YO's Blog♪ 天才ミュージシャン 加納洋の問わず語り 

全盲のジャズピアニスト加納洋の
音楽、NYの暮らし、仲間、旅、福祉活動…
~☆大切なものとの出会い☆~

クビ自慢

2008-10-03 | 問わず語り
友人のリサが、仕事を2日でクビになったと落ち込んでいたので、
友人5人で励まし会をやってあげることにした。

まずは彼女の話をみんなで聞いた。
ま、クビになったのは、彼女が仕事ができないことが理由のようだ……ということが判明した。

……でも、落ち込んでいる彼女にそんなことは言えないから、
なんとかみんなで励まそうと、
集まった仲間が、自分が仕事をクビになった経験を話しだした。


みんななかなか面白い経験をしている。
ジョーは大学時代、ベーカリーのアルバイトを見つけた。
彼の仕事は、朝5時に店に行き、掃除をすることだった。
真面目な彼は、さっそく翌朝5時に店に行き、
鍵を開けて中に入ると、まだ誰も来ていない。

ボスが来る前に一人できれいに掃除を終え、気に入られようと
懸命に掃除を始めた。

すると、キッチンにパンを焼くベーキングパン(※)が、
パンを焼いたあとの焦げつきを残したまま置いてあった。
※日本人の友人に聞いたら、これは日本では「型(かた)」と呼ぶらしい。

彼は、焦げつきをゴシゴシと削り取り、ピッカピカにきれいにした。
そこへ、ボスがやってきた。
彼は自慢げに
「すっかりきれいになっているでしょう」
と言うと、
ボスがえらい剣幕で
「なんでベーキングパンの焦げを取ったんだ。こんなんじゃパンが焼けないじゃないか」

パンを焼くには、この焦げが非常に大事らしい。
彼はその場でクビになった(みんなで大笑い)。


今度は僕の番。僕は1分でクビになった話をした。

今から12年ほど前。ある音楽事務所のマネージャーから電話があり、
明日の夜、貿易センターの近くのレストランで
ハッピーアワー(夕方5時から8時まで)に演奏してほしいと言われた。

ピアノがないのでキーボードとマイク設備を持って行ってほしいとも言われ、
友人の車で運んでもらうことにした。

「どんな雰囲気の店? どんな曲を演奏すればいい?」と聞くと、
マネージャーが
「ま、適当にカクテルミュージックでもやっててくれればいいよ」と言われた。

翌日、店に行き、機材をセットし、5時から演奏を始めた。
最初の曲は、ビリー・ジョエルの「Just the way you are(素顔のままで)」。
ワンコーラス歌った時、店のマネージャーの女性が僕のところにやってきて、
「あなたの演奏はうちの店の雰囲気に合わないから、もうやめて帰っていいです」と言われた。

僕も10代から音楽の仕事をしているけど、こんなに早くクビになったことはない。

その店は若者が多く、ハッピーアワーからみんな踊りまくるようで、
カクテルミュージックじゃ雰囲気ぶち壊しだったらしい。

当然、これは事務所のミスだから、僕はその日のギャラはもらいました。

考え方によっては1分演奏しただけで、
一晩分のギャラがもらえたので僕は得をしたのかも。
人間、たまにはクビになる経験でもしたほうが謙虚になっていいかもよ。

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