Tokyo日記

社会学者のよしなしごと

ほんとうによしなしごと

2007-11-23 02:05:03 | よしなしごと
とうとうまたひとつ本棚を買ってしまった。が、床に置いてあった本を入れても、すべては入りきらなかった。…。もう本を所有することはやめたいと思いつつも、なかなか実現しない。かといって、デジタルで読んでみたこともあるけれど(マンガなど)、やっぱりパソコンの前に座って読む、というものでもない気がする。マテリアルのかたちを取らないと、落ち着かない。

とくにあっという間に絶版になってしまう消費財のような書籍は、手に取ったときに買っておかないと、もう二度と会えない。と思うので、本がたまっていくのですが…。困ったものだ。

それはさておき。最近自分が年を取ったなぁと思うことは、他のひとが、あのひとのああいう発言が許せないとか、こういう論の建てかたはどういうつもりだ、というような批判を聞いても、それが大筋ではなっとくできるけれど細部に不同意がある程度なら、批判する側の情熱がまぶしいなぁと思ってしまうことである。まぶしいというか、わたしにはとてもできないなぁというか。

わたしももちろん、自分の考えをたえず押さえつけてくるある種の枠組みを批判することはあるけれど(それはそれで大切)、でも細かな点については、まぁいいじゃないの、そのひとがそういうことをいうのは、無理解だったり、関心がなかったり、誤解してたりするんじゃないの、で、全体や文脈を無視してそのことだけを取りあげて批判し続けることがそんなに重要だろうかと、相手がよほどの影響力のあるひとではないかぎり、そう思う。

というより、同じ次元で細かく批判するよりも、なんというか、論文を読んだひとが、深く頷いてくれるような大きな枠組みで違う物語を描きたいと思う。人生はとても短いので、自分のできることにも限りがある。そんななかで、瑣末なことに振り回されるのではなく、新しく美しい分析的なテクストを書くべきではないかと個人的には思うのである。