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空のものがたり

雲の造形、風のいたずら、注がれる光、
そんな空の一角を撮ってみました。
一緒に楽しんで頂けたら、うれしいな♪

竜姫と蛇姫6(嫉妬という炎)

2008年12月12日 | ちょっとしたお話


 
「ギャー! 熱い!」

なんということでしょう。 蛇姫が 炎に包まれていきます。

「父上様?」

竜宮の姫は 空を見渡しました。

「父上様、おられるのでしょ?」

「おろかなり   蛇姫とやら。」

空の気全体を震わすように 太く 静かに響く声がしました。

「そやつ、あまりの嫉妬と憎悪の激しさに、

自ら灼熱の炎を呼び込んでしまったのだろう。

さあ、かわいい私の娘よ かまわず我が許へ参れ。」

 
その時 竜宮の姫の耳に かすかな声が聞こえました。

「竜王さま 私は ただの蛇・・・わ・たしは・・・」


竜姫と蛇姫5(対峙)

2008年12月12日 | ちょっとしたお話


 
「姫様 こちらへ!」

使いの者は 二人の間に割って入ろうとしました。

「このままで よい。」

竜宮の姫は、蛇姫の嫉妬に燃える視線を 受け止め言いました。

「そなたが その望みを叶えた後、次に望むものは何であろう?

美しき姿で 人を魅了しようとも それに見合った魂を持たねば、

いずれ 自ずから 滅びの道を進むことになろう。」
 

「ふん、我は全てを手に入れる。

それには お前の美しさが 必要なのじゃ。

我は 決して滅びはせぬ。」
 

「おろかな・・・。なぜ素直になれぬ?

そなたが一匹の蛇の姿で現れし時、その瞳の奥には

深い悲しみと 僅かばかりの希望の光が見えたのだが・・・」
 
 
「ええい! 黙れ!! そちが憎い!

その気高さが憎い

その美しさが憎い

竜王のもとへ向かう そちの全てが憎い!!」