活字中毒者は本の背表紙を眺めるだけで安心できます。
本棚は知識の集約でこころの休憩所。いい本の並びがあれば、図書館だろうが、書店だろうが、どこへでも出向く。それが本好きの性(さが)というものです。
最近は少なくなりましたが、数年ほど前までは、わりあい近距離にチェーン系列の新古書店が存在していたりしました。ブックオフとか、ブックマーケットとか、古本市場とか。やはり電子書籍の隆盛なのか、古本があまり売れなくなり、閉店に追い込まれた模様。今回はそんな新古書店での魅力を語ります。
・型落ち本がお値打ち価格でゲットできる!
ふつうの書店が大量に仕入れて売れ残った本が流れてくることがあります。最近は七割、八割ぐらいですが、数年前だと半年前に出版されたばかりの本が半額になっていてびっくりだったことも。ほとんど手にとられていないので、新品同様。
・100円均一本という激安特価コーナー
正直、あまりいい状態の本ではないこともありますが、稀にきれいな本もあります。私は夏目漱石などの往年の名作文学などは、ほとんどここで浚いました。一番の掘り出し品だったのは、谷崎潤一郎の全集のある一巻、「細雪」が読みたくて買ったもの。かさばるので後で売りましたが、状態はかなりきれいでした。
・参考書や資格本が安く買えることも
原則として、勉強する本の類はなるべく最新版を買った方がよろしい。しかし、受験を迷っている場合で参照程度に目を通したいぐらいなら、古本で済ます方がいい。資格の本は試験の結果発表があってから一定期間経つと、翌年度分の教本が刊行されます。そのため、それが待てないあいだに過去年度分を買って軽く下見しておくのもいい。もちろん、最新の改正点は入念にチェック。私は行政書士の記述式問題集はほぼ法律改正にあまり影響がないと思われたので、二冊目は過去年発行分を古本屋で買いました。
・お得なセール日がある
チェーン系列の新古書店では、週末や連休日などになると、割引セールを行っています。ポイント制なので溜まったらまるまる数百円分買えちゃうなんてこともありました。しかし、最近のポイントはアプリで会員登録なので、個人情報流出が怖い私は利用していません。
・ひとに憚れる本も立読みし放題
別に新古書店だとて知人に遭遇しない恐れはないのですが、一般書店よりは確率が下がります。客層が異なるからです。きれいな本屋さんで読んでたら店員さんに怪しまれるというか、知り合いに発見されたくない、買いづらい本ってありますよね…。買うほどではないけれど、興味本位で中身を調べたいとか。そういう本を物色するのに便利ですよね。
・不要な本を一斉に処分できる
新古書店のいいところは、自分も売り手になれるところです。買取額が定価の1割以下だったというぼやきもありますが、大量に持っていけば、けっこうまとまった金額にしてくれることもあるんです。私はわざと捨てられること前提で持ち込んだこともあります。ゴミの日に出すと重たいし、手間になるから。なので廃棄本を引き取っていただけると思ったら、もう少し高く売れるはずの本が安く見積もられてもまあ仕方ないか、という考えです。なので、引き取ってもらったときは精いっぱいの感謝を述べて、なるべく、新しく古書を購入するようにもしています。
本が売れないと言いながら、出版社の発行点数は多いというのが実情。
類書のビジネス本がまかり通り、似たような筋書きの小説も増え、覚えのあるような絵の漫画もわんさか出てくる。新書店の少し前の本がすぐ本棚から消える。なので、新古書店に行ってはじめて知ったという本も多いわけです。
ところで、新古書店に出かけましてがっかりするのは。
自分が半年前ぐらいに購入して積読状態にしていた本が、激安価格で見つかったときですね。これから読もうという本の中身を貶められたような気がして。お気に入りの漫画が並んでいたりする時も残念な気分になります。まあ余分に刷られていたので、作者さんの懐は潤っていたのだと信じたいのですが…。
(2021.08.23)
読書の秋だからといって、本が好きだと思うなよ(目次)
本が売れないという叫びがある。しかし、本は買いたくないという抵抗勢力もある。
読者と著者とは、いつも平行線です。悲しいですね。