
本好きで読書家を気どっていた私は、本を多く買いこむこと、借りてくることが、自分のステータスだと信じていました。これは学生時代の研究生活からしてそうで。研究用の資料というものは、古書店かどこでめぼしいものがあれば、すぐに入手しないと二度と手に入らないもの。東京の神田に出かけたとき、大阪の梅田の古書店街に足を運んだ時はかならず本のお土産がついて回ったものでした。
そうした買い集めた本を段階的に減らしていって数年になります。
まず、キツネ色に灼けた本は潔くおさらばしました。所有しているだけで痒くなるからです。何度も開いて読み込んだ本も、頑張った証としてはいいのですが、そこにこだわる自分もよくないと考え捨てました。
新しく買う本も、厳選するようになりました。
最近のトピックでは消費税のインボイス制度の本や電子帳簿保存法の改正本。一年ごとに情報が刷新されるので改訂版がすぐ出ます。四月ごろに買い置きしようかと思っていたら、この七月に最新版が出ていて驚きました。買わなくて正解でした。でもその最新版を買ったはいいが、すぐにも来年に改訂版が出そうですね。
仕事上でも、私生活でも知らなくてはならないことがたくさんあります。
あれも読みたい、これも知りたい。そうした貪欲な好奇心に振り回されて疲れてしまうことが多かったのです。転職して業界や職種が変わってしまったら、全く不要になった本もありました。取らずじまいの資格本もありました。処分するときはかなりの重荷になります。
けれど、断捨離本を読んでいたら。
古い本をいつまでも本棚に保管していたら、新しい学びが得られなくなる。思い切って処分したほうがいいという言葉があって、本を捨て惜しみする私の背中を押してくれました。
図書館で借りる本も、以前は十冊の限界まで借りて。
読めなくなったら、何回も借り替え更新してたのをやめました。だいたい、一週間に読める本の分量がわかってきたので。それに本を借り過ぎると、それを必要な他の利用者が読めなくもなります。話題の新刊本もすぐに読むのではなく、しばらく時間をおいて、本当に読みたいのか考えてから借りるようにしています。そうしたら、意外にもすぐ読まなくていい本だと気づきました。借りた本を読みさばくのに時間を奪われて、大事なことが後回しになっていたのです。
蔵書本を見直したら、同じようなテーマの本が何冊もあったので、読みたいものだけを手元に残すようにしました。
さらに、本を動かすのがめんどうなので、極度に重すぎる、分厚すぎる本は借りない、買わないようにもしています。六法全書のような法律書も、法改正がすすめば一部の法律だけはネット上で検索できますし。
また話題になったような本は、かならず図書館でも購入されるので。
無理に買っておく必要もないと考えました。一年もしたら回転率が落ちて、予約しなくてもすぐ借りられるようになります。すぐに自宅の本棚にお迎えしなくてもよいのです。
多くの本を所蔵することをやめて、自分に合う適度で適量の本だけに囲まれるようになったら、感情のささくれがなくなりました。知識に執着しなくなったことで、虚栄心を捨てられたのかもしれません。知らなかったことがあれば、そのときどきで学べばいい、と呑気に構えています。何もかも先取りして学んでも、実際、その現象が生じたときに忘れてしまう恐れもあるからです。
(2022/08/21)
読書の秋だからといって、本が好きだと思うなよ(目次)
本が売れないという叫びがある。しかし、本は買いたくないという抵抗勢力もある。
読者と著者とは、いつも平行線です。悲しいですね。