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やすとみせんせいの気保養記

日常診療や院の取り組みなどを紹介していきます!(^^)!

薄毛や脱毛の悩み④ 対策 当院編

2025年04月25日 | 症例
さて、今回が「薄毛や脱毛の悩み」シリーズの最終章

薄毛や脱毛の対策に対し当院で行っている、できる治療法をお伝えしていきます

当院の薄毛や脱毛へのアプローチは、ずばり鍼灸治療です


でもこのブログを見られた方の中にも、鍼灸を受けてみたいけれど「鍼は痛いかも❓」「灸は熱いかも❓」と不安に感じる人は少なくないと思います。

しかし実際、鍼を皮膚や頭皮に打ってみると、痛みは感じないという人がほとんどなのをご存じですか❓

鍼が皮膚に刺入される瞬間は、蚊に刺される程度でほぼ痛みを感じることはありません。

実際に「刺すと痛いもの」で連想される注射針の太さは約0.7~0.9mmですが、それに対して、鍼灸の鍼は約0.10~0.34㎜ほどと、注射針の3分の1くらいの太さで「髪の毛ほどの細さ」と、よく表現されます。


鍼の刺入時には、痛みを感じたとしても蚊に刺される程度に収まるのですが、「鍼灸で全く痛みを感じない」とは言い切れません。

しかしながら、いずれも注射針を刺した時のような痛みではなく、ほんの少し「チクッ」と感じる程度ですのでご安心ください。

お灸も熱さに耐えるような必要性はなく、温かいと感じる程度でも効果は十分にあります。

それでも痛さ、熱さの感じ方は人それぞれですので、当院では痛かったら、熱かったら遠慮なく仰ってもらって大丈夫です。

当院では、患者さまの身体に合わせた治療が出来ますので安心してご来院ください。

さて、そんな鍼灸治療ですが特に

①AGA・MPHL(男性型脱毛症)またはFAGA・FPHL(女性男性型脱毛症)
②円形脱毛症
③眼精疲労(近視)
④薬剤による脱毛
⑤ホルモンバランス
⑥ストレス(自律神経)
⑦マイクロバイオーム


において、前回の「薄毛や脱毛の悩み③ 対策 一般編」でお伝えした、たくさんある髪の育毛・発毛治療法のなかでも副作用がなく、着実に、自然に髪が生えてくる東洋医学をベースにした育毛・発毛治療法です。

鍼や灸による刺激によって頭皮の血行を改善、活性化することにより髪に十分な栄養を与え、育毛を促進する治療です。

鍼灸治療は、ジヒドロテストステロン(DHT:Dihydrotestosterone)の作用であるAGAの原因(毛周期を早めてしまい、毛髪が十分に育つ前に抜けてしまう)を抑制する効果は残念ながらありません。

しかし、IGF-1(Insulin-like-growth-factor-I)を増やす可能性があります。

少し復習です。

IGF-1は「インスリン様成長因子-1」と言われています。

成長ホルモンが毛根に作用すると、髪の毛のもとになる毛母細胞を養う毛乳頭細胞でIGF-1が大量に作られ、IGF-1が受容体に作用すると、髪の毛の成長期が長くなります。

成長期が長くなることで抜け毛の減少、また長く成長することでより太く強い毛に育ちますので、髪の毛のボリュームアップにも繋がります。

またIGF-1には髪の毛のタンパク量を増やす働きがあり、タンパク質を増やすことは健康な髪の毛づくりにとても有効です。

この様にIGF-1を体内で増やすことは発毛や育毛にとっても重要です。

※DHTやIGF-1の詳細は「薄毛や脱毛の悩み② 続解説編」をご覧ください。


そんなIGF-1を増やす可能性について、いろいろな書物を読み漁る中で、下記の記述を見つけました。

「鍼や灸では、それぞれ痛みや温熱で知覚神経を刺激することになります。体のツボと呼ばれる部分は、おそらく知覚神経が集まっている部分で、そこを鍼や灸で刺激するので、体内のIGF-1が増えて治療効果が発現するとも考えられます。このように知覚神経を刺激するとIGF-1が増えるという発見は、これまで不明であった鍼灸治療の効果発現メカニズムをもうまく説明することが出来ます。」
『 身近なクスリで毛が抜ける 薬害脱毛 岡嶋研二 現代書林 P40より一部抜粋 』


前回の「薄毛や脱毛の悩み③ 対策編」のIGF-1についての項で、食餌成分の唐辛子(カプサイシン)の効果について載せました。

▼唐辛子(カプサイシン)
IGF-1は、知覚神経を刺激すると分泌が活発になります。
唐辛子に含まれる辛味成分のカプサイシンを皮膚に塗ると、およそ30分後からIGF-1の濃度が増加し始めることが分かっており、一度塗布すると3時間程度IGF-1の濃度が高いまま保たれます。
これは知覚神経を刺激すると、IGF-1の材料となるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide=CGRP)が多く放出されるため、IGF-1が増えやすくなるためです。
体内から摂取しても同様の働きがありますので、直接皮膚に塗る必要はありませんが、唐辛子を積極的に食生活に取り入れ摂取することもオススメです。


つまり、鍼灸もこのメカニズムと同じようなことが起こっているのではないかと言う考察です。


非常に興味深く思います

さらに鍼灸治療では薄毛、抜け毛、若ハゲ、艶、はり、ボリューム、細毛、円形脱毛症、多発性円形脱毛症、汎発性円形脱毛症、汎発性脱毛症、びまん性脱毛症、白髪、AGA(MPHL)、FAGA(FPHL)、コロナ感染後の抜け毛、コロナワクチン接種後の抜け毛、コロナ後遺症の抜け毛、頭皮が硬い、慢性的な頭痛、頭皮の痒み、脂漏性皮膚炎での抜け毛、内臓疾患からの抜け毛、自律神経の乱れからの抜け毛などのお悩みのある方に適応とされています。

特に若い世代では、薄毛が少し気になるという段階で育毛に対する鍼灸治療を始めると治療期間がかなり短縮できます。

しかし、AGA治療で使用する薬(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル など)は男性ホルモンに作用するため、また使用の安全性や効果が十分に確立されていないためなどの理由により、未成年者(20歳未満)への投与はできません。

そのため早期発見、年齢に合った早期治療や対策がその後の薄毛人生を左右します。

また治療中や治療後に薄毛や脱毛・細毛の原因となる⑧生活習慣の乱れ、⑨誤ったヘアケア、⑩過度なカラーリングにおけるケアを、患者さまに合った現実可能な解決策を一緒に考え、わかりやすく、ご納得いくまでしっかり説明いたします。

鍼灸による総合的な毛髪へのアプローチをすることで発毛を促し、脱毛を抑制する可能性を高めることが出来るのです。

■円形脱毛症への鍼灸治療の効果

鍼灸では脱毛頭皮部に鍼やお灸を用いることで、局所免疫療法に似た考えで局所治療をおこないます。

鍼灸治療をおこなった結果、円形脱毛症が改善した例(特に単発型)は多く報告されています。

当院でも、以前に報告した症例がありますので興味のある方は是非ご参照下さい。
(下記の写真をクリックすると当該ページに飛びます)

初診時の様子です

(※その後の経過報告として、この患者さまは2019年7月より治療を開始して、2020年2月には完治となり、現在でも全く問題ありません)


完治時の様子です

円形脱毛症(成長期脱毛症)では、自律神経の変調を想起させる症状が頭皮と身体の双方で高確率に認められたとの報告もあります。

そのため、患部と全身を整えることの出来る鍼灸治療は、他の治療法と比しても効果をより期待できます。

■当院の料金について

当院における薄毛や脱毛の鍼灸治療費は初回7,800円、2回目以降4,200円となります。

薄毛、脱毛の状態によっては複数回の鍼灸治療が必要となりますが、目安は1~2週間に1回の治療となります。

しかしながらこの料金!

当院では薄毛や脱毛の治療だけでなく同時に肩こり、腰痛、四十肩・五十肩、胃の不調から便秘など、あらゆるお悩みも同金額内で治療できます!

薄毛や脱毛の治療に抵抗がある方でも、腰痛や肩こりの治療の「ついで」に薄毛や脱毛の治療が出来ると考えれば、挑戦してみる気持ちも上がってくるのではないでしょうか。

さてここで、他の治療法と金額を比較してみます。

一般的に、薬局やホームセンターで販売している育毛剤は、月1,000~3,000円ですが、薄毛に対して発毛効果は期待できません。

薬局で販売しているミノキシジル(頭皮の血流を改善、毛根(毛乳頭)での成長を助ける作用)配合の育毛剤は月8,000円前後ですが、医療機関での治療と比べると使用量は少なく、患者さん一人ひとりに適切な処置かは判別できません。

一方、デュタステリド(男性ホルモン(DHT)の産生を抑制してAGAの進行を止める作用)やミノキシジルの内服薬では月に約16,000~30,000円を半年から1年継続します。

そして、先程もお伝えしたようにAGA治療で使用する薬(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル など)は男性ホルモンに作用するため、また使用の安全性や効果が十分に確立されていないためなどの理由により、未成年者(20歳未満)への投与はできません。

ある美容師さんから聞いた話では、
「あるAGAクリニックに通っているお客様の話ですが、10年くらい前から通っているそうです。最初は診察と検査諸々で50,000円くらいお支払いされたそうです。そして約半年間、処方された内服薬または育毛剤を使用して経過観察後、これ以上増えないという診断結果となりました。そこで、このままこの治療を薄毛を抑制するために継続するか、薄毛が進行してしまう可能性が高いが、ここで治療を諦めるかという判断を本人に聞いたそうです。そして継続の場合、毎回5,000円の診察料に加えて薬代がかかるそうです。内服薬はやめたら薄毛が進行しますって言われたらやめられないですよね。」

患者さん全員がそうなる訳ではないと思いますが、一部にはそのような患者さんがいることも事実だと思われます。

鍼灸治療の場合は、治療を中断した場合でも急に脱毛が始まる、薄毛が急激に進行するという事は無いです。

前述の円形脱毛症の患者さまは、2025年4月現在においても再脱毛はなく、毛量は一般の方と変わりません。

もちろん、AGAと円形脱毛症では原因が違いますので同率で比較はしませんが、その人がもっている自己治癒力、自己修復能力、自己再生機能を刺激する鍼灸治療はまだまだ医学的に分からないことが多く、その効力に驚かされるのは患者さまたちだけでなく、我々治療家も驚くことが多い日々です。

元々、薬剤などを使う訳でもないので、その人自身が持ちうる回復能力や免疫力、育毛・発毛能力を刺激するだけなので安心して継続できますし、長期服薬に表れるような副作用もありません。

しかし、万人に通用する治療法でもないと思いますのでAGAクリニック同様、一部の患者さまには鍼灸治療の効果が表れない可能性も否定できません。

その他にも、メソセラピーといって発毛・育毛に必要な成分を直接頭皮に注射で注入する治療法があり、1回あたりの料金は50,000~80,000円します。

また、HARG(Hair Re-generative therapy)療法といわれる治療法もあり、AGA治療のうちの一つとして近年注目を集める再生医療、毛髪再生治療です。

頭皮に直接注射で、薬剤や幹細胞を注入する方法ですが、1回あたりの料金は60,000~100,000円します。

さらに植毛では50~80万円、なかには300万円もかかる植毛法もあります。


いかがでしたか

物価高の現在においては、上記の料金も更に高騰している可能性はあります

当院では上記料金据え置きで頑張っています

どの治療法においても、ある程度の治療期間が必要であることは変わりません

鍼灸であっても、治療した翌日に毛が生えてくるような夢の治療法でもありません

何もない頭皮に、徐々に産毛が見え始め、抜け毛が減り、徐々に産毛の量が増え、太さが増していき、実感できる毛量へと変化していきます

いろいろな治療法を試された方でも、今まで何もやったことはないけれど今回のブログを見て興味を持ってくださった方でも、ぜひ当院に相談してみませんか

薄毛や脱毛の悩みに対して育毛や発毛を希望している方は、その選択肢の中に当院での治療を考えて下さるきっかけに、この「薄毛や脱毛の悩み」シリーズがなれたなら、嬉しく思います

若い学生さんも、働き盛りの方も、高齢になっても薄毛を諦められない方も、いつでもご相談をお待ちしています



【 Anyone can be confident with a full head of hair.
But a confident bald man –
there’s your diamond in the rough. 】

【 誰しもたくさんの髪の毛があれば自信を持つことができます。
しかし、自信に満ちたハゲは・・・
あなたにとってのダイヤモンドの原石となるでしょう。 】

〔 Larry David 〕
― ラリー・デヴィッド ―
( アメリカの俳優 )



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〒358-0055
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薄毛や脱毛の悩み③ 対策 一般編

2025年03月10日 | 症例
さて今回は、薄毛や脱毛の対策の話しをしていきます

一般的な対処法はもちろん、医学的根拠(EBM)に基づいた対処法を載せます

これは、現時点で僕が調べられた本や書籍、ネット情報なので、数年後には非常識な話しもあるかもしれません

アップデートは都度、行っていますので、最新情報を知りたい方は是非当院でご相談ください
(もちろんメールや電話対応も可能です

まずは、「薄毛や脱毛の悩み①」で話した内容から1つずつ解説していきます

① AGA・MPHLまたはFAGA・FPHL
② 円形脱毛症
③ 眼精疲労(近視)
④ 薬剤による脱毛
⑤ ホルモンバランス
⑥ ストレス(自律神経)
⑦ マイクロバイオーム
⑧ 生活習慣の乱れ
⑨ 誤ったヘアケア
⑩ 過度なカラーリング


対策① AGA・MPHL(男性型脱毛症)またはFAGA・FPHL(女性男性型脱毛症)

前回の解説②であったように、テストステロンと5α-リダクターゼが結合してジヒドロテストステロン(DHT:Dihydrotestosterone)を生成し、それが毛包に対して強力に作用するため、男性型脱毛症の原因として注目されている話をしました。

それに対して、抜け毛防止を目的とする育毛薬には、この5α-リダクターゼを阻害し、DHTの生成を抑制する成分が含有されています。

病院で出される一般的な薬には、DHTの生成を抑制するために配合される成分として以下のようなものがあります。

●フィナステリド(Finasteride)

抗アンドロゲン薬の一種で、FDA(アメリカ食品医薬品局)にAGA治療薬として認可されています。

Ⅱ型5α-還元酵素を阻害して、テストステロンがDHTに転換されるのを抑制します。

「プロペシア」の主成分です。

●デュタステリド(Dutasteride)

5α-リダクターゼのⅠ型とⅡ型両方に作用するので、フィナステリドより強力です。

「ザガーロ」の主成分です。

●ノコギリヤシ(Serenoa repens)

ソーパルメット(Saw Palmetto)とも呼ばれる薬草の一種です。

主な有効成分は以下の通りです。

・脂肪酸(オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸など)
⇒5α-還元酵素の抑制
・フィトステロール(β-シトステロール)
⇒DHT生成の抑制
・フラボノイド
⇒抗炎症作用
・ポリサッカライド
⇒免疫機能の調整

天然由来の成分なので副作用が少ないことから、5α-リダクターゼを阻害する効果がある育毛薬の成分として注目されています。

●ミノキシジル(Minoxidil)

ミノキシジルは、もともと高血圧患者の治療薬として1979年から使用されていました。

副作用として多毛が認められたことから再度、発毛剤として開発が進められ、1988年にAGA治療薬として承認されました。

ミノキシジルは、最近の研究で毛包の毛細血管を増加させることが分かりました。

髪の毛を生成する毛母細胞のアポトーシス(apoptosis:プログラム細胞死)を抑制する働きもあります。

これによりヘアサイクル(毛周期)の成長期が延長され、育毛及び脱毛抑制への効果が期待できます。

さらに、毛乳頭細胞からつくられるIGF-1の産生を促したり、毛乳頭細胞そのものを増殖させる働きもあったりすることから、ミノキシジルは発毛を促す成分として位置づけられています。

日本皮膚科学会のガイドラインでは内服薬としてフィナステリド、デュタステリド、外用薬としてミノキシジル、外科的治療として自家植毛を推奨しています。

代表的な薬を紹介しましたが、これらの育毛薬の治療効果が現れるスピードにはかなりの個人差があります。

早い人では1〜3ヶ月で抜け毛が減少して、明らかな毛髪の増加が認められる場合もありますが、一般的には最低6ヶ月〜1年間の治療により効果を確認する必要があります。

しかし中には治療開始から、2〜3年後に効果が現れる場合もあります。

年齢は、治療効果の発現の程度に必ずしも関係なく、80歳を超えた方でも十分な効果が現れる場合もありますし、若年でもなかなか十分な治療効果が現れない場合もあります。

対策② 円形脱毛症

ステロイド局所注射、局所免疫療法(JAK阻害剤など)、ステロイド外用療法が代表的です。

●ステロイド局所注射

ステロイドを患部に注射して免疫機能を抑制することで症状の改善を目指す治療法です。

単発型や多発型の患者さんにおこなわれます。

●局所免疫療法

脱毛部位に炎症を引き起こす物質を塗布し、アレルギー反応(かぶれ)をわざと起こすことで免疫バランスを変化させて円形脱毛症の改善を目指す治療法です。

広範囲の脱毛に効果が現れることも期待できますが、アトピー性皮膚炎を合併している方は皮膚炎が悪化してしまうこともあり注意が必要です。

また、オルミエント(JAK阻害薬)とは、細胞の内側にあるJAK(Janus kinase:ヤヌスキナーゼ)という酵素の働きを抑えることで、炎症や関節破壊を抑えるお薬です。

生物学的製剤と違って飲み薬でありながら、同じように炎症の原因となる物質(サイトカイン)の働きを抑制し、免疫細胞による毛根の攻撃を抑える、という作用です。

従って免疫を抑制する治療で、且つ非常に高額な薬剤(高額療養費制度適応)でもあることから、導入や維持治療には慎重な管理が必要な薬剤です。

●外用薬(塗り薬)

円形脱毛症には湿布や軟膏などの治療薬が用いられることがあります。

主な治療薬は下記の通りです。

・ステロイド外用
・ミノキシジル外用
・塩化カルプロニウム外用

●内服薬(飲み薬)

円形脱毛症は外用薬だけでなく内服薬が用いられることもあります。

主な治療薬は下記の通りです。

・ステロイド内服
・セファランチン
・抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン薬)
・グリチルリチン、メチオニン、グリシン複合薬

対策③ 眼精疲労(近視)

●遠くを見る

眼精疲労はピントを合わせるときに使用する毛様体筋が疲労することによって発生します。

スマホやパソコンなど近くのものを見続けると目に負担がかかるため、毛様体筋の緊張を緩和させることが大切です。

休憩中は窓の外を見て、室内にいる場合は部屋の中で遠くにあるものを眺めましょう。

何かを注視するのではなく、ぼんやり眺めることを意識しましょう。

できれば、60分ごとに2〜3分は遠くを見るように習慣づけることをおすすめします。

●目を休める

眼精疲労対策には、目を休ませることが効果的です。

厚生労働省によるとパソコンやスマホを使った情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインにおいて、連続で1時間以上の作業が発生しないように10分~15分の作業休止時間を設けるように推奨しています。

●目を温める

集中したり、目を酷使するなどして目が疲れている場合は、目のまわりを温めると緊張した筋肉が緩和されてリラックスした状態となり、眼精疲労の解消に効果的です。

また、温めることによって目と周辺の血管が広がるため、疲労物質を流したり、涙が蒸発するのを防ぐマイホーム腺の油分の分泌を促して目の疲れを癒します。

目を温める場合は、蒸しタオルやホットアイマスクなどを使用し、入浴時に温かいシャワーを軽く目に当てるのもよいでしょう。

しかし、目の充血や痛みを感じる場合は、温めるよりも冷やした方が良いケースもあります。

目を冷やすときは、冷蔵庫で冷やしたおしぼりや保冷剤を巻いたタオルを目に当てましょう。

●ツボ押しをする

ツボ押しを行うことで、自律神経が緩んで眼精疲労や目の疲れを緩和する効果が期待できます。

上図が目に良い代表的なツボです。

爪を立てずに、指の腹で優しくマッサージしてください。

●目に良いとされる栄養素

目に良いとされている食品や栄養分を効率よく取り入れることで、眼精疲労の予防や症状緩和につながる場合があります。

ただし、何か1つの食材が眼精疲労を良くするわけではないので、バランスよく摂ることが大切です。

(※長くなるので、後に掲載する予定の近視の話しの時に更に詳しく解説します)

対策④ 薬剤による脱毛

抗がん剤は細胞の分裂を抑制することで癌細胞の増殖を抑えるようにできているため、毛母細胞も影響を受け死滅します。

そのため脱毛が引き起こされるのです。

多くの場合、投薬を止めることで徐々に回復が見られます。

抗がん剤治療中の脱毛を止める方法はありません。

また、薄毛や脱毛の悩み①で風邪薬、解熱剤、かゆみ止め、花粉症の症状を抑える薬などでも薄毛や脱毛の原因となる物質が含まれていることを話しました。

そのため、薄毛や脱毛の原因がそれらの薬剤の服用との関連性を疑ってみることも必要です。

そこに原因の可能性がある場合は、服薬を止め、医師や薬剤師に相談しましょう。

対策⑤ ホルモンバランス

ホルモンバランスは、食事内容が偏っている、運動不足や過度な疲労、精神的ストレスが長期間続く、喫煙や過度な飲酒などさまざまな要因で乱れます。

加齢によるホルモン分泌の変化も大きく、特に男性では中年期以降に男性ホルモンの分泌量が乱れやすくなります。

DHTの生成を抑えるには、男性ホルモンを生成・変換する酵素の働きを弱めるか、ホルモンの分泌量そのものを抑える必要があります。

生活習慣を改善し、適切な食事や運動を続けて、ホルモンが過剰に分泌されにくい状態に導くことは大切です。

男性ホルモンを減らすポイントとしては、

◎脂質と糖質の摂取量を適度にコントロールする
◎ストレスを溜め込まない生活リズムを心がける(次項参照)
◎運動習慣を取り入れて体重増加を防ぐ


これらを継続することで、男性ホルモンの抑制に役立つ体内環境へ近づけます。

対策⑥ ストレス(自律神経)

ストレスに対する対処法は、

◆自分自身がストレッサーやストレス反応に気づくこと
◆睡眠をしっかりとること
◆適度な運動(散歩やストレッチ)
◆誰かと話をする
◆自分の思いをノートに書いてみる
◆映画鑑賞や読書で泣いたり笑ったりする
◆創作・創造作業を取り入れる
◆マインドフルネス(瞑想)をする
◆趣味を楽しむ
◆自然に触れる
◆どこかに行く
◆身のまわりを整える
◆リラックスする


などなど、いろいろ言われている対処法があると思いますし、ネットで検索してもたくさん出てきます。

しかしながら、大切なのは自分にあった対処法を探し、必要に応じて増やしていくことが重要です。

効果的なのは、日常的に使える小ワザをたくさん用意して、こまめに使っていくことだと言われています。

対策⑦ マイクロバイオーム

マイクロバイオームのバランスを整えることが、薄毛の進行を抑制する新しい治療のアプローチになり得る可能性があります。

頭皮環境を健全に保つためには、頭皮に優しいシャンプーをすること、適切な食生活や生活習慣の見直しも、微生物バランスの維持に寄与します。

まだまだ未知の部分が多いジャンルなので、今後マイクロバイオームをターゲットとした治療法の開発が進むことで、若年層を含めた薄毛問題に対して、新しい解決策が提供されることが期待されています。

対策⑧ 生活習慣の乱れ

肉や魚、大豆製品など、良質なたんぱく質を積極的に取り入れることが必要です。

また、ビタミンやミネラルを十分に摂取するために、野菜や果物も日々の食事にバランスよく組み込みましょう。

食事で意識したい栄養素
■タンパク質(肉、魚、卵、大豆製品など)
■ビタミンB群(レバー、豚肉、豆類など)
■ビタミンC(果物、野菜)
■ミネラル(亜鉛、鉄分など)


ただし、「対策④ 薬剤による脱毛」の際に話したように、何か1つの食材が薄毛や脱毛を良くするわけではないので、バランスよく摂ることが大切です。

対策⑨ 誤ったヘアケア

当院がお勧めしているのは「湯シャン」です。

湯シャンとはシャンプーを使用せずに、お湯またはぬるま湯で頭皮を洗浄する洗髪方法です。

洗いすぎを防ぐのが目的で、肌質次第では頭皮環境を整える効果が期待できます。

海外ではノーシャンプー、no poo(ノー・プー)ともいわれていて、セレブたちの間でも話題となっています。

湯シャンには主に以下の特徴があります。

フケや乾燥を抑えるなどの効果がある
皮脂過剰を抑えられる
湿疹やかゆみを軽減する
頭皮環境を整えられる
湯シャンの効果を得られるまでは時間がかかる


まずは基本の湯シャンのやり方をご紹介します。

髪の毛を洗う前にブラッシングを行いましょう。

汚れや匂いをある程度取り除くことができます。

お風呂では、まず髪を洗う前に湯船に浸かるのがおすすめ。

頭皮を温めることで、汗や皮脂、汚れが落ちやすくなります。

その後、シャワーヘッドを地肌につけながら、手でやさしくなでながら汚れを落としたら、指の腹でゴシゴシと揉みこする感じで洗いましょう。

ちなみに、頭皮に1番刺激を与えない温度は、36~38℃のぬるま湯だそうです。

お風呂から上がったら、髪をタオルでポンポンとやさしく叩くようにして水分を取り、ドライヤーで髪の根本をしっかり乾かします。

湯シャンを始める際は、いきなりシャンプーの使用を完全にやめるのではなく、一週間に数日シャンプーを利用しない日を作り、徐々に湯シャンの頻度を増やしていくのがおすすめです。

日常的にシャンプーを使用している人がいきなり全くシャンプーを使用しなくなると、頭皮の皮脂量をコントロールできなくなり、頭皮トラブルにつながる恐れがあるためです。

また、お湯だけでの洗髪に慣れていないと、汚れを十分に落とせず、ベタつきやにおいが発生する原因にもなりかねません。

対策⑩ 過度なカラーリング

若い世代でのヘアカラーは自己表現の一環ですが、頭皮に優しい製品を選ぶことが重要です。

また、出来れば自分でするよりも美容室で専門家にカラーリングをして頂いた方が、ダメージを最小限で済ませられます。

例えば頭皮ギリギリから数ミリ離して塗る「ゼロタッチ」技術や、ホイルを使って頭皮に薬剤が付かないように染めるハイライトなどの方法があります。

重要なのは、頭皮を傷つけない事。

カラーリング後は、保湿効果のあるトリートメントや頭皮用美容液でケアを行うことで、髪と頭皮の健康を保つことができます。

自分で行う場合でも、ヘアカラー剤にはさまざまな種類がありますので、できるだけ刺激が少なく髪へのダメージが少ない製品や方法を選ぶことが重要です。

市販の製品では「ノンジアミン」「低刺激処方」などと表示されたヘアカラー剤も出てきているようです。

また、植物由来のヘナやカラートリートメントなど、比較的マイルドな染色剤を利用する方法もあるようです。

近年では、ジアミン系染料(パラフェニレンジアミン=PPD)の代替となる新しい成分を使ったカラー剤も開発されており、アレルギーリスク低減の選択肢として注目されています。

こうした低刺激のカラー剤に切り替えることで、頭皮への負担を減らすことができます。

米国皮膚科学会も「染める色は自分の地毛から3段階以内の明るさに留め、できれば明るくするより暗めに染める方が髪への負担は少ない」とアドバイスしています。

また「ヘアカラーやパーマなどによるダメージの蓄積が最終的に毛包(毛根)にまで及ぶと、そこからは毛が生えなくなり薄毛の原因になりうる」と指摘しています。

明るく大幅に色を変えるほど髪のタンパク質構造が損傷を受けやすく、また頻回にカラーリングを繰り返すことで、結果として枝毛・切れ毛が増え、髪全体のボリューム低下につながります。

ヘアカラーを選ぶ際は「どれくらい髪に負担がかかるか」という視点で種類や色味を検討し、自分の髪質や頭皮に合ったものを選びましょう。

一般的な目安として、ヘアカラーはできれば4~6週間(1ヶ月半)以上の間隔を空けると良いと言われます。

以上、①から⑩に対する対策は一通りお話ししました

次は、「薄毛や脱毛の悩み② 続解説編」でお話ししたIGF-1について話します

IGF-1(insulin-like growth factor-1:インスリン様成長因子-1)は強力な育毛作用があるため、脱毛症の種類に関わらず育毛効果が期待できます。

では、どうしたら増やすことが出来るのでしょうか?

これまでに、安全にIGF-1を増やす方法は見つかっていませんでした。

しかし、IGF-1による育毛研究において著名な、医学博士 岡嶋研二先生(名古屋Kクリニック院長)が「IGF-1育毛理論」を提唱しました。

そして、これまでの研究成果から、頭皮や胃腸の知覚神経を刺激すると頭皮の毛根、および頭皮を含んだ全身のIGF-1が増加することがわかりました。

この発見を応用して、胃腸の知覚神経を刺激する薬剤の投与や食餌(栄養補給のための食べもの)成分の摂取、さらに頭皮の知覚神経を刺激する成分の頭皮への塗布などの新たな薄毛の治療方法を開発して、実際の治療に応用しています。

さらに、育毛と同時に、美肌、抗うつ、生活習慣病改善、認知機能改善などの健康効果も期待できます。

その食餌成分とは、「カプサイシン」と「イソフラボン」を摂取することで、IGF-1を増加させるという方法です。

▼唐辛子(カプサイシン)

IGF-1は、知覚神経を刺激すると分泌が活発になります。

唐辛子に含まれる辛味成分のカプサイシンを皮膚に塗ると、およそ30分後からIGF-1の濃度が増加し始めることが分かっており、一度塗布すると3時間程度IGF-1の濃度が高いまま保たれます。

これは知覚神経を刺激すると、IGF-1の材料となるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide=CGRP)が多く放出されるため、IGF-1が増えやすくなるためです。

体内から摂取しても同様の働きがありますので、直接皮膚に塗る必要はありませんが、唐辛子を積極的に食生活に取り入れ摂取することもオススメです。

▼大豆(イソフラボン)

また、大豆食品に多く含まれるイソフラボンも、体内でIGF-1の生成をサポートしてくれます。

前述のCGRPは、本来女性ホルモンから作られているのですが、大豆に含まれるイソフラボンには女性ホルモンと同様の働きがあり、大豆製品を食事に取り入れることでCGRPを増やすことができます。

イソフラボンでCGRPを増やし、カプサイシンでそのCGRPをしっかりと放出することで、最も効率よくIGF-1を増やすことができます。

唐辛子と大豆の両方を、積極的に食生活に取り入れることで、IGF-1の生成が効率よく高められるので、最もオススメなのです。

また、他にも胃腸の知覚神経を刺激する作用を有する食餌成分としてショウガ、わさび、海藻成分、亜鉛、根菜類、およびカカオやコーヒーに含まれるポリフェノールなども、育毛に効果的だと言われています。

米ぬか成分も、知覚神経刺激作用を有しており、玄米食も育毛には効果的です。

注意)岡嶋研二先生ですが、実は2012年に熊本大学、名古屋市立大学在籍時の部下が論文捏造したことの監督責任により、停職6ヶ月の処分を受けたことがあります。
そのためカプサイシンとイソフラボンの組み合わせによる育毛効果に対して不信感を抱く人も出てきました。
しかしながら、この組み合わせによる育毛効果に関して、全否定できる論文が発表されていないこと、効果に対する結果は改竄されている可能性があるが、全く信用出来ない研究結果とは言い難いという位置づけになっています。
信じるか信じないかは、あなた次第です!


他にもIGF-1を日常生活の中で増やすことが出来る方法がいろいろと推奨されています。

▼運動

ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動をすると、脳下垂体から成長ホルモンが分泌されます。

すると肝臓からIGF-1細胞が分泌されるため、有酸素運動を取り入れることはIGF-1を増やすために効果的です。

またIGF-1を作り出しているのは肝臓だけではありません。IGF-1は筋肉に直接働きかけたり、筋サテライト細胞という幹細胞の増殖を促し、筋肉肥大にも関わっている成長因子です。

そのため、筋トレなどの筋肉を使う運動もIGF-1を増やす方法です。特に大腿四頭筋(太ももの前部)などの筋肉の大きな部位を中心にトレーニングを行うと効果的です。

▼入浴

ぬるめの湯船(38度から40度ぐらい)に、15分から20分を目安にゆっくりと浸かり、身体を温めることで副交感神経が活発になり、 IGF-1細胞が生成されます。

湯船の温度が熱すぎる、入浴時間が短くリラックスできていない、反対に入浴時間が長すぎてのぼせてしまう、といった場合は交感神経が優位になってしまい逆効果です。

ただし、寝る直前の入浴は寝つきを悪くしてしまいますので、就寝の2~3時間前を目安として入浴を行うように気をつけましょう。

▼睡眠

深い睡眠は成長ホルモンの分泌が促され 、さらに副交感神経の働きが高まってIGF-1細胞の生成にも有効です。

成長ホルモンは睡眠中に脳下垂体から分泌され、その成長ホルモンが肝臓からの IGF-1細胞の分泌を促します。

最もIGF-1が多く分泌されるのは、入眠後3〜4時間で訪れるノンレム睡眠時といわれています。

そして睡眠中にIGF-1 が各細胞の働きを高め、昼間のダメージから身体を回復させます。

慢性的な睡眠不足や質の悪い睡眠が続くと成長ホルモンが十分に分泌されず、正常な育毛が妨げられることが考えられます。

髪の毛の成長には、IGF-1が欠かせませんので、良質な睡眠をとるように気をつけましょう。

また、体を暖めることがIGF-1を増やし、育毛には重要です。

毎日の運動、やや長めの入浴、冷たいものよりは、暖かい食べ物を摂ることなどが勧められます。

さらに、適度の太陽の光を浴びての散歩や酸性の温泉浴なども育毛には効果的です。

そして、青色光もIGF-1を増やすことがわかりましたので、市販の白色LED(青色の光を白く見せている)などの照明も、育毛には効果的だと言われています。

また、5α-リダクターゼを抑制する作用のある食餌成分もありますので、積極的に摂取することも大切です。

▲イソフラボン

イソフラボンには5α-リダクターゼ抑制効果があります。

また、イソフラボンには先程話したようにIGF-1の分泌を促す働きもあり、髪の毛の成長をサポートする効果が期待できます。

他にもイソフラボンに含まれるエストロゲンは女性ホルモンと似た働きをすることから、薄毛の原因となる男性ホルモンを抑制する効果が期待できます。

▲リモネン

みかんの皮に含まれるリモネンには5α-リダクターゼ抑制効果があります。

みかんの皮をそのまま摂取することは難しいため、みかんの皮を乾燥させた陳皮(チンピ)茶などで摂取するとよいでしょう。

▲カテキン

緑茶等に含まれるカテキン類の一種であるエピカテキンガレート(Epigallocatechin gallate :EGCG)には5α-リダクターゼの抑制作用があります。

緑茶には他にも、ビタミンCやビタミンEなど髪の毛の生成をサポートする効果の期待できる栄養素も含まれています。

▲亜鉛

亜鉛には髪の毛の主成分であるケラチンの生成をサポートする働きがあります。

5α-リダクターゼそのものを抑制する効果はありませんが、髪の毛の正常な生成に必要不可欠な栄養素であるため、適度に摂取することが推奨されます。

亜鉛は牡蠣や豚レバー、卵等に多く含まれています。

亜鉛の吸収率はあまり高くないため、吸収を促進してくれるクエン酸やビタミンなどの栄養素を一緒に摂取するのがおすすめです。

一方で食物繊維や穀物、豆類に多く含まれるフィチン酸などは亜鉛の吸収を妨げてしまうため注意しましょう。

いかがでしたか

対策の中には、専門医に相談のうえ行う治療から、食事の見直し、生活習慣の改善など今すぐできそうなモノまで多岐にわたってお話ししました

全てを一気に理解し、実行するのは難しいでしょう

しかしリスクもなく、自分の髪に少しでもプラスになるのなら、出来るところから始めてみることに躊躇はいりません

即、始めてみましょう

しかし、やってみて調子が悪くなる、今までより髪の状況が悪くなってきたなどのマイナスなことがあれば中止して、それまでに行っていた習慣や方法で様子を見ましょう

参考にして頂けましたら幸いです

さて次回は、薄毛や脱毛の原因に対する当院の対策をお話しします

「薄毛や脱毛の悩み」のシリーズの最終章となる予定です

よろしくお願いいたします


【 髪の毛が後退しているのではない
私が前進しているのである 】

― 孫正義 ―
( 実業家、資本家、投資家 )



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薄毛や脱毛の悩み② 続解説編

2025年02月18日 | 症例
さて、前回に引き続き薄毛や脱毛についてお話します

前回にも少し触れましたが、髪の毛の育成に成長ホルモン(GH:Growth Hormone)が大きく関わっていることをみなさんご存じですか

知っている方も知らない方にも、育毛や発毛に成長ホルモンがどう関係しているのかという事を解説します

■IGF-1

思春期に背が伸び、筋肉がついて、徐々に子どもの体型から大人の体型へと変化する過程で、その成長を支えているのが、思春期に脳下垂体から大量に分泌される成長ホルモンです。

成長ホルモンの中でも特に注目は、IGF-1という物質です。

IGF-1とは「insulin-like growth factor-1」の略で、日本語では「インスリン様成長因子-1」、または「ソマトメジンC(somatomedin-C)」とも呼ばれています。

膵臓から出るインスリン(血糖を下げる働きのあるホルモン)と構造が似ていることから、「インスリン様成長因子」と呼ばれています。

成長ホルモンの働きによって肝臓や骨格筋などで産生される物質がIGF-1で、IGF-1がほぼ全身の細胞を刺激することで身体の成長に繋がります。

IGF-1の働きとして

● 血流促進
● 細胞の活性化
● 筋肉の合成と修復を行い、筋肉量を増加させる
● 食後に血中の栄養分が増えたことを検知して、体内の細胞を活性化させる(血糖値の抑制)
● 細胞の増殖・分化を促す
● 成長ホルモンの成長促進作用の仲介役として働く
● 細胞を酸化ストレスから守る(アンチエイジング)
● 皮膚のコラーゲンを増やす
● 汗腺の機能を向上させる
● 毛母細胞(髪のもとになる細胞)の働きを活発にさせ、髪の成長期を長く、退行期・休止期を短くする


などが言われています。

IGF-1はこのように、エイジングケアで若々しい肌を保つため、筋トレをするときに筋肉の発達をさせるため、そして髪の毛を育てるためにも必要不可欠です。

IGF-1の分泌量は乳児期から徐々に増加し、思春期の時期(10歳から17歳ごろ)にピークを迎え、20歳から30歳の間に急激に減少します。

その後は、歳を重ねるごとにどんどん減ってしまいます。

髪の毛を作る基盤となる、毛母細胞の増殖を促す作用もありますので、加齢と共にIGF-1が減少することで白髪や抜け毛、薄毛など、髪の毛のあらゆるリスクも高くなってしまいます。

もちろん、他のホルモンも同じように加齢と共に減少していきます。

髪の毛の成長にとっては、IGF-1は必要不可欠で、成長ホルモンが毛根に作用すると、髪の毛のもとになる毛母細胞を養う毛乳頭細胞でIGF-1が大量に作られます。

一方、毛母細胞にはIGF-1を受け取るアンテナのような受容体が生まれます。

毛乳頭細胞で大量に作られたIGF-1が受容体に作用すると、髪の毛の成長期が長くなります。

成長期が長くなることで抜け毛の減少、また長く成長することでより太く強い毛に育ちますので、髪の毛のボリュームアップにも繋がります。

またIGF-1には髪の毛のタンパク量を増やす働きがあります。

髪の毛の約80%はタンパク質で出来ていますので、タンパク質を増やすことは健康な髪の毛づくりにとても有効です。

この様にIGF-1を体内で増やすことは発毛や育毛にとっても重要です。

■DHT・5αリダクターゼ

前回の「薄毛や脱毛の悩み① 解説編」の「原因① AGA・MPHLまたはFAGA・FPHL」で少し触れた内容ですが、更に深掘りします。

AGAでは、ジヒドロテストステロン(DHT:Dihydrotestosterone)と呼ばれるホルモンが過剰に分泌されることで、「毛が生える→育つ→抜ける」といった毛周期(ヘアサイクル)を早めてしまい、毛髪が十分に育つ前に抜けてしまいます。

DHTとテストステロン(Testosterone)は、どちらもアンドロゲン(androgen:男性ホルモン)に分類されるホルモンですが、その影響力と作用する部位には大きな違いがあります。

テストステロンは全身の発育や筋肉量の増加、骨の成長に関与し、健康や活力を支える重要なホルモンです。

これに対して、DHTは主に毛包などの特定の部位に強力な作用を及ぼします。

悪玉男性ホルモンなどと言われることもあるDHTですが、DHT自体は精子の形成、胎児や子供の生殖器の成長といった大切な役割を果たします。

細胞の増殖や分化を抑え細胞の働きをコントロールする役割を持っています。

そのため、すべての男性が持ちうるものであり、女性にも少量ながら男性ホルモンは分泌されます。
(そのため、女性もAGAになることがあります)

通常、DHTが「アンドロゲンレセプター(AR:Androgen Receptor:男性ホルモン受容体)」と結合すると、髭や体毛を濃くする働きを持つ細胞成長因子「IGF-1」などを生成します。

しかし前頭部や頭頂部においては脱毛因子と呼ばれる「TGF-β(transforming growth factor-β:形質転換増殖因子)」などが産生され、毛母細胞の増殖を抑制し軟毛化を引き起こす働きを持つことがわかっています。

またDHTに対する感受性が強い人の場合、前頭部や頭頂部ではTGF-βなどの脱毛因子が産生されることによってヘアサイクルの成長期が極端に短縮されてしまいます。

その結果、髪の毛が十分に育たなくなるため、抜け毛や薄毛が進行すると考えられています。

DHTは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが体内の還元酵素「5αリダクターゼ(5-alpha reductase:5-アルファ還元酵素)」によって変化し生成されます。

5αリダクターゼにはⅠ型、Ⅱ型の2種類があり、それぞれ体内で分布している範囲が異なります。

Ⅰ型5αリダクターゼは毛乳頭細胞や皮脂腺を中心に全身に分布しており、特に側頭部や後頭部に多く存在しています。

毛乳頭細胞はヘアサイクルを正常に保つ役割や育毛促進因子を産生する役割を持つため、髪の毛の生成に欠かせない細胞です。

Ⅱ型5αリダクターゼは主に頭頂部と前頭部に分布するほか、脇・髭・陰部などの毛乳頭細胞にも分布しています。

Ⅰ型と比較してⅡ型の方がAGA発症に影響していると考えられているため、AGAは頭頂部や前頭部に発症しやすいとされています。

また、Ⅱ型は頭部では脱毛の症状を促しますが、脇や髭などそれ以外の部位では発毛を促すのが特徴です。

このⅡ型が毛包に高濃度で存在することで、髪の成長サイクルを乱し、脱毛の一因となることがわかっています。

しかし、なぜAGAになる人とならない人が出てくるのでしょうか?

これは、5α-リダクターゼの分泌量の差が大きく関わっています。

DHTの基となるテストステロンの分泌量はさほど個人差がないのですが、テストステロンをDHTに変換する5α-リダクターゼの分泌量にはかなりの個人差があります。

つまり、5α-リダクターゼが生成されやすい体質=AGAになりやすい体質ということになるのです。

これは個人差と言うより遺伝が関わっています。

「男性ホルモンが多いとハゲる」といううわさを聞いたことがありますか?
この話しは正しいとは言い難く、今回のブログでよく理解できると思います。

この遺伝子(5α-リダクターゼが生成されやすい体質)は、母親がもつX染色体から引き継がれるため、母方に薄毛の人がいると子や孫にも遺伝する可能性が高く、よく抜け毛や薄毛が「遺伝」と言われるのは、5α-リダクターゼが生成されやすい体質そのものが遺伝で受け継がれているためです。

まとめると

① 5αリダクターゼとテストステロンが結合する
② DHTが発生する
③ アンドロゲンレセプターがDHTと結合する
④ TGF-βが増加する
⑤ TGF-βから脱毛の合図が出て発毛を抑制する
⑥ ヘアサイクルが乱れる


という順で脱毛が起こります。

そして、5α-リダクターゼが生成されやすい体質を持つ人が母方にいるとAGAになって、薄毛や脱毛になりやすくなるというのが分かってきたことです。

もちろん、そこには前回の「薄毛や脱毛の悩み①」で話したように、生活環境や習慣、食事や睡眠などが多いに関わってくることは言うまでもありません。

いかがでしたか

少し専門的で難しすぎたらごめんなさい

主にはAGAにおける薄毛や脱毛の原因を、科学的に分かってきたことを中心に記載しました

老年性脱毛症(senescent alopecia)にも同じような現象が起こっている場合もあります

もちろん、若年者にも起こっている現象でもあります

参考にして頂けましたら幸いです

さて次回は、今まで話した薄毛や脱毛の原因に対する対策をお話しします

よろしくお願いいたします



【 小さいとき髪をといてくれるのも
ほかの人がすると痛いが
母親だと痛くなかった
ここに自然な無理のない母の愛がある 】

― 新渡戸稲造 ―
( 日本の教育者、思想家 )



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薄毛や脱毛の悩み① 解説編

2025年01月22日 | 症例
近年、10〜20代の若い方でも薄毛や脱毛に悩んでいる方が増えているようです

「なぜ自分だけ…」「薄毛のせいで自分に自信が持てない」など、人知れず薄毛に悩む若者は多いと聞きます

薄毛に悩むのは、30代頃から徐々におでこの生え際や頭頂部を中心に本数が少なくなり、40歳頃から細く、ハリコシがなくなる傾向があるのが一般的かもしれません

しかし、最近では早い方だと小学生、中学生の頃から悩んでいる方もいるようで驚きです

というのも、この話題は僕の通っている美容師さんとの会話の中で知りました

「最近、学生さんで髪の毛が細かったり、頭皮が見えたり、産毛の多い薄毛になるなどで一昔前と比べて髪質が変化している子が多い。」
「それも、10代前半(小学校高学年)からの薄毛の子が増えたの!男の子も女の子もいるよ!」
「親が私に子どもの薄毛を相談してくることもあれば、親も子も知らずに、私だから気が付くこともあって…後者の場合は、本人に伝えはしないけどね。」


そんな会話がありました

オドロキでした

あくまでその美容師さん(歴30年)の印象ではありますが、しかしながら近年のスマホ、夜更かし、インドア、運動不足、栄養状況などを思えば、そのような変化も想像はつきました

そこで、今回は薄毛や脱毛について僕の調べたことの覚書を含めて載せていきます

もちろん、薄毛や脱毛に悩む多くの30~40代や60歳以上の高齢者の方にも共通する「知っていて損はない情報」が多いと思います

■10代の薄毛や脱毛の特徴

10代で薄毛や脱毛になる人には、いくつかの共通する傾向が見られます

以下に当てはまる項目がないかチェックをしてみましょう

☑ スマホ(パソコンやテレビ)を夜遅くまで見ている
☑ ゲームを長時間する
☑ ジャンクフードやインスタント食品をよく食べる
☑ 過度なダイエットをしている
☑ 運動する機会があまりない
☑ 人間関係や進路、勉強などのストレスが強い
☑ シャンプーの回数が多い
☑ お風呂に入らない(風呂・ドライヤーキャンセル界隈)ことが多い

以上の項目で当てはまりつつ、下記の項目が当てはまることが多い場合は要注意です

☑ 友人と比べて髪のボリュームが少ない
☑ 友人や家族から髪の量を指摘される
☑ おでこが広くなった(生え際が後退している)
☑ 髪にハリやコシがない
☑ 家系に薄毛の人がいる
☑ つむじの髪の毛が薄くなった
☑ 髪の分け目の地肌がよく見える
☑ 抜け毛が多くて、細くて柔らかい

日本人の毛髪はおよそ10万本あるとされますが、そのうちのおよそ50本から100本は毎日、自然と抜け落ちて生え替わります

毎日のように100本以上の抜け毛が続くようであれば、注意が必要だと言えるでしょう

■10代の薄毛や脱毛の原因

10代で薄毛や脱毛になる原因には

① AGA・MPHLまたはFAGA・FPHL
② 円形脱毛症
③ 眼精疲労(近視)
④ 薬剤による脱毛
⑤ ホルモンバランス
⑥ ストレス(自律神経)
⑦ マイクロバイオーム
⑧ 生活習慣の乱れ
⑨ 誤ったヘアケア
⑩ 過度なスタイリングやカラーリング


の10項目が考えられます

それぞれ解説していきます

原因① AGA・MPHLまたはFAGA・FPHL

若年層の薄毛で考えられるもっとも大きな原因がAGA・ FAGAです。

AGA「Androgenetic(男性ホルモン)Alopecia(脱毛症)」、「MPHL(male pattern hair loss)」は、どちらも男性型脱毛症のことで、思春期以降の男性に見られる薄毛症状のことをいいます。

生え際や頭頂部(つむじ)周辺の薄毛が顕著であり、一度発症すると薄毛が進行し続けるのがAGAの特徴です。

日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では、日本人男性がAGAを発症する頻度は約30%と発表しています。

DHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる男性ホルモンが過剰に分泌されることで、「毛が生える→育つ→抜ける」といった毛周期(ヘアサイクル)を早めてしまい、毛髪が十分に育つ前に抜けてしまいます。

毛周期の回数には上限があるため、上限回数に達すると毛が生えてこなくなります。

AGAの原因であるDHTは、男性ホルモンの一種である「テストステロン」が体内の還元酵素「5αリダクターゼ(5α還元酵素)Ⅱ型」によって変化し生成されますが、これは遺伝的な素質に加え、ストレス、食事、生活習慣などの影響が大きいと考えられます。

AGAは高い確率で遺伝することがわかっており、薄毛の遺伝子は母親がもつX染色体から引き継がれるため、母方に薄毛の人がいると子や孫にも遺伝する可能性が高いと言われています。

FAGAとは、「Female(女性の)Androgenetic(男性ホルモン)Alopecia(脱毛症)」(女性男性型脱毛症)のことです。

男性の男性型脱毛症に対する女性に発症する薄毛のことですが、前頭部や頭頂部に特に薄毛がみられる男性型脱毛症とは異なり、頭頂部を中心に比較的広い範囲にハリとコシが失われた細く柔らかい髪の毛が多く生えるようになることで、全体的な髪の毛のボリュームが少なくなるパターンの脱毛です。

男性とは違い、ダイエットやストレス、不規則な生活、加齢による女性ホルモンの著しい減少といったことも原因となるなど、複数の要因が複雑に絡み合って起こることが多いため、若いうちから発症するケースも珍しくありません。

またFPHLとは、「Female Pattern Hair Loss」の略で、「女性型脱毛症」のことです。

FPHLは女性が発症する脱毛症全ての症状を指し示す総称です。

その為、FPHLのなかにFAGAがあり、その他にも円形脱毛症、牽引性脱毛症、分娩後脱毛症、頭皮のトラブルによる脱毛症などが含まれ、広義な女性の薄毛の症状に対して使われる言葉であり、定義が異なります。

FPHLの症状1:FAGA(女性型男性型脱毛症)

FAGAは症状が進むとAGA(男性型脱毛症)のような、前頭部(生際)から頭頂部といった局所的な脱毛のパターンではなく、頭部全体が薄くなっていくのが特徴です。

いわゆるびまん性脱毛と呼ばれており、広い範囲でまばらに脱毛していきます。

薄毛になっていく進行度合はルードヴィヒ分類によって、それぞれⅠ型~Ⅲ型で分けられています。

FPHLの症状2:円形脱毛症

※下記参照

FPHLの症状3:牽引性脱毛症

牽引性脱毛症とは、その名前の通り牽引(髪を引っ張る)ことで髪が抜ける症状です。

長期間に渡り常に同じ箇所の毛髪や頭皮に負担をかけることで起きる脱毛症のことで、女性の場合はポニーテールなどで髪をきつく縛り、長期間に渡り毛根に負担をかけることで起こる脱毛症です。

FPHLの症状4:分娩後脱毛症(産後脱毛症)

分娩後脱毛症はその名のとおり、出産後に発生する脱毛症のことです。

出産後にホルモンバランスが変動することで、ヘアサイクルの成長期の毛髪が一斉に休止期へ移行しまい抜け毛が急激に増えてしまう症状です。

女性ホルモンであるエストロゲンはヘアサイクルの成長期を伸ばして一時的に抜け毛を抑える作用があります。

その為、妊娠して体内の一時的にエストロゲン量が増加することで、妊娠時は本来抜けるはずの髪の毛の成長期が伸びたことで抜け毛が減ります。

しかし、出産後は増加していた体内のエストロゲンが元の量に戻るので、妊娠時に一時的に止まっていた抜け毛が出産後に急激に抜け始める為、頭髪が薄くなる症状に見舞われます。

原因② 円形脱毛症

円形脱毛症とは、頭髪の一部が楕円~円形状に抜け落ちる病気のことです。

生まれつき発毛機能に異常があるわけではなく突然発症するのが特徴で、症状がよくなったり悪くなったりを繰り返しながら、脱毛する部分が大きくなっていくことも少なくありません。

円形脱毛症の原因は自己免疫疾患説が有力で、ウイルスや細菌から身体を守る「免疫(リンパ球)」が、頭髪の産生に関わる“毛包”と呼ばれる部位を異物と誤認識して攻撃することで毛が抜けてしまうためと考えられています。

どのようなメカニズムでリンパ球が毛包を攻撃するのかについては明確に解明されていない部分も多いですが、遺伝の関与もあることが分かっています。

そのほか、円形脱毛症の患者さんはアトピー性皮膚炎や甲状腺機能異常、尋常性白斑や膠原病を合併することがあります。

円形脱毛症の発症頻度は、人口のおよそ1~2%程度と言われており、性別や年齢に関係なく発症し、その約4分の1は15歳以下の子どもだと言われています。

全頭型や汎発型など重度の円形脱毛症も、小児に多く見られます。

また頭髪が抜けるということで、精神的なショックも多くなります。

家族や学校など、周りの理解、温かい目が大切です。

一般的に、単発型は治りやすく、1年以内の治癒率は約80%です。

一方で、多発型、蛇行型、全頭型、汎発型などの重い症例では、現状維持か、悪化しているケースが約6割を占めており、治癒にも10年以上かかるケースもまれにあります。

そのために、親子が力を合わせた根気強い対応が必要です。

原因③ 眼精疲労(近視)

10代の薄毛や脱毛の原因の一つに、眼精疲労があります。

スマホやパソコン、ゲームの長時間使用が当たり前となった現代では、10代でも眼精疲労が進行するケースが増えています。

そして、最近ニュースでも話題になっている目の酷使による子どもの近視の増加にも、眼精疲労の影響がみられます。
(※長くなるので、近視の話題は後々にします)

眼精疲労が進むと、目周辺の筋肉や血管が緊張し、頭皮への血流が悪化します。

血流が悪い状態が続くと、髪の毛の成長に必要な栄養素や酸素が十分に供給されず、薄毛や脱毛の原因となることがあります。

原因④ 薬剤による脱毛

薬剤性脱毛は、薬剤の副作用により髪の毛が薄くなります。

抗癌剤やC型肝炎の治療に用いるインターフェロンなどの影響を受けます。

また、低用量ピルは抜け毛が増えたと感じる人もいれば、体毛が濃くなったと感じる人もいます。

さらに、最近の研究で風邪薬、解熱剤、かゆみ止め、花粉症の症状を抑える薬でも薄毛や脱毛の原因となる物質が含まれているため、原因不明の脱毛の一因として注目されています。

原因⑤ ホルモンバランス

10代の髪は、本来なら成長ホルモンの作用でハリやコシが出やすい状態です。

しかし、思春期から成人へ向かう時期にストレスなどが原因となり、ホルモンバランスが急激に変化して、頭皮環境が乱れたり脂の分泌量が過剰になったりすることがあります。

特に、ホルモンバランスの乱れは女性に多く見られる症状です。

生理不順などでホルモンバランスが乱れ、薄毛が進行してしまうことがあるため、若い方でも慢性的な生理不順の方は、注意が必要です。

女性ホルモンが優位になっている状態では髪の毛は抜けづらいのですが、加齢や更年期によってホルモンバランスが乱れ、男性ホルモンが優位になってしまうと、抜け毛が増えて、薄毛が進行してしまうこともあります。

妊娠中から出産後にかけてホルモンバランスが乱れることから、妊娠中から分娩後の女性に脱毛が起こるのもホルモンの乱れが原因です。(※上記参照)

また、睡眠中は成長ホルモンが盛んに分泌されるため、スマホや勉強で睡眠が充分に取れない状態だと成長ホルモンの分泌も滞り、髪の毛の成長を阻害してしまいます。

男性は女性に比べ、比較的ホルモンバランスが大きく乱れる可能性が低いとされています。

原因⑥ ストレス(自律神経)

「ストレスで薄毛になる」とはよく言いますが、ストレスによる薄毛は若い世代にも当てはまります。

ストレスで抜け毛が増えるのは、自律神経の乱れによる血行不良が原因です。

平常時は交感神経と副交感神経のバランスが保たれていますが、強いストレスを受けると交感神経が優位になり、血管収縮が起こり、全身の血流が悪化します。

これにより頭皮に栄養が届きにくくなり、健康な毛髪が育ちにくくなります。

10代の多感な時期に抜け毛の量が増えるとストレスとなり、さらに抜け毛の量が増えるといった悪循環にも陥りかねません。

また、環境からのストレスが毛髪に与える影響があります。

毛髪は毎日のように、太陽光とポリューション(pollution=汚染)物質〔 黄砂、PM2.5、花粉、ウイルスや排気ガスなど 〕の外的ストレス因子に襲われています。

このストレス因子を「エキスポソーム(Exposome)」と言い、化学物質への曝露と非化学的要因(食事、生活習慣、社会的行動など)の相互作用から、人が生涯にわたって受ける複合的曝露の事を指します。

エキスポソームによって毛髪の構造は劣化し、機械的な強度やツヤ、滑らかさなどは低下します。

原因⑦ マイクロバイオーム

近年、頭皮に存在する微生物叢「マイクロバイオーム(microbiome)」が薄毛、特に若年層の脱毛に深く関与していることが注目されています。

マイクロバイオームとは、皮膚や体内に共生する細菌、真菌、ウイルスなどの微生物の集合体を指し、そのバランスが体の健康に重要な役割を果たします。

何かと話題の「腸内環境(フローラ)」もマイクロバイオームの1つです。

更には皮膚、口腔、鼻腔、呼吸器、女性の膣内(生殖器)など、人体が外部環境に接するあらゆる場所にもマイクロバイオームが形成されていて、それぞれ注目されています。

明治薬科大学の研究では、男性型脱毛症(AGA)を患う人の頭皮には、健康な頭皮と比較して特定の微生物の増加が確認されました。

特に、アクネ菌(Cutibacterium属菌)やマラセチア属菌(Malassezia属菌)が関与しており、これらの微生物が皮脂を分解する際に発生する副産物が、頭皮の炎症や毛包の機能低下を引き起こす可能性が示唆されています。

このような炎症は、毛髪の成長サイクルに悪影響を及ぼし、脱毛の進行を促すことがあります。

なかでも脂漏性脱毛症は、頭皮の過剰な皮脂分泌と炎症が引き起こす進行性の脱毛症状です。

特徴的なのは、過剰な皮脂分泌に伴う頭皮の炎症と、それに続く毛根萎縮のプロセスです。

臨床現場では、多くの患者さんが「フケが多い」「頭皮がべたつく」という症状を訴えて来院されます。

頭皮には通常、適度な皮脂分泌により皮膚バリア機能が保たれています。

皮脂を分泌する皮脂腺に、汗やホコリ、微生物など外的な刺激を受け、常在菌(皮膚に自然に存在する微生物)の代謝産物などが加わると、自然免疫が刺激され、炎症が起こります。

このとき、活性酸素種(Reactive Oxygen Species:ROS)と呼ばれる非常に反応性の高い物質が発生します。

ROSは細胞の構造を壊したり、炎症をさらに促進したりするため、毛包の機能に大きなダメージを与えるのです。

脂漏性脱毛症では皮脂腺が過剰に活性化し、頭皮の微生物環境(マイクロバイオーム)のバランスが崩れてしまいます。

この状態が続くと、毛包周辺で慢性的な炎症が起こり、最終的に毛根の機能が低下して脱毛に至ります。

最近の研究では、皮脂の過剰分泌だけでなく、その脂肪酸代謝の異常も重要な要因であることが分かってきました。

つまり、皮脂の「量」だけでなく「質」も脱毛の進行に関与しているのです。

原因⑧ 生活習慣の乱れ

睡眠の質の低下や偏食、運動不足といった生活習慣が若年層の薄毛の原因となる場合は多いです。

ヒトの毛髪は日々の食事から摂取した栄養や、睡眠中に分泌される成長ホルモンの働きによって成長するからです。

高カロリー・高脂質なジャンクフード中心の食事では、皮脂の過剰分泌による頭皮環境(マイクロバイオーム)の悪化を招きますし、睡眠不足が続くと抜け毛や細毛が増えやすくなります。

また、運動量が少ない方は血行不良や新陳代謝が低下しやすい傾向にあります。

その結果、頭皮に十分な栄養が行き渡らず、毛髪は十分に成長しきれないまま抜け落ちてしまいます。

髪はケラチンというタンパク質で構成されており、タンパク質不足は髪の成長に大きな影響を与えます。

原因⑨ 誤ったヘアケア

過度なヘアケアもまた若年層の薄毛の引き金となることがあります。

頭皮を清潔にしようと1日に何度もシャンプーするのは、実はよくある悪い例の一つです。

また適切なシャンプーやヘアケア製品の選択は、髪と頭皮の健康を維持する上で重要です。

市販の多くの製品には、硫酸塩、パラベン、シリコン、アルコールなどの化学成分が含まれており、これらは髪の自然な油分を奪い、頭皮を乾燥させ、刺激を与えることがあります。

長期的には、これらの成分は髪の毛の脱水や脆弱化を招き、抜け毛や薄毛の原因となる可能性があります。

匂いやフケが気になり刺激の強いシャンプーを使用したり、香りの強いリンスやトリートメントを使用したり、力を入れてゴシゴシこすったり、熱めのお湯ですすいだりするのも頭皮に負担がかかるため適切なヘアケアとは言えません。

また、頭皮マッサージは、血行を促進して頭皮の環境を改善する効果がありますが、過剰に行うと逆に頭皮を傷つけてしまうことがあります。

特に力を入れすぎたり、爪を立てたりすると、頭皮が炎症を起こしたり、かえって薄毛を進行させる恐れがあります。

原因⑩ 過度なスタイリングやカラーリング

頻繁なヘアスタイリングや化学トリートメントは、一時的に髪の見た目を良くするかもしれませんが、長期的には髪の健康に害を及ぼす可能性があります。

これらの処理は、髪の自然な保護層を破壊し、薄毛や抜け毛のリスクを増加させる可能性があります。

主なスタイリングやカラーリングの影響は下記の2つが挙げられます。

〇髪質の悪化
〇頭皮環境(マイクロバイオーム)の悪化


それぞれ見ていきましょう。

〇髪質の悪化

パーマやカラーリング、ストレートニングなどの化学処理は、髪の毛を守る役割のあるキューティクルを強引に開き、内部に薬剤を流し込むため、髪質の悪化に繋がります。

キューティクルがダメージを受けると、髪の水分や必要な栄養素が内部から漏れ出てしまい、栄養不足になってしまうのです。

ダメージが蓄積されていくと、髪のハリやコシがなくなったり、髪が細くなったり、切れ毛になったりします。

その結果、髪のボリュームが無くなり薄毛やハゲに見えてしまうこともあるでしょう。

〇頭皮環境の悪化

ヘアカラー剤が頭皮に付着してしまい、頭皮や毛穴に対して強い負担がかかり、炎症を起こす恐れがあります。

ブリーチをした時に、頭皮がピリピリするのが分かりやすい例です。

頭皮に薬剤が残ってしまうと、頭皮環境(マイクロバイオーム)は悪化しやすいです。

外部の刺激から頭皮を守るバリア機能が低下すると、頭皮が乾燥や炎症を引き起こしてしまいます。

乾燥や炎症が起きると、バリア機能は頭皮の異常を検知して皮脂を過剰に分泌します。

その結果、過剰な皮脂が毛穴詰まりの原因となり、薄毛・抜け毛に繋がってしまうのです。
(脂漏性脱毛症=上記、マイクロバイオームの項参照)


いかがでしたか

若年者に限らず、読んで頂いた30~40代、高齢者の方々にも当てはまる症状がありましたでしょうか

薄毛や脱毛の原因は多岐にわたるため、上記に該当しない症状もあります

自分の薄毛や脱毛の原因が分からない、人とは違う症状があるという方は、薄毛の専門医(AGAクリニックや皮膚科)に相談することも大切です

次回は、薄毛や脱毛の原因を更に科学的に深掘りします

少々難しい話になるかもしれませんので、そこまで興味がないという方は「薄毛や脱毛の悩み 対策編」までお待ちください

よろしくお願いいたします


【 A woman who cuts her hair is about to change her life 】
【 髪を切る女性は人生を変えようとしている 】

〔 Coco Chanel 〕
― ココ・ シャネル ―
( フランスのファッションデザイナー )



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気象病って知っていますか?

2022年05月25日 | 症例
今年も『梅雨』の季節がやってきますね

天気で気になるのが悪天候時に起こる不調

当院の患者さまでも悪天候前の不調や梅雨時の不調を訴える方が多くいらっしゃいます

たびたび紹介させてもらっている活動の「おたっしゃ教室」でも、天気と健康についてのお話をすることがあります

では何故、天気の変化で体調に変化が起こるのでしょうか

それは「気象病」と言われる病が原因と言われています

気象病とは、気候や天気の変化が原因でおこるカラダの不調の総称で、頭痛やめまい、疲労感、関節痛、気持ちの落ち込み(うつ)、吐き気、喘息などさまざまな症状が出るのが特徴です

潜在患者数は1000万人にのぼるとも言われています

対処法としては
〇生活リズムを崩さない
〇寝る前のスマホ、PCはやめる
〇健康予報もチェック!

などがあります

健康予報とは『バイオウェザーサービス』というサイトがあり、そこで天気予報に加えて健康の予報も出しています


その季節にお勧めのレシピもありますので、参考にしてみてください


他にも耳のマッサージもお勧めです


耳をマッサージすることで自律神経が整うと言われています


お薬では薬局屋さんにある「乗り物の酔い止め」の薬が効果的と言われています


手軽にできることとして、ツボ押し療法をお勧めします


環境破壊による異常気象が増えていると言われています

今の辛い身体の症状は、もしかしたら天気が影響しているのかもしれないと疑うことも必要なのかもしれませんね


【 晴れた日は晴れを愛し 
雨の日は雨を愛す 
楽しみあるところに楽しみ 
楽しみなきところに楽しむ 】

― 吉川英治 ―
( 小説家 )


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