人間はいつも色眼鏡でもの、ものごとを見ている、つまりバイアスがかかていると
いわれる。
そんなことわかっている、と思っている。
本当だろうか?
以下の図はノーベル賞経済学賞受賞者のセイラー教授の実践行動経済学
から借用したもの。(いわゆるナッジに関するもの)
左側のテーブルは随分細長いと思う。
次の図も同じく借用。
これは先のテーブルそれぞれからその天板だけを取って並べたもの。
そう二つのテーブルの天板は全く同じ大きさなのである。
どう見ても違いますよね。測ってみた。全く同じだった。
それでも信じられないので、コピーしたものをハサミで切り取ってみた。
重ねてみるとぴったりと重なった。全く同じ大きさだった。
でもやっぱり信じられなかった。
切り取って並べてみた。こんな感じだった。
やっぱり同じ大きさだ。
ただ、足をつけ、板に厚さを加えると一番上の図のようになるのだとわかった。
こんな単純なものでも見せ方によって、これほど違うということだ。
私たちは見た目に簡単に騙されるということである。
もう一つ。
これは香水のこと。香水を買ったことは以前にも書いたことがある。
ローズ、ローズしたものは平凡で好きではなかった。
ローズ系とそうでないものを試してみた。
一つは好きだが、もう一つはそうでもなかった。
匂いの気に入った方を示して店員さんに「これローズでない方ですよね」と確かめた。
「いいえローズ系の方です。」
もう一度、匂い比べてみた。
一方はいい匂いだが、もう一方はそうではない。
「これいい匂いだけれど、ローズでないほうですよね」
「いいえ、ローズです!!」
多分、5回、いやもっとやり取りした。店員さんは呆れ顔。私もどうしてと納得できない。
店員さんから30分くらいしたら本当の香がわかるので、ぶらぶらしてはなどと
言われた。
アドバイスに従った。
匂いに敏感な私がなぜ、同じ過ちをしたのだろう。おかしい?
ローズ系は好きではないというのが、私の固定観念だった。
だから、いい匂いと感じた香はローズ系であるはずがない、のだった。
キチンと匂いわけはしていた。そこは問題はない。
問題は、ローズ系は好きではないと思っていたことだった。
ローズ系が好きではないということではなく、いかにもローズ、ローズしたものは
何か安っぽくて好きでなかっただけだ。
ローズ系の香水というのもいろいろ種類があることがわかり、種類によっては、
ということは、ローズっぽくないローズ系の場合はOKということだと。
始めて悟った。
こんなことがあって、私たちの生活って誤解、偏見、バイアス、誤謬に満ちている
らしいと気づいた。
ただ、そして厄介なことは、余りにも当たり前すぎて、誤解、偏見、バイアス、誤謬
に気づかないことである。
恐ろしいことである。