Tokyo日記

社会学者のよしなしごと

こうのとりフィーバー?

2006-09-18 07:55:25 | よしなしごと
41年ぶりに男児誕生!ということで、もっと日本列島が沸くかと思ったら、予想よりは冷めていて、ちょっと拍子抜けでした。

それにしてもこれまで9人女児が続いたということは、確率的に考えて1÷2の9乗。100を掛けると0.19パーセントの確率だったわけで、そのことこそ、すごい。今回のことで、その記録は、止まったわけですが。

しかし、なんとなくマスコミで流される映像はさておき、あまりにおめでとう感が少ないのは何でなんだろうか。どちらかというと、わたしの周囲は「雅子さん、可哀想。でも明るくなったみたいで、よかったね」というような感想をもっているひとが多い。

浩宮が結婚する前は、皇太子妃の条件として、外国語が堪能で、楽器が弾けて、背は皇太子よりは低く、家族にも犯罪者がおらず(弁護士は、犯罪人を弁護することがあるから身内として不適当らしいですね。ちょっとびっくり。まぁそもそも問題のある条件だと思いますけど)、容姿端麗で、人柄もよく…などと語られていたのですが、なんとなく今回のことで、「何はさて置き、とにかく皇室に入る人に期待されているのは、跡継ぎを産むこと」という事実が剥き出しになって、いっそうプリンセスへの憧れ感が薄れてしまったような気がする。

親王が結婚するときは、「絶対に男児を産むこと」が条件となってくるので、何だか凄いプレッシャーだろうなぁ。候補者が見つかるのだろうかと、少々心配してあげたくなってしまう。

それにしても皇室がいまや、生殖医療に彩られているのは、世相なんだろうか、何なんだろうか。皇太子夫妻が高度生殖治療を受けていたのは、周知の事実だが、今回の懐妊報道も、最初の時には確かに、「民間のやり方で産み分けをされた」と報道されていたように記憶している。ちょっと意外な報道だったので、覚えているのだ。しかしいつの間にかそのことは語られなくなり、第二子誕生後に「男の子はどうやったらできるの?」と紀子妃が聞いたと病院院長が発言したことにより、産み分け疑惑が再燃。「明言を避けた」というかたちで問題化されたことにより、今度は院長自ら「記憶違いでした」と謝罪することに。

個人的には、女児がふたり続いた妊婦さんが、「次は男児」と発言することは、あまり不自然な会話ではないと思うのだけどなぁ。むしろ前置胎盤で、しょっちゅう超音波にかけているのに、最後まで性別を知らないでいたというエピソードの方が、やや無理があるような気が…。

まぁ、なんにしろ、生殖に関してこういう風に熱い視線が注がれるのって大変なんだろうなぁ。以前は、30歳以上は高齢出産だったのに、今や42歳の雅子妃にも「まだあと一人」と期待される時代。20-24歳のコーホートより、35-39歳のコーホートの出生数の方が多いという高齢出産世相を反映しているんでしょうけれど。でもそろそろ解放してあげればいいのに。