Tokyo日記

社会学者のよしなしごと

久しぶりにフィギュアについて

2007-07-22 22:36:03 | よしなしごと
まだ冬が近づいてきていないというのもあるが、最近フィギュア(スケート)熱があまり盛りあがってきてはいない。というのも、高橋大輔、世界選手権で、銀をとりましたねぇ。ちょっとびっくりしました。

高橋君はどちらかというと、というよりかなり、プレッシャーに弱いタイプだったので、メダルを狙える位置にSPでつけて、地元開催、ときたら、今までだったらもう駄目だろうと「怖くて見れないわ」という気持ちになり、TVでも観なかったんですが、LPでは見事1位で、総合で2位に輝きました。演技そのものの質ならNHK杯のほうがよっぽどすごかったんですが、なんというか、やっぱりドラマを感じて、陳腐な言い方ですが感動してしまいました。

もうわたしの応援は必要ないのね(…初めからない)という気持ちになり、高橋君の卒業を見送ったような感じ…。しかしニコライ・モロゾフ、振付師としては、選手にあった実に点の取れるプログラムを作り、コーチとしては精神面で弱いひとを応援するのがうまいひとですねぇ。荒川静香にはコリオグラファーとして貢献したかもしれませんが、そういう意味では、高橋大輔や安藤美姫にあったコーチなんだろうなぁと思います。

安藤美姫は、やっぱりジャンプが上手い選手で、細かな情感を表現するタイプの選手ではない、と思います。なのでその前のオリンピックのシーズン、マイファニーヴァレンタインを選んだのは、「表現力をつけたほうがいい」といわれたからで、実際に滑り込めば味のある、わたしは好きなプログラムなんですが、先シーズンの腕をブンブン振り回すような、悪く言えば粗雑さが目立たない、よく言えば元気なプログラムのほうが彼女の魅力を最大限に引き出していたと思います。

で、わたしが今注目しているのは、浅田真央。このひとには、求道者のような趣がありますね。もう既に点数を取るよりも、何というかひとりで淡々とフィギュアの世界の天井に挑戦していっているような印象を与えます。先シーズンでは、ステップからのトリプルアクセルに挑戦していましたね。女子でトリプルアクセルを跳べる選手なんて何人もいないのに、なぜ成功するとは限らないステップを入れるのでしょう? プログラムも派手さはないのに、実に難解なものを選んでいる。安藤美姫が実力以上の点数をとるためのプログラムを組んでいるとしたら、実力からすれば損をしかねないプログラムを組んでいる。

別に手堅く優勝したいわけではない、圧倒的に技術を磨いて実力をつけて自分に勝ちたいのだ、という印象を与える浅田真央に、驚きました。正直にいえば、圧倒的に浅田真央のほうが上手いと思わされたのに、僅差で敗れた先シーズンは、気の毒でした。今シーズンはどうなっているのかなぁ、年齢以上の期待をかけられても、淡々と受けこなしている浅田真央が楽しみです。

恩田美栄が引退して、個人的にはとても淋しいです。引退前に、最後の一花を咲かして欲しかったと思いますが、お疲れさまでした。新旧交代を大きく印象づけた先シーズンでした。今シーズンはどうなるのでしょうか?(しかし日本の選手の話ばかりで終わるっていうのも、本当に日本のフィギュアの層が厚いってことですね)。