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佐藤よしみさんから個人誌「帆・HAN23号」が届いた。
佐藤さんは二十代の頃から数十年に亘って
現代短歌を牽引するおひとりだ。「帆・HAN23号」には
「風のゆくえ」30首と連載「琉歌(うた)の見える場所(12)」が
収載されている。個人誌と呼ぶより孤人誌であろう。
一筆箋に「晴詠」の礼が書かれてあり、さらに
「帆」はゆっくりした歩みですが負けないよう
(もう負けてますね 笑)がんばります
と添えられてあったが、私が敵うような相手ではない。
「風のゆくえ」から紹介する。
対岸で秩序正しく繰り返す点滅愛語のようにやさしき
パスワード151A(いちごいちえ)と定めたる同僚の訃をつつしんで聞く
気づかないふりしてなにか踏みにじるそれしか生きる術がなければ
♬贈る言葉♬知らない君らに説くときのなずむ日暮れに温もりはなく
ゆっくりと自動扉は閉ざされてわれらは違う世界を生きる
現代短歌が頓智やクイズではなかった頃の
美しき世界がここにはある。