陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

同性婚と同姓婚の行方

2021-07-28 | 政治・経済・産業・社会・法務

私はとある百合もの作品が好きなのですが、信条として、急進的な同性婚の推進者というわけではありません。
まったくの反対という意味ではなくて、やるならお好きにどうぞ。アンケートで賛否を問われたら、どちらかと言えば賛成に入れるでしょう。近くにカップルがいれば祝福するでしょう、浮気癖がなければ。けれども、異性愛を絶対だと考える人もいるし、そもそも性愛が絡む繋がりが嫌いな人もいるので、それを尊いとかあまりにも絶対視するのは…という立場です。
もちろん差別が許されないのは言うまでもないのですが。

最近、同性婚の受理を認めない役所の態度を違憲とする判決が下されました。ただし、被告側の慰謝料請求が棄却されたため控訴するようです。同性愛に対して譲歩してるし慰謝料を諦めたらそこで確定となり判例になるから、そのうち法改正にも繋がると思うのですが、弁護士にそそのかされて法廷闘争を長引かせているような。

その少し前には、驚くことに、妻と不倫をした「女性」に対し、夫が請求した慰謝料が認められる判決もありました。
女性側は同性どうしならば不貞行為には当たらないと主張したらしいですが、そりゃないでしょう。夫婦の信頼関係を損なうような行為に、同性も異性もあるか、と。刑法が改正されました現在、同性間の性暴力でもセクハラでも問題視される時代です。ネトラレが認められる二次元と現実は違うのです。

また、同性の恋人で同棲しただけの内縁関係でも、事実婚状態と見なされ、浮気をすれば慰謝料請求も可能という判決も最高裁で出ました。
もし、同性の事実婚が認められたならば、法律婚なみの相続はおいといても、遺族年金や労災補償での受給対象者に含まれる可能性はあるのかもしれません。近年はLGBTカップル向けの保険商品が登場しているようですが。

ジェンダーレスで多様性のある社会で、同性婚にも前向きな司法判決が見られる。その一方で、選択的夫婦別姓については俎上に載せても法制化されないのは何故なのか、でしょう。

よしんば同性婚が認められたとしても、法律婚並みの法整備をするならば、戸籍上の姓をどうするの、という問題がまず立ちはだかります。つまり同性婚の前に選択的夫婦別姓婚を戸籍法の改正なりで制度化する必要がある。しかし外国人に戸籍をのっとられるなどの懸念で反対論も根強いのです。

二次元ものの百合とかBLがお好きな方で、この同性婚推進派の方をSNSでよく見かけます。その心意気やよし、なのですが。
実際の結婚というか、伴侶を得るというのは、その時々で流行りの二次元カップルを無責任に追いかけて、とっかえひっかえ消費するのとは違いますよね。あれはただのデータなんですから。二次元の推しキャラならいくら貢いでもいいみたいな態度は、ホスト狂いと変わらないですし。

特別な関係を普通の関係にする、してほしいのならば、義務も生じる。それが誰かと生きていくということ。
上の判決の「同性同士の不倫はセーフ」という女性の考えも、ひとを愛する資格がない考えではないでしょうかね。自分の快楽のために、他人の愛を壊すっていうのは美しくないのですよ。

相続が絡む法改正はただちに難しいにしても(遺言を作成して遺贈扱いにできなくもないが)、手術の同意書のような局面においては柔軟な救済策があるといいですね。 私が怖いのは、同性愛関係を捏造されて殺傷事件がごまかされたり、詐欺が増えたりしないかということです。 そして、その類の事件が起こるたびに自分の好きな作品が引き金になったと槍玉にあげられやしないかと恐れているのです。

ですから、この問題はきちんと熟議してから法として整えてほしいのです。若者たちの票を得ようと軽々しくサブカル人気におもねって、ではなく。

( 2021/03/20)



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