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学力を伸ばしたいなら、国語力を伸ばそう その3

2018年08月30日 | 国語力アップ

国語力はすべての教科のベースとなるものです。

子どもの国語力をなんとかしようという目標を立てたとしても、

どのようにしたら国語力は上げられるの?

いろいろ問題集を買って

  子どもにやらせてみてはみたものの、

ちっとも国語力が伸びないし、  

子どもは最初は喜んでやっていたけれども、

だんだんいやがって  

まったく問題集も途中で放り出してしまって、

という経験をされた人も多いのではないでしょうか。

 


実は、国語力を上げるには、少なくとも1年、


長くて、2、3年単位で周到な準備と訓練が必要です。

国語力を向上させるには、子どもの資質にもよりますが、

かなり時間がかかりますし、なかなかの我慢比べになります。

 

正しい方法で、一定期間こつこつと続ければ、

必ず力はついてくるものです。

要はあきらめないことが一番大切です。

そして、子どもに合わせた指導をすることが最も重要です。



さて、具体的なお話に入っていきます。

国語の文章題には大きく分けて、物語や詩などの文学作品と、

論理的な展開を持った説明文の二種類があるのはご存知ですね。

今回は、物語や詩の読解に対して

どのようにアプローチするかについてお話しします。

 

まず、国語力のないお子さんは、

字面しか読めません。内容を読むというよりは、

一字一句、逐語(ちくご)読みしかできません。

逐語読みとは、語句を一語一語読んでいるのですが、

ちっとも内容をとらえられないのです。

木を見て森を見ずという状態です。

 

 

このお話を一度読んでごらん、それから

内容を教えてください。とお話のプリントを

お渡しします。さて、

「今読んだ文章にどんなことが書かれていた?」と聞いても、

しどろもどろです。

ちっとも話の流れを理解していません。

ですから、自分の言葉でまとめろと言われても、

登場人物の記憶さえできず、うまくまとめられません。

 

どうも読書というのは、記憶と大いに関わりがあるように

思われます。いわば、短期記憶を司る海馬(かいば)に

たった今、読んだ内容が入っているかどうかなのです。

 

どんなに記憶力のある人でも、A4サイズの原稿で

1〜2枚ほどの物語を、一回読んだくらいでは

一字一句を完全には再現はできません。

それは、大人でも難しいことです。

 

しかし内容さえ把握していれば、その物語のだいたいを

自分の言葉で、かいつまんでまとめられるはずです。

残念ながら、国語力のないお子さんは、それができません。

 

物語というのは、複雑なものは時間が行き来したりしますが、

ほとんどの物語は、時系列で進んでいきます。

そういう意味では、物語というのは、単純です。

しかし、登場人物の関係や、主人公の心情は

物語の進み方でどんどん変わります。

物語の面白さは、そこにあります。

事件が起こるたびに、主人公の心情は嵐の中を漕ぎだした舟のように

大きく揺れます。そして、登場人物の心も大きく揺らぎます。

その大きな揺らぎがあるからこそ、物語は楽しいのです。

そこに面白みがある訳です。

しかし、残念ながら、国語力のないお子さんにとって、

その心情の変化を理解することが至難の業なのです。

例えば、次のお話を読んでください。

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山本次郎は小学5年生。小学1年生のときに父が死んでからは

義理の祖母と、母親とまだ小さい弟二人との5人家族だった。

母親は、父がいないために家計を支えるために家では内職をし、

土日は近くの八百屋で働いていた。しかし5人もの家族を支えるに十分な

蓄えもなく、日々の家計は大変苦しかった。

 いつもよりも暑い夏はあっという間に過ぎ去り、朝晩は涼しい風がそよぎ、

秋の気配が漂っていた。

「もう、運動会はあさってだね。おばあちゃんも見に行くから、

かけっこ、がんばりよ。次郎」

「うん、でも、おばあちゃん」

「なんだい、次郎」

おばあちゃんは内職の手を止め、顔を上げ次郎をみつめた。

「なんでもない・・・」

次郎は、何かを隠そうとしていた。

「何をかくしたんだい」

「う、うん」

「バレーシューズだね、後ろに隠したのは」

「この前から、ちっちゃくなってしまって、穴があいたんだ」

「そうかい、次郎も最近ずいぶん大きくなってきたものね」

「どれ、見せてみな」

次郎はすこしためらいがちに、破けた方のバレーシューズを祖母に渡した。

「あの、おばあちゃん、あ・・・」

そういうが早いか、祖母は、穴のあいたシューズの寸法をはかって

白い端切れを和ばさみで切っていた。

「靴下でも、靴でもなんでも繕って履いたもんさ」

そういいながら、祖母は手際よく穴を繕った。

次郎はその言葉に面食らったが、勇気を出して

自分の気持ちをいうことにした。

「みんな、新しいのを履いてくるんだよ。おばあちゃん」

「わかってるさ、でも我慢しておくれ」

② 次郎の目から涙がひつしずく流れた。

③ 母の方を見ると、母もミシンを踏みながら涙を流していた。

次郎は、母が何か言ってくれるのではと期待したが、

母の踏むミシンの音だけが鳴り続けた。 © YANO塾 このブログのために創作しました。

 

① の行で、二郎は本当は何をいいたかったのですか。

② の行で 二郎はなぜ涙を流したのですか。

 

③ の行で 母はなぜ涙を流したのですか。

  また母親はなぜ二郎に言葉をかけてくれなかったのですか。

 

上記の問題は、大人なら、その心情はだれでも

理解できるのですが、国語力のない小学生にとっては

むずかしいのです。

 

上記の問題の前振りとして、

この家族が貧困であるという事実があります。

貧困そのものを理解していないと、登場人物の言動や行動を

理解するのは難しいのです。ましては物があふれている現在

まずバレエシューズを買ってもらえない小学生がいることは

信じられないと思います。しかし、賢いお子さんは

そこは想像力でカバーします。

 

 

その想像力が国語の読解力の決め手なのです。

 

もし、①〜③の問題に正解できないのなら、

やはり貧困という言葉の意味を教え、

貧困が当たり前の時代があったことや、現在でもそういう世帯が

あるということも教えてあげなくては正解に至らないでしょう。

 

いろんな本を読むことで貧しさ、貧困、裕福、その先にある幸福に

ついて考えることができるのです。想像力(イマジネーション)とは

読書によって培った文章を読み取る力の源泉なのです。

 

この想像力をつけるように

言葉の意味をしっかり考え、

日々想像力を育ててください。

YANO塾でもそのようにして

国語力を伸ばしています。

 

次回は説明文・論説文の読解力をつけるにはです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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