Tokyo日記

社会学者のよしなしごと

誰の為のセキュリティ

2006-08-21 02:22:30 | よしなしごと
日本の出国は簡単だったものの、ヒースロー空港でテロ騒ぎがあった(らしい)せいで、乗り換えするときにはもうすごい騒ぎになっていた。

出国手続きに1時間以上。いまだかつて体験したことがない。だいたい10-20分を見積もっていたので、さすがに驚いた。

検査は長蛇の列で、鞄の中の化粧ポーチまで取り出して、化粧水乳液はもちろん、なんとリップグロスまで取り上げていた。わたしの前の女性は、制汗剤(固形)以外の化粧品をほとんど全て取り上げられて、泣きそうになっていました。わたしは、その女性を熱心に取り調べているひとがいるせいで、フリーパス。係員が彼女にかかりっきりになっているおかげで10人以上のひとは助かった。こんなランダムな厳しい検査になんの意味があるんだろうなぁと、ばかばかしく思う気持ちを抑えきれない。

ボディチェックは、時計や下着の金具にまでピーピーいわす念の入れよう。時間が掛かるので荷物がスタックしてしまい、盗難を心配してこちらは気が気じゃないのに、なかなか通してもらえないので、やっと自分の番だと急いで通ったら、I said wait a second.と係員に怒られました。

で、怒った係員がそのあと意味不明なことをずっと繰り返すんですよ。ここまで何をいわれているのかわからないことってあんまりないんだけどなぁと思いつつ、「ごめんなさい」「よくわからない」を何回か繰り返したら、I said how are you in Japanese! といわれて、がっくりーーーー。こんなみんなの緊張の高いシチュエーションで、そんなこといわれてもなぁ(しかもなんていっているのか、やっぱりわかんなかった)。最後には、「あいしていますー」っていってましたが、誰が教えたんだこんなの。

さらにびっくりしたのは、売店のジュースも販売禁止なこと。ガムテープで飲料水の棚を封じてありました。初めはなぜかわからなかったよ。手続き終わったあともダメなのか。。。

しかしこんな馬鹿馬鹿しい騒ぎが誰のためのものなのか、何の役に立つのか、考えると虚しくなってくる。実際には何の役にも立っていない(チケットもパスポートもなしに旅行できた事件がちょうど起こったし)、がしかし、象徴的にはとても意味のあるコントロールなんでしょう。とほほ。

あとはアメリカ入国も、厳しい。指紋や写真を採られたり、ということだけではなく、日本人観光客はフリーパスに近いかたちで通されるかと思いきや(わたしは乗り継ぎですぐアメリカ出国予定なので、割と大丈夫だったけど)、「アメリカには誰か知り合いがいるのか」「どうやって知り合ったのか」「ガールフレンドじゃないのか」「相手は何をやっている」「お前の職業は何だ」と詰問されている人もいて、「要約すれば、あなたがふらふらと不法就業&滞在するんじゃないかと疑われているんだよ」と相手の教えてあげたくなるような珍問答(つまりは、自分は日本に職をもっていて絶対に帰るし、単なる観光なんだよこんなのとアピールしないとー)で、なんだか気持ちが暗くなったんでした。