陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

あの伝説の神無月の巫女公式小説が夏コミでよみがえる?!

2022-10-08 | 感想・二次創作──神無月の巫女・京四郎と永遠の空・姫神の巫女

公式が動くと、ファン界隈が騒ぎ出す。
お前個人の与太話なんぞ聞きたくないわいとお叱りを受けそうなことを、新しい情報にかこつけておしゃべりしてしまうことがあります。別に誰が聞いているわけでもないのに、ワタクシ、しっかりファンを心得ておりますのよ、という無駄な矜持か、自己存在のアピールか。さて、今回もそんな記事です、あしからず。

コロナ禍でも今年のコミケは盛況のようで、恒例の夏コミに、私のお気に入り作神無月の巫女の原作者先生も参加されたということでした。

で、気になるツイートが。
以前発売されたという神無月の巫女および京四郎と永遠の空のアクリルスタンド。ヲタク系の通販サイトでは即売されてしまったようですが。この夏コミで在庫わずかにあるとのことで直売されるそうです。

京四郎のほうの、ひみことかおんのアクスタ。
作品本編よりも楽し気で明るそうなふたりでイイですね。姫神の巫女完結記念の年だったから、姫神バージョンで作成されてもいいとも思われますが。まだ本編で出ていないけれども、前世版の姫子と千歌音も出ないのかな。絶対少女聖域アムネシアンのときは、いかにも同人カラーな(爆)千歌音ちゃん抱き枕が売られたみたいですが。

この原作者先生はお二人のコンビなのですが、たぶん、こういうカップル絵をいちまい描くときは、どちらか片方だけが専属で描いていて、合作ではないように思われます。私の目測ですが。

さらに、気になる情報が後日に追加。





なんと、このアクスタに2007年刊行の小説小冊子が「おまけで」つくそうです。
おまけじゃなくて、これ本体を売ればいいんじゃないか、と思うのですが。でも、これもともと無料だったのですよね、たしか…。

この小説小冊子、アニメ神無月の巫女の脚本家にしてシリーズ構成の植竹須美男氏書きおろし、かつ、介錯先生が挿絵をつけたもの。タイトルは「卒業雪」。姫宮千歌音の侍女だった、あの如月乙羽さん主人公の番外編。おなじ乙橘学園中等部の二学年違いの先輩後輩関係だったという乙羽と千歌音。その卒業間近の日に、別れを惜しむ乙羽に千歌音が呼び止めて…という絶妙なところで終わっている、あの! 未完の!

てっきり新版が出て完結されて販売なのかと思いましたが。
「倉庫から出てきた」とありますので、やはり当時のもののようですね。表紙もおなじだし。

この小説冊子、いつみてもロゴが見事だと思うのですが、肝心の小説のサブタイが表紙にないのは、原作者先生が描いたイラストの印刷締切りに、推敲がたいへんで中身の文章が間に合わなかったものと思われます。本文の挿絵と違い、表紙裏のイラストは鉛筆書きのラフ画なので、先に刷って校正にかけたのではないでしょうか。上下の装丁が瀟洒な感じでいいですよね、めくるのが楽しくなります。

中等部の制服は、高等部のものにブラウスは似ていますが、ベストのつくりがやや異なるようですね。…と表紙を見たときは思ったのですが。中身の挿絵ではセーラー服になっていて、表紙絵の千歌音ちゃんは私服なの?!と戸惑ったものです。千歌音ちゃん、私服姿だとかなりの貫禄あるお姉さんに見えるんですよね。




↑ちびキャラでもカワイイ神無月の巫女キャラ。

この小冊子、過去の日記にも書きましたが。当時、熱烈な先輩格のファンブロガーの方がいらして、情報をもらって私もあわてて申込した覚えがあります。おそらく、なにかの二次の同人誌の付録としてつけていたもので、非売品だったので、コミケあとにファン向けに送料のみ負担で配布されたのですよね。

懐かしさのあまり、この夏休み中の押し入れ整理中にひっぱりだして再読しました。
乙羽さん主人公ですから、彼女の生い立ちがわかるエピソード。なんと五歳から姫宮家にご奉公、ほんらいは別々の学校に通うところ、特別に学園に転入を許可されたらしいです。原作漫画によれば、乙橘学園は学園理事長の姫宮翁こと千歌音の祖父が陰謀のために生徒を集めたいわくつきの学び舎なんですよね。ということは、乙羽さんもオロチ因子を持つ人材だったのかも。設定集によれば、2クール構成だったときのシナリオでは乙羽さんがラスボス設定だったので、乙羽さんと千歌音ちゃん絡みの過去話がアニメでも見られた可能性はありますね。

姫宮邸では侍女だけれども、学園では華々しい活躍を見せ、一躍スターだったと思しき乙羽さん。
学園生活に未練はないものの(高校に進学しなくていいのかしら?)、部活が同じではなかったものの、登下校は同じでおそらく乙羽さんはかばん持ち、生徒会役員も務めたらしい。わずか一年だけの、ふたりの日々が重なっていた学園生活は、乙羽に幼い頃なしとげられなかった木登りの苦さを思い出せます。アニメ八話にある、邸内の木にまつわる裏話がここで明かされるわけですね。

この木のエピソード、すなわち横に相並ぶことの許されぬ乙羽と千歌音の関係性は、学園の薔薇園で運命の出会いを果たしいつもないしょのランチを共にする姫子と千歌音の絆とは、みごとな対照になっています。そして、お日さまに近づくためのお嬢様の習慣を結果として奪ってしまった侍女長のこの記憶は、一歩間違えば、姫子と千歌音とのあいだの楔(くさび)になりかねない乙羽の境地をほのめかしてもいるのです。

涙を振り切って学園を去ろうとする乙羽を迎えたのは、姫宮千歌音その人。
先輩と呼びかけた彼女、果たして何をもちかけようとしたのでしょうか? 木登り合戦の再生? テニスで勝負もとい稽古付け? 生徒会室でお茶飲みながらの語らい? 定番の卒業ボタンをもらう(セーラー服なのでありません!)? 乙羽さんのプレートをもらって、千歌音ちゃんが裏返しに使うことで名前を残してあげた、とか? たぶん、千歌音ちゃんはこれからもよろしくね的な挨拶をしたのだと推察しますが、どんな続きがあったのか、とてもとても気になりますね。2007年の年末の奥付ですから、もう15年前なんですね。「卒業雪」ってタイトルだから外でお話しているうちに雪が降ってきて、ふたりではじめての相合傘で帰っちゃたとかでしょうか。これもわりとありがちですね、うん、気になります。機会があれば、続きが読みたい。読みたーいッ!!(メガトン級の大声で)

あとがきには、他のオロチメンバーの話やら、本編の別視点での話も考案中とあって、ご意見をメールで募集中だったようです。ひょっとしてこの反響があったから、ウェブノベルの姫神の巫女が生まれたのかも? あと、今は個人情報保護法上どうかわかりかねますが、わりと御住所もしっかり載せてあったので驚きました。公式サイトとブログは休止中なんでしょうね。

なお、神無月の巫女にはいくつかの公式小説があります。
私のイチ推しは、フィギュア附録の小冊子だった「はじまりの春」。



青を基調にしたツートーンカラーで装丁がかなり美しく、表紙と裏表紙の裏の千歌音と姫子のイラストとポエムの、相聞歌のようなやりとりに胸打たれます。これは入手できなかった方も多いと思うので、願わくば、他の小説ともども再版してほしいですね。孤高の月の社で再会の誓いを胸にする千歌音の声を、漫画『姫神の巫女』の後に読むと、なんともいえぬ、喜びで満たされることでしょう。すばらしく強く気高く結ばれた愛です、このふたりがつくりあげてきたものは。それにしても、「卒業雪」の乙羽さんとの距離感と、この作の姫子への入れあげっぷり(千歌音ちゃんてば、ほっといたら、姫子のことを十時間ぐらいノンストップで語り尽くしそう!(爆))との格差が激しくて、年季の入ったひめちか廃人もニヤニヤしっぱなしです。というか、知り合ったばかりなのに、旅館(名前は時乃湯か?)にプチお泊りしてしまうとか、なんという高度なお近づきエピソード!! 姫子、なんという罪なオンナ! 千歌音ちゃんが姫子に撮らせてあげているのは、いざとなったら同級生の悪意から姫子の大事なカメラを守るため、なんでしょうね、きっと。千歌音ちゃんはただ貴女の写真が見たいとしか言ってないけれど。

そして、ラストの、「お日様の返歌」を読むと、カメラを大事に大切に胸を張って日々を大切にしてる姫子の未来がわかり、とても切ない気分になりますね。実にいい構成です。喪失をのりこえて、前を向くために、日常の愛おしさを噛みしめる。そんな少女の淡い恋心と健気な生き様がわかる、ささやかながら美しい小話です。名前をも知らぬ人にもらった命、生かされた明日。そんなふうに考えて、日々を過ごすことが大切であると、この物語は教えてくれるのです。それはじつに人間らしい物語ではありませんか。

ちなみに小説版としてたっぷりボリュームのあるひめちか話が読みたい方は、ウェブノベル「姫神の巫女千~千ノ華万華鏡」をどうぞ。これもいっそ、どこかの書籍で出版されたらいいのにな~と思います。本として読むなら「京四郎と永遠の空」の文庫小説もありますね。久々にレヴューを書いたら、いろいろなものをひっぱりだして眺めたくなる神無月病が発生するので、超危険です!!(嬉しい悲鳴)

(2022年のお盆にて)

★★神無月の巫女&京四郎と永遠の空レビュー記事一覧★★
「神無月の巫女」と「京四郎と永遠の空」に関するレビュー記事の入口です。媒体ごとにジャンル分けしています。妄言多し。

*漫画「絶対少女聖域アムネシアン」&ウェブノベル「姫神の巫女」、そのほか関連作レヴュー一覧*
漫画「絶対少女聖域アムネシアン」および、ウェブノベル&漫画「姫神の巫女」、そのほかの漫画などに関する記事です。



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