松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

今月の課題 「鬆(松)と静」「方向」

2012-05-13 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
5月は共通課題の「鬆(松)と静」、そして「方向」です。
方向には「方」と「向」というそれぞれの概念があります。



■鬆(松)と静

「鬆」は体のメイン意識。その意識の段階は3つ。

 1.力鬆…筋力をゆるめる。動きに必要な最低限の筋力にとどめる

 2.体鬆…体の密度が変わる。膨らむ。
        固まっている状態から拡散する、太くなるような感じ。

 3.形鬆…とける、溶解。空気と渾然一体となった感じ。



「静」は内部に対する要求、意識。段階は3つ。

 1.無外…周辺は無視して練習する
        視而不見、聴而不聞。
        (みえてもみない、きこえてもきかない)

 2.無欲…欲を持たずに練習する
        事例:成敗(うまくいくか、いかないか)        
           得失(得られるか、失うか)
           美丑(うつくしいか、そうでないか)

 3.無情…感情を用いない、持ち込まずに練習する



鬆(松)と静は同時進行。
(両者は相互に影響し合う関係ということかなと理解)



■方向の「方」

空間(立体、球体)のイメージ


自分の体が空間の中心にあるようにイメージする。
それは中心からあらゆる方位に
自由に動けることを意味するイメージでもある。

そして空間の中心に重なるのが体(体幹)の中心、重心
動きのスタートはいつも中心からといわれる所以か。
ということは、バランスが崩れるときは
重心と空間の中心を重ねられなくなったとき
ということになるのかな。



■方向の「向」

向かおうとする意、「勢」(勢い)


「向」は動きをともなうイメージで
そのときの勢が目指している方位が「方」。
つまり「方」が先に決まらなければ
「向」は始まらないということか。
「方」が曖昧であれば「向」もまた曖昧になる。
明確な動きにはならない。

また、「向」は動き、即ち移動をともなうことで
時間という概念も含まれるようになる。
「向」はただいま現在であり、
「方」は未来とも言い換えられるのではないか。
現在(向)の行く手には未来(方)がある。

人の一生も同じかも。
「前向き」なんて言葉は
まさに方と向そのものではないのかな。



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