陋巷にさまよう (野を拓く 第2部)

プアなわが道とこの世を嗤笑するブログ

プア7-(3) 排出量取引と花見酒

2009-09-25 20:32:14 | Weblog
時間的余裕がないとの機運からか、
地球温暖化に関する話題が盛ん。
その一に、CO2などの温室効果ガスの排出権を売買する排出量(権)取引がある。
炭素市場ともいう。
鳩山内閣は積極的に取り組むらしい。(もう遅いんだけどね)

基本的な構造は、
排出枠を定め、排出枠を下回った者がその削減分に付加価値をつけて
排出枠を上回った者と取引(売買)をするもの。

考え方は判らないでもないが、正直なところ、釈然としない。
「まやかし」の様に見えて仕方がない。
なぜか?

(1)削減は容易ではないから、買い手側はいるだろうが、売り手がいるのか?
   →市場取引が成立するほどの売り手、売る量が出るのか?

(2)売り手が真に削減した分なら良いが、途上国が排出枠をもて余して売る場合もあるだろう。
その場合、地球全体としてみれば、減るどころか、排出量は増えてしまう。
その対策として、国や企業に対して排出量取引量の上限値を定めることになっているそうな。

そうなると、一番難しいのは、排出枠や取引量の上限をどう設定するかという点。
これが個別の利害に直結する。
今まで一生懸命に取り組んだところが不利になりかねない。
だから、かけ声ばかりで、なかなか前に進まない。
余り厳しくすると、企業は「じゃあ、国外へ出てゆきます」となる。
雇用が減る。
それでいいんですか? となりますゾ。

釈然としない部分が連想させるのは、落語の「花見酒」。

桜の季節、金のない二人が、向島で酒を売ろうとした。
売り物の酒や、運ぶための樽、茶碗、釣り銭などを、そっくり借りた。
向島に向かう途中も大変な賑わい。
自分たちも酒を飲みたくなる。
片方が、(借りた釣り銭で)相方にカネを払って酒を飲む。
暫くすると、その相方も手にした金(最初の釣り銭)で片方から酒を買う。
相互に金を渡しながら、全部飲んでしまった、というもの。

酒を外に売らなきゃあいけないのだが、自己取引で完結。
酒は自分達の腹に入ってしまった。
ハナシのオチは、釣り銭一つで全部飲んでしまったことで「安い酒を飲んだ」というもの。

本当は、酒を売る際に独立した「さいふ」を用意しないといけない訳だが、
結果は、二人のフトコロから出たり、入ったりしただけ。

排出量(権)取引って、これと何も変わらないんじゃあないの?
結果として、借金が残っただけになりかねない。
プアなお話し。
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