亡母はアルツハイマー性の認知症だった。
気がついたのは9年前、その前から食事のメニューが著しく減ってきた事と
朝早くそれも3時とかに食事の支度を始めたり、忘れ物が増え、大したものでもないのに盗難にあったと訴えたり
家族に対してだけ、ものすごく怒りっぽくなっていった(特に父に対して)
その父に対して猜疑心が以上に強くなり70歳中盤の父が浮気をしていると
時々私に愚痴ったものだった。
究極は結婚する宣言をしに娘が東京から婚約者(現在の娘婿殿)を連れて帰り
帰りに新幹線口まで送って行った時のこと。
新幹線が発車して私たちも帰り始めた車の中、見送りから5分も経たない時に
「soraちゃんは何処へ行ったの?」
「soraちゃんは何でこの車で一緒に家に帰ってこないの?」
「soraちゃんもう東京へ着いたのかしら?」と5分ごとに言いだしたのだ。
考えてみれば12,3年も前からおかしかったのだが、同居する私たち家族は
そこで認知症ではないかと疑わなかった。
けれど、さすがにこのとき私は腹をくくり、母を病院へ連れて行き、診察検査をして貰った。
まさしく認知症は現実のものとなる。
それから格闘が始まったのだ。
そして9年経ったこの9月に母は神になったのだ。
いろいろな事が頭の中で浮かぶけれど、今気になることは私の周囲の中に母の時と同じ姿を見るのが増えた事だ。
事業上管理している高齢者向けマンションの入居者さんは最高年齢では90歳近い人もいる。
その中の数人は、入居して4年、自立して生活出来る方たちだけの施設だから
おかしいと思うとこっちも不安で、よく観察するようになる。
そして、「やはり・・・」と思うと御家族の方に連絡を取り対処されるようにお勧めする。
けれど、身内というものは自分の親や叔母、叔父が「認知症」だと認めたくないか、
いや認めなくてもそれを先立って調べようと言う気がなかなか出てこないようだ。
早く気がつけばそれなりに進行を遅らせることが出来るし、
本人も少しでも快適なひとり暮らしが続けられるからと言っても、一歩前に踏み出せない。
それに輪をかけて怖いのは、心の病に遭遇した人(若い人も含めて)が、
数年間無気力に脳を休眠させるかのような生活を続けたあと、
早く認知症らしい症状が出てこないかと思うこと。
絶えず脳の活性化のための努力を脳にさせてやらなければ、普通の人間だって物忘れひどいボケ人間となるのは早いそうだし。
日本人4人に1人は認知症になるのだそうだ。
今回も管理マンション入居のおばあさんが10分おきにお隣を訪問し、紛失物の盗難を言われるとのこと。
その方は入居当初、近くのコンビニで買い物をしたり、また配達を頼んだりしたのだが
その買い物が異様だと私は感じていた。
自分が食べきれないパンを10個前後、毎回購入していた事で。
「変だよあのおばあちゃん」と言ってはいたけれど、周りはほとんど関知してなかった。
今回は、そのおばあちゃんの親戚に連絡をし、説明し早くの対応をするようにとお伝えした。
私たちも早く投薬を受けリハビリをして、少しでも今の部屋で、ケアマネージャーの指示のもとで
今までと同じ落ち着いた生活を彼女にも続けてもらいたいと願うからだ。
でなければ、もう数カ月もしないうちに
猜疑心が増幅し、今までのように、何度も預金通帳再発行や自室のカギの作り替えだけではすまなくなる。
徘徊や水回り火周りの事故が起きる。
住人とのトラブルが起きる。
徘徊する。
暴力が始まる。
怪我をするために足腰が弱り寝たきりになる。
食べる事を忘れる。
新しい発見方法も出来たし、それが今はとてつもなく高い検査だが
早く一般化してほしい。
認知症にならないためには、足を使う、歩くことだそうだ。
じゃ、歩かない私もいずれは・・・・・・
あしたから あるこう ってホント?
娘と二人で近くの山歩きしたいのだけど、嫌がるかしら?
一人じゃ心細いし、続かない気がするし。