松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

冷え性改善に取り組む好機です

2008-05-23 | 養生の栞-食・眠・動-
冷え性を改善したいと思っている人には
これからが好い時節といえるかもしれません。
取り組み始めるのならば
まだ冷房ガンガンにならない今がチャンス。


冷えの仕組みを導引などで培った知識で考察してみると
やはり気血の状態に左右されるのではないかと考えられます。

気(エネルギー)には体温を保ち臓腑を温める働きがあり、
この役目を担う気を「陽気」と呼びます。
(ちなみに気にはいくつかの種類があり
役割ごとに呼び名があります)
そして気を全身に運ぶ役目を担っているのが血(けつ)です。
一般的にみた場合、活動性というのは
そのほとんどが冷えると減退し、
温まると増大する傾向にあります。
したがって気血の巡りがよくないと
体温を保つことが難しくなってくるので、
限られた気をなるべく消耗させまいとして
心臓から遠い部位の巡りを減退させていきます。
手足が冷たくなるのはこのためです。

やや気が消耗し不足する傾向が慢性的になってくれば
手足のひえひえ感にとどまらず、
内臓を温めることも難しくなってきてしまいます。
それはとりもなおさず内臓の働きにも影響してきます。
とくに女性の場合は骨盤内に位置する内臓が
冷えやすくなる場合が少なくありません。
生理痛や子宮筋腫なども
気血の巡りが滞っていることも一因とされています。
ちなみに気血の巡りが滞っている状態を
気滞、血オ[病ダレ+於]と呼びます。
たとえばコリや張りを感じる部位などは
このような状態にあると考えられます。
文字通り気血が動けなくなって固まっているわけです。

気滞を起こすと気持ちの抑うつや
痛みをともなう症状(神経痛など)が出てきたりします。
また血行も悪くなっていますから
冷えは強まる傾向にあります。


季節はいま、陽気あふれる時期を迎えています。
自然の恵み(陽気)を少しでも体内に取り込みたいものです。
冷えやすい傾向にある体質であれば
なるべく気の消耗を防ぎ気を補うように心がけましょう。
適度な運動をすることで新陳代謝を促し
陽気を取り入れやすい体をつくりましょう。
ストレスを貯め込まないようにして
こまめに発散させましょう。
そして休養(睡眠)は気を補う大切な役割。
15分くらいの昼寝をするだけでも
気の充電はバッチリです。
疲れやすいと感じるときなどには
特におすすめです。


夏の初めの過ごし方

2008-05-20 | 養生の栞-季節と養生-
先週の土曜日のこと、
教室での練習を終えて駅に向かいながら先生と養生談義。

御苑の入り口付近では
早くもかき氷の屋台が出ていました。
ちょっと早すぎではないかしらんと思い
先生に話しかけてみたところ
「夏の盛りに冷たいものをとるのはよくないが
夏の初めはいいのです」との
意外とも思えるようなお言葉が返ってきました。

その時は「そうなんですか…」と
答えてはみたものの、やはり気になりました。
そして自分なりに納得できるような
根拠らしきものを導き出せたとは思っているのですが。
以下は、いわばその私的な仮説です。

夏は陰陽の気が盛んに交流します。
そして陽的なものが表立って活発になり
陰的なものは(陽的なものを)サポートする側にまわります。
しかし夏の初めの頃は
夏向きの陰陽バランスへと移行している段階にあり
まだ安定しているとはいえず、
外的環境と体内の陰陽バランスが
うまく対応できなかったりして体調を崩すこともあります。

たとえば夏日のような暑さも
数回体験するうちに体は自然に順応してゆくものですが、
もし体がうまく順応しきれていないなと思ったら
意識的に夏モードへとシフトさせるように
体に働きかけて(刺激を与えて)みるのも
体調をととのえる効果として期待できそうな気がします。
おそらく先生の言われる
「真夏に冷たいものをとるのならば
むしろ初夏の頃にとる方がよい」というのは、
このような視点からの言ではなかろうかと
思ったりしています。


外的環境の変化にうまく順応できないときは
気血の巡りに問題があると考えられます。
つまり、全身をくまなく巡るだけの
気血の量そのものが不足ぎみになっていたり(気虚、血虚)、
気血の量は足りているのに
何らかの理由で気血が通りにくい、
流れにくい状況(気滞)が起こっていると考えられます。

そこで意識的に働きかけてみるわけです。
イマイチ夏に乗り切れない体は
いわば陰ぎみに傾いているので陰的。
そこに氷の冷たさ(陰的)の刺激を与えると
やや陰ぎみの体に対して
もっと陰性の強い陰が存在することによって
弱い方の陰は必然的に陽的にならざるを得なくなります。
これでイマイチだった体も夏向きにシフトすることが
できそうですね。


このように陰陽の性質がわかってくると
いろいろな事象についても
自分なりに説明がつくようになるので
また一段とおもしろくなってきます。

ちなみに夏の盛りに冷たいものをとるのはよくない
とされる理由についてはどうでしょうか。
ちょっと考えてみませんか?
ヒントは
やはり陰陽の性質のひとつ
「陰きわまれば転じて陽となり、陽きわまれば転じて陰となる」、
きわみは次のはじまりでもあるという意味です。
夏の盛りとは陽のきわみともいえますよね。

夏の養生 -黄帝内経より-

2008-05-18 | 養生の栞-季節と養生-
今年は5月5日に立夏を迎え、夏が始まりました。
これから立秋の前までの3ヵ月の間に
立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑の6つの節気が
巡ってきます。


 夏季の養生
夏は「生長」の季節です。
自然界では天地の間で
陰陽の気が盛んに交流します。
陽気が多く発生するので
万物はどんどん成長し咲き栄えます。

したがって夏の養生は、
夏の生長(成長)の気に相応する状態に
ととのえることが基本となります。
つまり、夏に満開となる花と同じように
体内の陽気をほどよく発散させるような
外界志向性を出すようにします。


いくらか夜更かしをしてもかまいませんが
朝は早く起きるようにし、
日の長さや暑さを厭わないようにします。

感情面では何事に対してもむやみに怒らず
いつも気持ちよく
愉快に過ごすようにつとめます。

もし、これに背くと
夏によく活動する心気*が傷み
秋になって瘧(おこり)**になります。
     (黄帝内経 素問:四気調神大論より)


新暦5月には立夏・小満の2つの節気が含まれていますが、
この時期はいわゆるる夏の初め(孟夏)。
気温も目に見えて高くなって夏日が訪れたり、
雨や雷も多くなるなど
春に別れを告げ夏の到来を実感します。
気温の上昇とともに
薄着になったり、掛け布団も薄くしたりしがちですが、
季節はまだまだ行きつ戻りつしながら移り変わっている時期です。
風邪に気をつけましょう。


 *心気…心は西洋医学でいう循環系と中枢神経系の両方をさすと考えられる
 **瘧…間歇熱(平熱と発熱をくり返す)



推手練習

2008-05-15 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
推手の雰囲気にようやくなれてきたかなと
思い始めている今日この頃。

相手によって自分が変化していることを感じられる
余裕みたいなものが出てくると
反対の状況、つまり相手を無視したかのように
まったく変わろうとしない頑さもあることを教えてくれたりする。
なんだかな~
自分の性格そのままなんじゃないの?

最近の推手は競技性の強いものが
好まれているのかもしれないけれど
自分達の推手は相手と勝敗を競うようなことはせず、
どちらかといえば
相手と自分とのバランスをはかる感覚を
引き出そうとしている。

つまり互いの接点となる手を介して相手を感じながら
相手と自分を活かしながら
同時に一つになる(協調している)状況を探り出す
協同作業のようなものかと。
(気分はちょっとゲーム感覚に近いともいえるかも)


組む相手によって学べる内容も違ってくる。
二人の間の流れ(交流)が安定してくると
自然に落ち着いてくるから余裕がうまれ
両者間で陰陽の交流が行われているのが感じられる。
外見上は規則的な軌道(ルーティーン)に見えるが
内面的にはけっこう微妙に変動している。

上の人と組めば、安定した流れの中で
いろいろと仕掛けてきてくださるわけで
来るな来るなと分っていながら
その都度オタオタし行き詰まり固まる自分。
足りないものがよーくわかる。

経験の浅い人と組めば
どうしても相手に合わせることになる。
だからといって常に受け身なのかといえばさにあらず。
相手を自分のペースにうまく導いてくれば
受け身とは言い切れないわけだ。

ということを少しずつ理解してきてはいるのだが
実践できているかどうかは、また別問題。
ある程度の経験数(量)があって、
はじめて求めるべき質の内容がわかってくるのだろう。
無駄になるものなんかないと
思っていてもいいくらいかもしれない。
って、カッコつけてるけれど
実際はおもしろいと思うからやっているだけで。


昨年の夏から始まった推手練習会。
便宜上“練習会”とは言っているけれど
お茶を飲みながら談笑したり
どちらかといえば推手を介して出会い交流する場
といった方がふさわしいのかも。
レトロモダン風に言えば『推手サロン』とでもいうのかな。
今風ならば『推手バー』?
いや、これはちょっと似合わないかも

気分転換

2008-05-07 | 日常雑記-暮らしの逸話(エピソード)-
デザイン(テンプレート)を変更しました。
そのときどきの状態を
何となく象徴してたりするのかもしれません。

ちょっとだけ爽やかな芽が
こころにも見えてきたような気がするので
開放感のあるものに変えてみたのです。

相変わらず静的な孤独っぽいデザインを
選ぶ傾向にはありますが、
空間を怖いと思わなくなったみたいですね。
って、アートセラピーとかでもないので
心理分析みたいなことなど知っちゃあいませんが…。

そういえば手の相も
こころなしかスッキリしてきたかも。
悪くはないみたいですね。

緑がホントにきれいで気持ちが洗われるようです。
陽光を浴びて光ってます。
つややかで柔らかで初々しい青葉たち
独特の青臭い匂いもいいですねぇ。
木の芽時とはいいつつも
こんな穏やかな気持ちでいられるときもあるんです。
私にとって、きょうは好い日和みたいです。

筋肉反射

2008-05-06 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
たとえば整体施術を受ける度に
「もっと体の力を抜いてラクにして」と指摘されます。
本人は施術する先生に身を任せている“つもり”だから
「えっ? 力なんて入れてないですよ」と
思わず言いたくなるくらい。
っていうか、ほとんど言ってますよね、先生。
(手こずらせてばかりですみません…)

意識的に対抗しているわけじゃないんです。
コリや痛みを解消したくて、
心地よさを味わうために施術を受けに来ているわけですから。
それなのに、まるで施術を拒んでいるかのような
反応をしてしまう体。
これがいわゆる筋肉反射です。

要するに、まったりしたい気持ち(心)とは裏腹に
肉体は外からの圧に対して
ただ反射的に抵抗をくり返しているわけです。
このギャップは何?
心と体の両者の間に何が起きているのか?
そこを理解していかないと。

そしてこの筋肉反射の影響は
導引練習にもくっきり鮮やかに反映されています。
課題となっている緊張感の一因であることには
間違いないわけで。

ただ、筋肉反射は本来あってしかるべき反応であって
むしろ瞬時に反応してくれないと困ることの方が
多いのではないかとも思えます。
そのあたりを理解した上で、
たとえば反射しなくてもよさそうな状況のときぐらいは
ちょっとお休みしてみたら?
というのが導引的な視点による説得というか…。

『理由なき反抗』っていうのは
ないような気がしているんですけどもね。

ただいま再構築中につき…?

2008-05-03 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
急に痩せたと言われたりすると、
体調イマイチ状態が続いているだけに
ちょっと気にはなるものの、
体重は2月頃に比べて3キロ減、
その後は1キロくらいの間を前後している。
とくに減り続けている様子もない。

自分でもこのところの体形の変化は自覚している。
もともとが筋っぽい肉付きの傾向ではあるのだけれど、
さらに腕や脚が細くなってきている感じがする。

そういえば知り合いのダンサーが
こんな体つきだったような気がする。
跳んだりはねたりするのに
どうしてあんなに細いのか不思議だった。

もしかしたら自分のいまの状態も
従来の身体操作で構築した肉のつき方を
変えようとしているのかも。
スタミナもないし、体力も落ちているような印象も
確かにあるのだけれど、
力を入れないでいるときの筋肉の柔らかな感じは
何となく好感を持てそうな気もしたり。

なにしろこの体も
一戸建てに例えてみれば築ン十年、
あちこち使い勝手が悪くなってきても
建て替えるわけにはいかないので、
何とかくふうしながら
修繕していくことになるのでしょうね。


これが吉と出るのか凶と出るのか…
それもまたひとつの過程。


正気不足のようです

2008-05-02 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
日頃から正気が不足しやすいので
休養の質を見直すことを中心に
生活習慣などをときどき省みているわけですが。

いちばん気になるのは睡眠の質です。
ところがどうも量も足りない傾向だったのかも。
というか、質がイマイチな分を
量で補わなければいけなかったらしい?

実はいつもはしない二度寝というのを
やらかしてしまったのです。
しかも昼寝で…。
頭がぼんやりしてだるい感じがする一方で
気になっていた腰などの違和感は軽くなっていました。

う~む。
なるべくいつもと同じリズム(日課)を過ごすなかで
調整していくのがよいのかと思ってましたが
どうやら一概にはそうとも言えないのかな?

全般的に交感神経が昂りやすく
副交感神経が圧され気味な印象があり
心理的には落ち込みたがっているみたいです。
そういう形でのバランスはとってほしくないんだけど…。
もう少し他の方法を思いついてくれないかな。

鬱々としたり不安や心配事などに限らず
脳は絶えまなく働き続けていますから
気はどんどん消耗されていくことになります。

とりあえず意識導引を行うことで
脳のヒート状態を静めて
眠りの質を整える方向を探ってみています。