プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

原子力村からの懺悔

2011年07月13日 | 日記
原子力村の一員であり、現内閣官房参与である有冨正憲氏は、「研究者として、かつて原子力安全委員会の専門委員を務めた人間として慙愧の極みで、福島の方々には申し訳ない気持ちでいっぱい」であると懺悔の言葉を述べられます。(以下、引用は『朝日新聞』)「電力会社は1990年代から格納容器のベントや注水設備などのアクシデントマネジメント(過酷事故に備える安全対策)を整備した。国も我々研究者もそれで十分と考えたが、事故は防げず、いまだに収束していない」と。

「電力会社もこうした想定をした訓練はしていなかったし、原子力安全・保安院も原子力安全委員会も徹底を求めていなかった。私自身、日本でこんな事故は起こらないという慢心があった」と、A級戦犯としての罪を認められています。そして、「AM(アクシデントマネジメント)を実行していれば事故は防げたのか、実行しても防げなかったのか、電力会社のAMを評価した安全委(員会)はすぐに検証すべきだ」と提言されています。まずは、電力会社、保安院、安全委員会、それぞれが、自らの想定や評価が事故においてどのような結果をきたしたのか、その検証を行なうべきだと言うのです。というよりも、そこからしか、何も始まらないのだと私は思うのです。

 ストレステストのについても、「安全宣言は何をもって安全と言っているのか分からないので、評価しようがない。国は一日も早く安全対策を検証し直し、リスクをはっきりさせないといけない。EUで実施するようなストレステストは、安全性の重要な指標として日本でも積極的に導入すべき」だとしていますが、ストレステストの導入の過程やその方針の不統一、目的の不明確さなど、何の為にストレステストを実施するのか、最も大切な軸がないのが実状です。その最大の現われが、法的な根拠も、閣議決定といった過程も踏んでいないということで分かります。まさに混乱の為の混乱で、事故の検証もないまま、シュミレーションだけ行なっても、安全性を担保することにはならないと思うのです。

 氏は最後に原子力村について、「意識も組織も抜本的な見直しが必要で、特に安全委にはより独立性を持たせるべきだ」と言われます。ただ、独立性と予算を与えても、「同じ釜の飯を食らう狢」である以上、真の独立性が確保される保障はありません。かねてからの私の主張は、原子力という極めて危険を孕んだ事業においては、電力会社に「商業上の機密」という自由は与えず、全ての情報を国民のものとし、開示・公開をすべきだということです。原子力基本法の趣旨は、そう謳われてはいますが、事故以前も、事故以降も、実際には極めて重要な情報が、常に操作され隠蔽されているという現実です。この一点だけでも改善するつもりなら、原子力行政の「安全性」は、格段に向上するものと思うのですが・・・(但し、その情報公開こそが電力会社と政府にとって、原発の、いえ原爆の生命線であり、国民には無用のもとして、隠され続けるのでしょうが・・・)

P.S. 広瀬隆一さんの原発の本を立ち読みしていたら(以下、要約しながら、私の意見を述べさせて頂きます)、氏は、イギリスやフランスの原発先進国は、プルトニウムを抽出する為に「原発」を造ったといいます。その際に電力も発電すれば、コストが下がると。一方米国も、自分の勢力を広げる為に、息の掛かった国に「原発」を輸出した。それは明らかにビジネス(経済的進出)としてであり、同時に軍事的、政治的な意味合いを持っていたと。そしてその米国のGE社やウェストハイティング社が、真っ先にターゲットとしたのが日本であって、原発の輸出もまた、軍事、政治、経済的な占領政策の一貫だったことが分かります。勿論、魚心あれば水心で、日本政府もまた、「平和」目的という皮をかぶった「原発」によって、ウラン濃縮、プルトニウムの再処理、そして最終的な「原爆」所有へと繋げようとしていたことは明らかです。ここでも、「原爆」と「原発」に差別(しゃべつ)などないことが、理解できると思います。原発の生まれる経緯が、それを明示しているのです・・・

P.S.2 「福井県の西川一誠知事は、東日本大震災後に国が示した緊急安全対策は津波に偏っているとし、老朽化対策などで暫定的な安全基準を設けない限り、検査で現在停止している原発の再稼働を認めないと明言して」いますが、日本で最も多くの原発を抱える立地県に対して、その立地県からの疑問に真摯に応えることが、何よりの安全対策なのだということが、事故を経ても尚、政府の誰にも届かないことが、この国の最大の危険因子なのかもしれません・・・

P.S.3 セシウム汚染された牛肉の流通問題に関して、福島県は全頭検査を宣言し、農水大臣、厚生労働大臣も支持していますが、福島県内で処分するのは約1割強ということで、残りは県外とのこと。福島県は県外自治体に協力を求めていますが、正直これだけ関心が高まっている中、協力しない自治体などあるのでしょうか?逆に福島は1割の全頭調査の負担で済むのであり、他県がきちんと放射能検査をすればいいだけのことです。まさに、日本は一つ、福島を応援(手助け)する良い機会だと思います・・・(ただ、尿検査と餌の放射能検査は、福島県内で全頭して頂きたいと思います・・・)