『アメリカン・ヒストリーX』 

2008-07-26 12:53:35 | シネマ




『アメリカン・ヒストリーX』 
出演: エドワード・ノートン, エドワード・ファーロング 監督: トニー・ケイ


黒人に父親を殺されたデレク(エドワード・ノートン)は
白人至上主義にのめり込み、胸にハーケンクロイツを入れ、ヒトラーを崇拝し、
ネオナチの極右組織のメンバーとなる。

ある夜、デレクは自宅の車上荒らしをしていた黒人グループを発見し、
これを射殺、撲殺し、3年の投獄生活を送る、、、





考えさせられる映画だった。


現に今でも米国でも日本に於いても、移民問題は継続し続けている課題であり、
極論であるにしろネオナチの
『有色人種が白人の職を奪い犯罪を起こし、その為に白人は貧困にあえぎ危険にさらされている』
という考え方は必ずしも間違いとは言えず、
そういう一面も現実にはあるのだろう。

しかし、白人至上主義者たちが有色人種を攻撃すれば、
即ちそれは憎悪の連鎖の始まりを意味するわけで、

映画はネオナチの白人達と黒人達との間の憎しみ、妥協、友情、仲間割れなどを
デレクと弟、その家族を中心に、
タブーの腹をナイフで割いて内臓を露わにするように抉り出し描いていく。




映画は、ネオナチが或いは黒人達が、
良いとも悪いとも、好きとも嫌いとも、勝つとも負けるとも、、、言わない。

メッセージは、、『憎しみは何も生まない』、、という事だけだ。


その通り、、その通り、、その通りなんですよ。

しかし、実際に、
例えば私の家族が反日の第三国人に虐殺されたとしたら、、

『憎しみは何も生まない』などという言葉は、
私の心はおろか、私の皮膚の毛穴からでさえ、一滴も沁み込みはしないだろう。

そして、それは、第三国人たちにとっても、そうなのだろう。


『ファイト・クラブ』でひ弱な男を演じていたエドワード・ノートンは、素晴らしく鍛え上げた体で登場し、
全く別人のような危険な頼りがいのある悩める男を演じている。

考えさせられる社会派の映画としてだけでなく、
ビジュアル的にも家族愛を描いたものとしても素晴らしいフィルムだった。




★★★★★






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