プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

美浜原発2号機 40年越え運転?

2011年07月23日 | 日記
 関西電力の美浜原子力発電所2号機は、来年7月で運転開始から40年となり、運転延長を求める報告書を原子力安全・保安院に提出しました。これに関して菅総理は、「現在存在している原子炉の耐久年数、それに代わる新たな原発の建設というものが、そう簡単にはなかなか得られないだろうと」(『朝日新聞』)答弁したそうです。なかなかの認識をお持ちですが、閣内で同様のお考えを持っている方はいないようです・・・

 老朽化原発の延命は、運転し続ければ続けるほど元を取れる電力会社と財界・産業界、政界の希望するところですが、問題は老朽化原発の安全性です。「圧力容器は運転中に核分裂反応で生まれた中性子が当たり続けてもろくなって」おり(中性子照射脆化)、シビア・アクシデント時に脆性破裂する危険性が高まります。実際フクシマでも、高温、高圧の状態が続けば脆性破裂していたかもしれませんし、またその危機から完全に脱したとは思われません。

 また、福島第1原発では、配管損傷(断裂)による冷却水喪失からメルトダウンに至った可能性が高く(いまだそれさえ検証されてはいません)、配管やその(つぎめの)溶接部分、コンクリートの劣化等、如何に定期検査でチェックしても仕切れない(目視ですし、チェック漏れが度々起きています)上に、そもそも総延長10キロを超える配管そのものの耐震性に疑問符が付いているのです。配管をいくら新しいものに代えたとしても、やはり継ぎ目部分は弱く、想定を超える巨大地震に耐えられるのかは、現在も科学的には答えられない点であって、安全を保証することはできないのです。

 美浜原発の立地自治体である福井県は事故直後から政府に対し、「高経年化(老朽化)が事故に与えた影響を明らかにするよう求めている。明確な回答がない限り、美浜2号機だけでなく、検査で停止中の原発について再稼働を認めない方針」で、政府はまず、この疑問に対して真摯に応えるべきです。事故調査(検証)委員会は設置以来音なしです。問題の原発そのものの耐震性、配管等の断裂(損傷)があったのか、なかったのか、それさえ未だに検証、公表していません。懸念していたとおり、経産省の「エネルギー環境会議」にぶら下がった事故調では、何も検証は進まないどころか、「耐震性に問題はなかった」といった調査報告すら出てきそうです。これでは、フクシマは、被災者の苦しみは、その(現在も広がり、そして何十年、何百年と続くであろう放射能)被害は、全くの無駄になってしまうのではないかと思うのです・・・

P.S. 汚染稲藁、汚染牛肉問題は岩手や宮城から、新潟、秋田、栃木、北海道と広がり、肉の流通に至っては、ほぼ(沖縄を除く)全国に及んでいます。この問題が重大なのは、他の食品もそうなのですが、(流通という)人の手によって放射能汚染が2次的に拡大したことです。自然による放射性物質の拡大・拡散ではなく、2次的な人為的な汚染の広がりなのです。これはまさに、人災であって、規制当局であり、原子力災害対策本部である政府の予想の甘さと対応の拙さが引き起こした2次被害なのです。それもやはり、当初からの政府の、情報を国民から隠蔽し、適切な対策を一時留保する(現実から目を背ける)姿勢に起因するものだと思うのです・・・

P.S.2 保安院は、「九州電力が国に報告していた玄海原子力発電所3号機の耐震指針に基づく安全性評価のデータに誤りがあったと発表した」、「データは原子炉の再起動や原発の運転継続の判断根拠になるストレステストにも使われる」とのことで、これではいくら九州電力を信用しろと言われても、ヤラセメールに(故意ではないと信じたいのですが)嘘のデータでの耐震安全評価では、今後のストレステストのデータそのものの信憑性が疑われます。もっと問題なのは、運転再開の条件となっている「1次評価は、事故を起こした福島第1原発でさえ満たせるような内容」(『朝日新聞』)であることです。その具体的な内容がわからないのですが、従来の電力会社のデータを使って、電力会社が行なう(まさに自分で作って自分で答える)テストですから、(津波対策もしっかりやったとする)「ヤラセテスト」に終わってしまう可能性は非常に高いかと思うのです・・・

P.S.3 IAEAの天野事務局長がストレステストについて、「日本以外の国は、テストが終わるまで原発を稼働してはいけないとはしていない」として、暗に(いえ、声高らかに)ストレステストを原発の運転再開の条件とした日本政府(と言いますか、菅総理を狙っての)批判をしました。これは、この世界の「利」のシステムを牽引する原発推進国(実質的には現在の5大国)からのイエローカードで、事故があったからといって、あからさまに「島」の利益に関わる重大事項を勝手に変えるようなまねをしてもらっては困るという警告です。海江田さんなどは、この「島」から弾き飛ばされたら、最早(国内の原子力村の利権どころか)日本の明日がないことを知っていますから、何とか外患内憂に対処しようと必至で頑張ってきたわけですが、そんなことは露知らない日本国の元帥は、敵国たちの(同時にお仲間たちの)居並ぶ砲撃を背にして、国内の「原子力村」に竹光で切り掛かっているという構図です。全てをご理解の上、ドン・キホーテを演じられるのであれば、一農民である私も全力(竹槍)で御支援申し上げるのですが・・・