やすとみせんせいの気保養記

日常診療や院の取り組みなどを紹介していきます!(^^)!

帯状疱疹

2020年02月18日 | 症例
今回は、帯状疱疹についてご紹介します

帯状疱疹とは、免疫力の低下などによりヘルペスウイルス(VZV)が原因となって発症する皮疹です

神経に沿って帯状に出る事からこう呼ばれています

症例1:腹部脇

症例2:脇の下

症例2:背中

症例2:胸部

ヘルペスウイルスは、ヘルペスウイルス科として9種類存在します。
一般的には、口唇ヘルペスを引き起こす単純ヘルペスウイルス(HSV)と、いわゆる「胴巻き」といわれる帯状疱疹を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の2種類を「ヘルペス」と呼ぶことが多いです。
この2つのウイルスはとてもよく似ており、両方とも、一度感染すると一生涯、体の中に潜んでいて、免疫力が落ちたときに症状が出てきます。
しかし、HSVとVZVは別のウイルスであり、治療法も異なりますので、分けて考える必要があります。

HSV感染症として、口唇ヘルペス(口の周りにできるヘルペス)と性器ヘルペス(陰部にできるヘルペス)が有名であり、どちらも体の疲れなどにより症状(小さい水ぶくれ)を頻回に繰り返しやすいという特徴があります。
病変部を直接触れることにより他の人にうつしてしまうことがあります。
治療は、抗ウイルス薬内服/外用が一般的に行われます。

VZV感染症として、水痘(水ぼうそう)と帯状疱疹があります。
水痘(水ぼうそう)はウイルスが初めて感染した時に発症するもので、一生に1回経験するものです。
従来は子供に多い病気でした。
しかし、最近は水痘ワクチンが定期接種化されたため、ワクチン接種により水痘(水ぼうそう)の発生が激減しています。
水痘(水ぼうそう)は、麻疹(はしか)、結核とともに空気感染しますので、水痘(水ぼうそう)と診断された方は隔離が必要です。

一方、帯状疱疹は、60歳以上の方に発症しやすいもので、体の半分(片側)に神経に沿って帯状に痛みをともなう皮疹や水疱が出ます。
症状には個人差がありますが、体の一部にチクチク、あるいはピリピリとした痛みを感じることから始まり、やがてそこに紅斑(赤い発疹)ができ、続いて水疱ができて破れ、皮膚がただれ、かさぶたができます。
その間も、痛みが続きます。

無痛や軽い痛みで済む方もいますが、強い痛みを感じることが多く、夜に眠れないほどの痛みに悩まされる方もいます。
適切に治療を行っても、痛みだけ残る後遺症(帯状疱疹後神経痛)に移行することもあります。

帯状疱疹は、通常、病変部を直接触らない限りはうつりません。
さらに、帯状疱疹から別の方に帯状疱疹としてうつることはなく、水痘(水ぼうそう)としてうつることがありますので、水痘(水ぼうそう)になったことのない小さいお子さんには接触に注意が必要です。
一度、帯状疱疹にかかると、強い免疫が誘導されるため、頻回に繰り返すことはありません。
最近、帯状疱疹(VZV)ワクチンを50歳以上の方に使用することができるようになりました。
しかし、保険適用外で、さらに施行できる方に制限があります。
単純ヘルペス(HSV)に対するワクチンは現時点ではありません。
帯状疱疹の治療は、抗ウイルス薬内服をおこないますが、重症例には入院して、点滴を行います。


興味のある方は、分かりやすい古東整形外科のサイトでもご確認下さい

当院では、今までも何人もの疑いのある患者さまを近隣の病院へ紹介させて頂きました

「脇が痛い」
「背中が痛い」
「胸の下が痛い」
「ももの裏が痛い」
「耳の裏が痛い」

痛みの場所はさまざまでした

一見すると、腰や首のヘルニアなどの原因による神経痛と思ってしまうような患者さまも少なくありません

鑑別は慎重に行っています

帯状疱疹の多くの患者さまには、痛みに沿って発疹(水疱)が見られます

そうなれば、疑いは濃厚となります

しかし、今までに数件、全く発疹(水疱)がないにもかかわらず、症状や経緯が明らかに帯状疱疹を疑うに足ることを訴えているという症例に出会っています

当然、紹介した病院では「発疹(水疱)が無いから問題ない」「単なる神経痛」と言われシップなどの処方のみとなります

そんな中、ある納得のいかなかった患者さまが数件病院を巡り、ある病院で「発疹(水疱)のない帯状疱疹はある」と言われ、精密な血液検査を行った結果、やはり帯状疱疹と診断され、帯状疱疹の薬を処方してもらえたそうです

その後、痛みなどの症状は治まったそうです

発疹(水疱)が無かったものの症状の怪しい患者さまを2名程、後日その病院に紹介させて頂きましたが、いずれも帯状疱疹と診断され早期の治療が可能となりました

特にこのような発疹(水疱)のないケースの場合、適切な治療を受けられずにその後『帯状疱疹後神経痛』という痛みに悩まされる方も少なくありません。

帯状疱疹後神経痛とは、帯状疱疹の発疹(水疱)が消失し、帯状疱疹が治癒した後も続く痛みのことです。

帯状疱疹の合併症としては最も頻度が高く、3ヵ月後で7~25%、6ヵ月後で5~13%の人が発症しているという報告もあります。

代表的な症状は、一定の時間で刺すような痛みを繰り返すといったものです。
ほかにも、ひりひり、チカチカ、ズキズキ、締めつけられる、電気が走る、と表現されるような痛みを感じることがあります。
感覚が鈍くなる状態(感覚鈍麻)や、触れるだけで痛みを感じる状態(アロディニア)もよく見られます。
他にも皮疹が出現する前に起こる「前駆痛」、皮疹が出現しているときに起こる「急性帯状疱疹痛」があります。


「あまりの痛みに耐えかねて自殺する人もいる」と言われるほどの痛みになることもあり、注意が必要です

そこまでの痛みになってしまった場合は、投薬による痛みのコントロールは必須になりますが、そこまでの痛みでない場合には、投薬と鍼灸治療が適応です

WHO(世界保健機構)の適応疾患としても認められています

そうなる前の「帯状疱疹」の段階でしっかり投薬による症状の抑え込みがとても大切であり、早期診断・早期治療が重要です

原因の不明な痛みに襲われた場合には、このようなケースもあることを知っておくことが重要です


【 人間を賢くし人間を偉大にするものは、
過去の経験ではなく、未来に対する期待である。
なぜならば、期待をもつ人間は、
何歳になっても勉強するからである。 】
― バーナード・ショー ―
(アイルランドの劇作家、ノーベル文学賞受賞)

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