いわゆる京都市の「空き缶持ち去り禁止条例」について、私は、公明党会派を代表して本会議で討論を行いました。様々な方から質問を受けましたので、ここで、私が行った討論の全文を紹介し、何故公明党は賛成したのかとの回答とさせていただきたい。
【討論】
公明党京都市会議員団は、議第92号京都市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例の一部を改正する条例の制定について に賛成の立場を表明していますので、会派を代表して討論を行います。
今定例会に提出された本条例の改正案は、事業用大規模建築主や特定食品関連業者への事業系廃棄物の減量に関する計画の作成及び提出の義務付け、資源ごみである缶、ガラスびん及びペットボトル並びに大型ごみの持ち去りを禁止するもので、市民や事業者の活動により排出されるごみの減量化やリサイクルなど「環境モラルの向上」に資することが目的であります。この間、改正の主旨が市民へ充分に伝わらなかったのか、ホームレスの方々の生活をどうするのかということが議論の中心となり、環境モラル向上の視点からの議論が少なかったことは残念です。
勿論、ごみとして出された空き缶を生活の糧としているホームレスの方々の生活実態はあるわけです。本条例の改正が、ホームレスの方々の生活に直接に影響を及ぼすことを危惧する団体等からの声があがり、マスコミ等でも取り上げられ、議会でも継続審議となりました。私たち公明党市会議員団も、多くの方々の声を聞き、議論を重ねてきました。
「環境モラルの向上」のために、先に述べた改正案の内容は理解できるところです。京都市は平成18年に家庭ごみ有料指定袋制を導入し、家庭ごみの減量とリサイクルに効果をあげてきました。次いで、事業系ごみの減量に力をいれていく本条例の改正案は積極的に評価できます。また、手数料を支払ってごみ出していることから、市のごみ処理体制やいわゆる抜き去り等の行為に対する市民の意識が次第に高まってきています。ただし、有料指定袋の購入代金は手数料であるにもかかわらず、商品として認識されている方も少なくありません。また、一部の業者が景品として有料指定袋を使うなど、京都市としていまだ課題があります。その意味から環境モラル向上を図る本条例の改正案は意義があるものです。
条例の改正にあたり以下3点申し上げたい。
第一に、本条例施行後、事業系ごみの削減と一般ごみの抜き去り禁止について、しっかりと状況把握し、条例改正の効果を検証することが必要です。また、有料指定袋財源や環境ファンドを積極的に活用し、市民ぐるみの「環境モラル向上」の事業を拡充していくべきです。
第二に、条例を実施する側である市環境政策局の職務執行モラルを高める不断の取り組みを続けていかねばならないということです。職員の不祥事には厳正たる姿勢で望み、不祥事根絶へ向けた組織文化の改革を市民へ見える形で進めていくことを改めて強く求めます。併せて、委託化が進む収集作業において、市民サービスを後退させることのないよう、直営・委託の別なく作業員のモラル向上への取り組みをしっかりと取り組んでいただきたいと要望します。
三点目はホームレスの方々への支援についてです。これまでの支援策に加え、市長から「ホームレス能力活用推進事業」の創設が表明されました。更に、この事業の実施を、来年度を待たず、可能な限り早急に実施するよう、強く求めておきます。
ホームレスの方々への支援策は自立支援が基本です。その観点から、自立支援センターや中央保護所の定員をはじめとする支援の取り組みは充分なのか、改めて点検し、例えば来年度からの中央保護所の指定管理者制度導入による居宅生活への移行支援拡充など、一層の自立支援施策の充実を図るべきです。同時に、ホームレスの方々の生活状況を鑑みると、大事なのは一人ひとりの生活実態に合わせた丁寧なサポートです。これまでも京都市は訪問相談事業を進めてきたわけですが、実態としてまだまだ自立支援へ結びついていない状況が、今回行われた聞き取り調査でも明らかであると思います。訪問相談事業を次の各種支援策へ結び付けていく積極的かつ丁寧な体制の充実が必要です。
今回の条例改正を機にホームレス支援策をひとつひとつ見直し、今後も、実際に効果が上っているのか、聞き取り調査を含め定期的に状況調査を行い、議会と市民に報告することを要望します。
本条例改正の提案を機に起こった環境モラル向上及びホームレス対策はいずれも重要な課題です。京都市は市民の声が多くあがった事実を重く受け止め、条例改正の施行後も継続して検証し、それぞれの実効があがるように事業を進めるとともに、効果がだせなかったならば、京都市として改正後の条例に頑なに固執し続けるのではなく、条例を見直し、進化させていく姿勢で取り組んでいくことを求めて討論といたします。【以上】