その1 首相の発言
菅首相は「860兆円もの大借金をつくった責任は自民党、公明党にもある。一緒に財政を健全化する道筋を話そうと申し入れている」と盛んに言っています。非は前政権の財政運営にあり、民主党や自らに非はないかのような発言は明らかに誤りです。第一に、借金が大きく積み上がったのいは前政権の時だけではなく、それ以前の自社さ政権から今日の民主党政権にいたるまで続いているという事実(民主党は、過去最大の赤字国債の発行要因は経済不況のためとこれも責任転嫁)。第二に、前政権の国債発行は経済対策が主な目的であったことに全く触れず、「国債発行そのものが悪」であるかのような論になってるからです。
無論、大量の国債発行は財政面では決してプラスではありませんし、ムダ洗い出しの事業仕分けという現与党の成果は事実その通りです。しかし、今年度44兆円という過去最大の赤字国債発行は、決して経済不況による税収減のみではなく、むしろ行き過ぎたバラマキ政策によるところが大きいのです。
その2 党首討論番組における枝野幹事長と山口代表
枝野 社会保障を含め超党派で議論をしたい。特に年金について、「100年安心」と公明党は言ったが安心でなくなった。
山口 どこが安心でないのか。約3000万人に毎年40兆円が給付されている。いい加減なことを言わないでくれ。(民主党は)7年前に言った最低保証年金も未だに具体案が出ない。早く出すべきだ。
枝野 自民党と公明党が与党時代、超党派の年金の会議にわれわれも参加したが聞く耳をもたなかった。
首相・幹事長の発言の論理に見られるのは、善玉(民主党)による悪玉退治、悪玉の責任と抵抗が大きく善玉の改革が進まないというもの。しかし、こんな勧善懲悪は政策論争ではありません。政策に対し是非を論じあわなければならない。大量の国債発行や現行の年金制度の問題・課題にそれぞれの立場から向き合わなければ超党派の議論はありえません。
藤原帰一・東京大学大学院教授は先述の党首討論番組で、「(枝野氏は)超党派で税金について話し合い、考えようという人の話し方ではない。超党派で財政再建について考えるべきだ。その議論をする人が「公明党はこういうことを言ったじゃないか」と、議論するのでは議論にならない」と述べられました。
政権交代で国民が待望した政治改革の芽をつぶしてしまったのは他ならぬ民主党自身です(だって多くの候補者がもう一度改革をやらせてください!と訴えていますよね)。また財政再建・社会保障、超党派の議論も呼びかけている民主党自身がつぶしています。
勧善懲悪的な発想を変えるには生活現場の声を基盤に置くことだと確信して、チーム3000・地方議員3000名のネットワーク政党・公明党は走っています。