『クイーン』

2008-07-12 14:17:19 | シネマ






『クイーン』 
出演: ヘレン・ミレン
第79回アカデミー賞、主演女優賞受賞



期待して観た。

内容はダイアナ元皇太子妃の死にまつわる
エリザベス二世と英国王室、ブレア首相、英国国民の物語。


私は前にも書いたが『ロイヤル・ファミリー』というものに特別の想いが無く、
映画の前3分の2位は幾分苦々しい気分で、退屈でもあった。

ダイアナの死はもちろん私には何の感傷も無く、
彼女のじゃじゃ馬ぶりには私はむしろ批判的であり、
英国民や英マスコミも、あれだけ嫌がるダイアナを生前は執拗に追っかけまわし
叩いたり持ち上げたりおもちゃにした挙句、
パパラッチらもその要因であるにもかかわらず、
彼女が死んだら、、『可哀想だ!』って、、

そんなもん、家で飼ってるハムスターを棒で突き回して死んだら
『可哀想だ!』って言ってるようなもんで、、
英国民が涙を流して悲しんでいる姿が、いかにも偽善的で白々しく、
その涙で、その頬に
『私はこんなことで涙を流せる美しい心の持ち主なのよ』
と書かれているようにしか思えなかった。

又ブレアの夫人(名前は知らない)や労働党のブレーンが、
エリザベスのことを『あのババァが、、』とか
『何もしないで税金で無駄飯食ってる家族』だとか言うのを聞くと、
なんとまぁ革新的インテリ(笑)の邪僻で狭量かつ卑しいことかと驚かざるを得なかった。

そも、若くして選択権無く女王になり、
日々英国民の事のみを思い一身を英国に投げ打っている老婦人に、或いはその一家に、、
よくもまぁそのような悪しざまな言葉を投げかけられるものだ。

私は英王室に興味は無いが、
このような革新的インテリたちの酷薄な台詞には猛然たる怒りを感じる。


映画の中で心が温かくなったシーンは二つあった。

ひとつは、
労働党ブレーンがいつものように王室を悪し様に言った時、
ブレアが憤然と反論し、エリザベスを擁護した時。

いまひとつは、
エリザベスがダイアナの為に捧げられた花を見て歩いている時、
小さな女の子が小さな花束を持っているのを見かけ、
『あ、私が献花してあげましょうか?』と問いかけると、
女の子が『いいえ、これはあなたにあげようと思って、、、』と言うシーン、、、


このふたつで幾分救われた気分になったが、
気分のいい映画ではなかった。



★★★☆☆





BKさん、bさん、、ありがとう。、、、、ごめんなさい、、






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8 コメント

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らんめーがっ! (ボチボチかめです。)
2008-07-13 10:13:10
ブログには「興味を持って観た」とは
書いとったばってん、

これ、薦めとらんめーが!!

bさまも「観ましたか」とコメントされていて

二人とも薦めては、おらんやったろが!

ぶっ、ぶっ、ぶっ、ぶっ (フン!フン!)


ははは~~
 

Pさんのこの感想、全面的に同感ですね。
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じゃじゃ馬 (P@RAGAZZO)
2008-07-13 11:00:44
あはははは、、、薦めてない薦めてない(笑)
大姉がこれに好感を持つはずがゴザラン!(キッパリ)

それにしてもわが邦のじゃじゃ馬殿は
ダイアナにでもなったつもりなんですかねぇ?
まったくモノが違うような気もしますが、、(笑)


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クィーン (buruma)
2008-07-13 11:10:46
私はこういう映画をつくって世界に配給したということに興味を持ちました。
現在女王である人を主人公にして、プライベートな会話や感情を描くわけですからね。
ブレア夫人にいたっては真実かどうか分からないせりふでPさんまで怒らせてしまいました。
日本では皇后や雅子妃、首相夫人を主人公にこんな映画は出来ないでしょうと思ったわけです。
イギリス王室や政府(特にブレア夫人)が太っ腹(あるいはそう見られたい)なのでしょう・・目くじらを立てるのも大人気ないしね。
という風に、映画以外のことを色々考えてしまいました。
もちろんヘレン・ミレンも女王の孤独や悲哀や様々な感情を
わずかな表情の変化で演じ分けて素晴らしいと思いましたが・・。
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王室 (P@RAGAZZO)
2008-07-13 12:27:54
burumaさん、おはようございます。

>>私はこういう映画をつくって世界に配給したということに興味を持ちました。

なるほどそのような視点から見れば興味深く大胆な試みだと言えますね。
また、日本の皇室に対するburumaさんのスタンスからすれば、
開かれた王室や英国社会の在りかたに好感をもたれるのは当然であるとも思います。

しかし、私は皇室や王室はあまり白日の下に在るよりも、
そこに在るという“存在”で国民を安寧せしめる程度の
“兆し”を知らしめる程度で良いのではないのかなぁ、、
と、漠然とですが、思っているのです。

映画ですからブレア夫人の台詞が真実かどうかは判りません。
でも、そうであればエリザベスの旦那さんの
ダイアナに対する辛らつな言葉も疑ってかからねばならず、
エリザベスと鹿の話も眉唾となり(これは眉唾ですが)、
映画自体が作り話ということになります。

ブレア夫人の王室に対する考え方は概ねあのようなものだったのだろう
と推測して構わないのではないでしょうか。

ブレア夫人や労働党ブレーンの考え方は
ひとつの考えとして尊重しますが私は与しません。

かと言って、天皇を崇めるが如く押し頂く気持ちにもなれません。

、、、興味が無いのです。

しかし、それは『私はそうだ』というだけの事であって、
色んな想いがあってしかるべきだと思います。

でも、挫けずに英国モノや王室モノを
これからも観てみようと思っていますデス。(笑)

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いえいえ (buruma)
2008-07-13 21:18:49
私は英王室のあり方に好感を持ったわけではありません。
虚実皮膜と言いますから、映画も虚と実の間を描く作り物といえるでしょう。
それを思えばいかに真実に近いとはいえ、
実在の人々は黙って作品として受け入れたのだろうなと思いました。
現存の首相や王室という極端な設定だったのでこんなことを考えましたが、
思えば実話を基にしたものは全て同じですね。
「クイーン」という作品から離れてしまいましたが
あれこれ考えたというわけです。

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作り手の意向 (P@RAGAZZO)
2008-07-14 11:10:47
burumaさん、おはようございます。

そうですね、映画や小説はたとえノンフィクションといえども
作り手の意向が少なくとも反映されますから、
ましては『クイーン』に於いてをや、、というところですね。

常々『映画や小説は作り事だ』と
エラそうに言っている私としてはお恥ずかしいか限りです。

エリザベスやブレアはこの映画に祝意を表したといいますから
その度量は認めるべきですね。

これに懲りずに、
私が如何に思うであろうとも、またお勧めの小説、映画がありましたら教えてください。

たとえburumaさんに叱られようとも、
私の正直な感想を述べます。(笑)
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Unknown (buruma)
2008-07-15 07:55:41
Pさんはあふれるようにたくさんの映画や本を読んでおられますね。
こちらこそ色々話を聞かせてくださいね。
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ありがとうございます。 (P@RAGAZZO)
2008-07-15 11:11:17
いえいえこちらこそburumaさん。

よろしくお願いいたします。
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