(ギーブがアルスラーン以外の王に仕えるとかないない!)ギーブは蚊に刺されて亡くなり、ファランギースも病で亡くなり、エラムはアイーシャと夫婦になり、キシュワードの遺児アイヤールを育てるも二人の実子には恵まれないまま、アイーシャも亡くなる。
アルスラーン死後暗黒の空位時代を迎えていたパルスをもう一度統一するため、エラムとアイヤールとアイヤールの息子ロスタム(この名前、王書読んだ時からいつか出ると思ってたよ)はペシャワール奪還を目指す。
ある時、何かピンときた六十歳の老エラムは若いロスタムに宝剣ルクナバードを鞘から抜いてみろと命令する。
ロスタムは驚きつつもルクナバードの鞘を持ち、右手に柄を掴み抜こうとすると、剣は自らの意思で鞘から飛び出すかのように勢いよく鞘走って月光を浴びてきらめいた。
「おお、(陛下の志しを継ぐのは)そなただったか」
アルスラーンの死後五十年、エラムがアルスラーンから託された願いはロスタムが受け取った。
パルスを「望ましの王土」にするため、ロスタムの長い戦いが始まる。
エラムの役割は終わった。
月明かりのした、エラムは一歩進むたびに変化がおこる。
どんどん若返っていくことにエラムは気付かない。
そして、目の前に次々現れる懐かしい人々。
イスファーン メルレイン ギーブ ファランギース アルフリード ジムサ ジャスワント トゥース パラフーダ ザラーヴァント グラーゼ クバート ナルサス ダリューン そして左肩にアズライールをとまらせたアルスラーン!
エラムは一頭だけ空だった馬に乗り、「陛下 何処へ参るのでしょう」と若々しい声でたずねる。
アルスラーンは微笑みながら
「空は無限だよ、エラム。空の下もまた無限だ」
アルスラーンと十六翼将は満月の下進んでいく。
こんなシーン銀英伝でミッターマイヤーが夢でみたよね?
ラストはエラムがロスタムに語った言葉で終わります。
「アルスラーンとは、ひとりの王の名前ではない。王としての在り方をしめす言葉なのだ」
このシーンだけは少しウルッときました。
7巻で終わっておけば最高だったのに。
最終巻はあらすじを読んでいる感じでした。キャラへの愛情が感じられない描写が残念でなりません。
ザッハークをなんとか倒し、蛇王からの呪縛を解放し、奴隷も解放した解放王アルスラーンの治世はパルスの歴史に輝き、十六翼将の活躍も綺麗星の如くアルスラーンの治世を彩ったのである。
…みたいなのが良かったなぁ。
戦記ものだから皆殺しはわかるけど、やっぱりもっとパルスのために活躍したアルスラーンを見たかったです。
読んでくださりありがとうございました。