goo blog サービス終了のお知らせ 

陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

辞めてから会社の良さに気づくこともある

2025-06-10 | 仕事・雇用・会社・労働衛生

働き方改革の推進で、中小企業にも労務管理が厳しくなり、最低年5日の年次有給休暇の取得義務化や長時間労働の是正が求められています。残業代の未払いも問題視されるようになり、従業員には短時間での業務効率化をする努力があります。昭和の時代のように、だらだら和みながら職場に居座って仕事をするのではなく、プライベートで副業をしてキャリア開発したり、資格取得に励んだりすることがあたりまえになっています。

とはいえ。
従業員数の少ない会社は何と言いましても人手不足。固定残業代制にして業務実績を賞与や定時昇給で反映したりすることもありえます。

社員の皆様で不満が多いのが、給与の支給額。
早出したのに、休憩中も働いたのに、残業をしたのに、法定時間外の割増賃金が払われていない、ということはあります。事務仕事では、昼休み時間中に電話対応に追われて休憩ができないこともしばしば。締切のたくさんある書類を抱えているのに、不意に割り込み仕事が入ってきたりもします。

賞与も、あくまでその年の会社の業績次第。
時間外労働をのぞく各種手当も場合によれば削られることもあり、有休の消化の会社都合ですべてがすべて自由に取得させてもらえるわけではない。雇われて働くことには、とかく不自由がつきまといます。

派遣社員ならば5分10分単位で給与が出るのに、この会社で正社員になったらサビ残ばかり。
そんな不満がこれまでなかったわけでもありません。休憩時間中に買い物に行かされたり、掃除をさせられたり、ベテラン社員にパワハラを受けたり。多々、そんな事情で辞めた会社は数えきれない私です。

ところが、私はある日、数年ぶりに短期間でやめた事務職正社員の求人を見かけ、経営者に直接コンタクトをとったところ、なんと復職できることになったのです。
私が前回辞めた理由が、業務上の教育係だった前任者の指導不足であったことを認識していただいたからです。私は再雇用にあたり、最低賃金での雇用で最初は非正規でも構わないのでと譲歩しましたが、経営者が私の個人事業上の実績を買って安定雇用にしてくださいました。

このようなケースは珍しいのでしょうか。
近年は過去の従業員が独立起業したがうまく行かず、元の職場に出戻り就職するケースもあると聞きます。会社からすれば、まったくの新人にイチから教えるよりも仕事を覚えるのが早くて大助かり。転職をくりかえした人間からしても、いちど業務を習っていますから覚えやすいものです。

中高年になると新しい職場に慣れること、さらには応募書類を書くことすらしんどいです。
いくばくか待遇が悪くなっても、正社員での就業を望んだ方がいいと、個人事業主に不安定雇用の兼業会社員をしてきた私には思われたのです。

出戻りをしなくとも、転職先が元職場と取引関係にある可能性もあります。
田舎だとありがちで、会社でよからぬ不正をしたらのちのちの経歴に響きかねません。私は現在の職場で職域型年金委員をつとめていますが、毎月情報誌が送られる年金事務所がなんと元勤め先で、そこの事務所長は私のもと上司だった方だったりします。

会社を辞める時は多少の不平不満があっても、穏便に済ませておいたほうが無難です。
もちろんよほどのブラック勤務、たとえば平日勤務とあるのに土日出勤であることを後出ししたり、休憩時間が1時間半と労働契約書にあるのに、実質15分しかなかったり、業務内容と異なる仕事をさせたりなどの悪質な場合は労働局に訴えても構いませんが、訴えたが最後、その会社とは縁が切れると思った方がよいでしょう。

毎日しめて1時間ぐらいのサービス残業をしている、けれども職場が近いから、完全固定月給制で欠勤しても減給されない、70歳まで正社員でいられる、人間関係が恵まれている。何よりも、その職が自分の適職で何時間作業しても苦にならない。

様々な理由をプラスマイナスしても、そこで働きたいのならば、その仕事を絶対にやめないでください。40代以上になったら、自分が思う以上の好待遇の会社はそうそう巡り会えません。長く勤務すれば確実に昇給し、社内で信頼関係を築いて、自分に自信が生まれることもあります。被用者の社会保険は自営業の加入する国民年金や国民健康保険よりも優遇されています。辞めてしまってから後悔しても遅いのです。

会社員とくに正社員雇用は、社会保険や雇用保険上、会社に守られています。
企業は社員一人雇うためにかなりのコストと手間をかけていますし、社員ひとりの安い給料であっても、その分の利益を会社に与えていることは少ないのです。仕事をつくっているのは労働者自身ではなく、あくまでも会社なのです。

余談ですが、私の今の現職は、前任者がかなり不当なやらかしをしていたことを私が暴いたおかげで経営者からの評価があがりました。
人事権を持つ人間を敵に回すと、けっきょく、自分の身を滅ぼすことになります。法律を盾に正論を吐き、自己の待遇改善を訴えるのもよいのですが、それなりの実績や社内での信頼関係を築いてからにしましょう。

(2022/07/09)










この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 単行本か、文庫本か、人気漫... | TOP | 最新モデルのスマホで無事USB... »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 仕事・雇用・会社・労働衛生