人間はいくつになっても、自分でなにかを生み出したいものです。
しかし、どうせならば、自分の人生が充実するものをつくりたいものではありませんか？ 誰に評価されるでもなく、ただ無心で夢中になれるような、なにか。
今はもう鬼籍に入られた事業主さんが、晩年近くになって始めたのが家庭菜園とお聞きしました。私は野菜づくりをはじめるのが遅かったのですが。以前、テレビで野菜博士と呼ばれるほど家庭菜園にハマっているスーパー小学生男子を見かけたことがあります。
家庭菜園はなぜそんなに人の心をそそるのか？
ブロガーさんの中にも勤しまれている方も多いもの。ホームセンターにはシニアを中心に苗や種を買い求める方を多く見かけます。
その答えは――実際に自分が育ててみたらわかります。
たしかに形は不格好なのだけども。自分で丹精込めて育てた野菜はとにかくおいしいのです。なにせ無農薬、有機栽培。安全きわまりなし！
試しに鉢植えだとか、ホームセンターで売っているようなミニサイズのビニールハウスだとかではじめた方も多いかもしれません。
しかし、枯らしてしまってうんざりして、そのまま放置。興味を失ってしまったのでしょう。時間がなくて世話する時間がとれなくなることも。
野菜づくりはけっこう手間がかかります。
なので初手が肝心。私はたまたま秋半ばから初めてうまくいったのですが、それまでに何年も除草作業で土地の特性を観察していたのがよかったのかもしれません。
鍬や鋤のような道具類も空き家に揃っていましたし。
木や草の剪定や除草をおこなっていたので、いやいやながら草になじんでいました。追肥となる材料もなるべく、自分の身の回りのもので流用できないかと調べまくりました。
これがわざわざ市販の野菜の土やら肥料やらを購入したり、新しい道具を買い揃えてみたりしたら。それなのに、うまくつくれなかったとしたら。資格試験に落ちたときと同じでショックでやる気を喪失してしまったことでしょう。
家庭菜園といいますが農作業全般にいえますが、セオリーはあるものの、確実な正解はないということ。その土地の気象や形状、生物系などの環境に左右されますし、一年として同じような出来栄えにならないでしょう。だからこそ、自分なりに工夫してアレンジできる。会社のやらされ仕事と違って、自主性や創造力が発揮できる。そこがおもしろい。やりがいがあります。
いちばんいいのは、対外的な趣味として堂々と他人様に誇れる！ということ。
隠れオタクの二次創作者である私は、20年来のこのひとり創作趣味を他人に明かすことができません。家族にすら打ち明けてもいません。
しかし、野菜づくりならば。
家族に知らせられるし、その成果を自分以外と共有できます。それも身近な人と。野菜づくりに出かけたとあれば、同居人も家事を協力してくれますし、理解してくれます。
資格の勉強はともかく、本ばかり読んでいた時はけっこう不評でした。
読書家ではない家族とは意見が合わないからです。でも、どうでしょう。食ならば人類みな共通。おいしいものに国籍も年齢も性別もありません。
しかも栽培記録がてらに画像を保存することで、ブログ記事のネタ作りにもなります。爾来、スマホが不自由なこともありあまり自撮りした日常生活を載せるのをためらっていたのですが、古いガラケーをカメラ代わりに使用することで経緯を残せることができました。
この野菜づくりをはじめたところ、空き畑に多かったゴミの不法投棄も見かけなくなり、作付けしているので雑草が減り、土の状態も良くなってきました。さらに疲れるけども運動もできます。下手にウォーキングやらランニングなんやらするよりも、健康にいいわけです。
野菜はもしうまく育たなくとも、土に還るだけで環境にも優しく、懐も痛みません。数百円の種で実験ができるのでとてもリーズナブルな趣味ですね。水やりをあまりしなくても育てそうな品種を選べば、手間もそんなにかかりません。土で汚れたり、虫などに出くわすのが厭わしくなければ。
実益を兼ねた野菜づくり！ 植物にも詳しくなり、自然愛が深まり、除草作業も兼ねて、胃袋も満たせて結構！ 健康！ 好都合！
画像は10月20日に種まきしてちょうど一か月めのコマツナ。
売りものみたくきれいな状態ではないですが、食すに不足はない。間引きするごとに、水やり、追肥するごとに大きくなり、わくわくしています。
畝の脇に生えた若いスギナは草刈りがてらに収穫。おひたしにしたり、スギナ茶にして味わっています。この畑には無駄がないのです。
（2024.11.20）
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