ゆりぢるのお勝手ブログ

心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書き付けてゆきます。

3日目、そして…

2015-08-30 23:30:00 | 日記
帰宅したらどんな惨状が待っているのか…とドキドキしながらドアを開けると、
もともとそんなに物を置いていなかったせいか
それほど荒れた様子ではなかった。
まぁ、カーテンが落とされていたことと、
いくつかのボトル類が落ちていたのは想定内か。

とりあえず、この夜はこのまま脱衣所の中で過ごしてもらって、
私はいい加減寝かせてもらうよ…

ケージから出された分、中で暴れるということはなくなったが、
やはり呼んでいるような鳴き声は
一晩中続いていた。

朝、目が覚めて「あぁトラオの所にいかなきゃ…」と
ウンザリしている自分に嫌気がさす。

相変わらず、目が合うとシャー!と威嚇してくるが、
離れると鳴き叫ぶ。

もう何もする気力がなくなってしまった。

甲高い子猫の鳴き声で動悸がする。
手が震えてくる。

こんなに「寂しいからそばに来て」と鳴いているのに
息苦しくていられない。
わかっているのに、身体が動かない。

でも…何か他に方法は…?
もっと別のやり方は…?

何度もスマホを持ったり置いたりを繰り返し…
どうしよう?どうしよう?

長男が言った。
「このままじゃ、お母さんがどうにかなっちゃうよ」
「毎日寝れないで、ご飯もあまり食べなくて」
「帰りたいと思える家じゃなくなってくる」

決心して、ネコをもらってくれないか、と頼んできた同僚にlineをした。

ごめんなさい。情けないことに私が限界になってしまいました。
いろんなことに板挟みになって
身動きが取れなくなりました。
ホントにホントに申し訳ないのですが、
お返しさせて頂いてもいいでしょうか…


すぐに返事が来た。


わかりました。
これから引き取りに行きます。
外で自由に過ごした時間が長くて、
縁がなかっただけです。


お返しするために、
洗濯機の後ろからトラオを連れ出す。

ニャーオ、ニャーオと鳴いていたが、
ゴロゴロとのどを鳴らして
大人しく丸くなった。

決心が揺らぐ。
この様子ならいけるんじゃない?
外に出して一緒に暮らせば大丈夫なんじゃない?

あぁ、でも銀太が…

悩んでいるうちにお迎えが来た。

「困らせちゃってごめんなさいね」
「元の所に返すからね。お友達のネコもいるから大丈夫。」

後に残った空のケージと、裏を覗いても誰もいない洗濯機。

後から後から涙が出てきて止まらなかった。
今でもこんなに泣けるのか、と自分でも驚くぐらい泣いた。

覚悟がないまま気軽にもらうと決めたこと。
トラオが望む愛情を与えてあげられなかったこと。
トラオに人間の身勝手さだけ植え付けてしまったのではないかということ。

いろんな後悔が次々浮かんできて
嗚咽となって溢れてきた。

私の手と足と、心に小さなひっかき傷を残してトラオは去っていった。