
2017年春ごろ、ツイッターを眺めていたら、驚くようなアンケートがありました。
「百合の創作は女が多いと思っていたのですが」という前置きで、百合創作物を読む創作者と読み専との性別の投票。結果は、創作者は女が男の二倍。読み手は男女比半々らしい。
まず、このアンケートで驚いたのは、百合の創作物は女が多い、のが前提という思い込みです。
いや、この人の周りで女性比が高いのなら信じるのも仕方がないのだけど、なんていうか、百合の創作物は作り手も読み手も女であってほしいな、という希望を感じざるを得ない。
私が二次創作している原作物は男の原作者が多いので、二次創作者のなかにも男がいるのが当たり前だという認識でした。
「マリア様がみてる」の原作者は女性作家ですけど、サイン会にくるファンは圧倒的に男性が多いそうです。コバルト文庫というレーベルなので、原作者は吉屋信子の『花物語』みたく、少女たちに読まれるのを想定していたはずですが。途中から妙にコミカル路線へ流れていったのは、そのためなのかどうか。でも、もともとは川端康成も書いていましたから、別に女だけが書けばいいってもんでもないですし。
男が百合の創作をするとAVみたいな成人向けになるけど、女がやれば爽やかなものになる、という固定観念もあるかもしれませんね。でも、最近の女性作家の表現も男性に負けず劣らずえげつないのもありますし、BLの同人誌なんて凄かったし、むしろ異性どうしはファンタジーだから容赦ないのかも。プロの百合もの書いてる人は、男性向け想定して、けっこうハードな描写入れていたりしますよね。
『鋼の錬金術師』はまるきり少年漫画ですが、この原作者の荒川弘先生が女性で子持ちになっていたというのも驚きでしたし、「神無月の巫女」の原作者は、ゆでたまご先生や藤子不二雄先生のような男性ユニットですが、少女漫画家と思うほどお耽美な画風。最近、男性の絵師なのに、超絶可愛い美少女を描く人も多いです。ペンネームからだけでは、性別が分からない作家も多いですし。
作者のセクシャリティはなかなかデリケートな問題なので、あまり追求したくないですね。
私は自分の性別は明かさないほうです(記事を念入りに読んだらわかります)。別に性自認があいまいだからではなくて、その性だからという偏見を持たれるのが厭なので。たとえば同性の裸の描写をやたらとしつこく赤裸々にできる人は、ゲイなのかもしれないという可能性もありますが、実は自分の肉体美にこだわっているだけの異性愛者ということもありえます。ただ、男性が描いた女性の方がやはり色っぽいですし、女性が描く男性はまあなんというかいかにもご立派な王子様だな、という印象になりがち。二次元は作者の理想ですものね。
百合の創作物に関わる人は女性であってほしいという思い込みの中には、考えすぎかもしれないですが、同じ夢を追いかける、応援してくれる同性のパートナーが欲しい、という願望が透けて見えますね。女性だらけのアイドルとかのアニメありますけども、あれも男性を空気化した、男性向けの美少女動物園なのか、女性による女性のための寄合なのか。ただ、実感持って言えるのは、現実の女性の集まりはあんな美しいものじゃないよ、と。
さすがにプロの作家さんなら市場を失うので、女だけに読んでほしい、なんて公言しないはずですが。二次創作に限って言えば、なんというか、創作が友達探しとか恋活に近いもんになってないかと疑うこともあります。コミケが恋活とか友活になっている。自分が好きな作品を好きな人だけ愛したい、というのは分かるのだけど、それはそれで辛さがありますよね。百パーセント、思考や感情が一致する人なんていませんから、アメーバじゃあるまいし。
百合の話に限って言えば、ストーリー構築がしっかりしていれば、別にどちらの性でもいいですね。百合アニメなのに特撮巨大ロボットみたいなのが登場する作品が好きな自分としては。
(2019/03/15)