「ギャー! 熱い!」
なんということでしょう。 蛇姫が 炎に包まれていきます。
「父上様?」
竜宮の姫は 空を見渡しました。
「父上様、おられるのでしょ?」
「おろかなり 蛇姫とやら。」
空の気全体を震わすように 太く 静かに響く声がしました。
「そやつ、あまりの嫉妬と憎悪の激しさに、
自ら灼熱の炎を呼び込んでしまったのだろう。
さあ、かわいい私の娘よ かまわず我が許へ参れ。」
その時 竜宮の姫の耳に かすかな声が聞こえました。
「竜王さま 私は ただの蛇・・・わ・たしは・・・」