*殻便*[カ・ラ・ダ・ヨ・リ]*2004-2005

コリアン・ディアスポラ・アーティスト Yangjah の日々の旅をおすそわけ。

冬眠入り

2004-11-11 | ひびのたび
呼吸が浅い

ずっと寝不足がつづいていた

電車に揺られたり、歯科の診察台で待っていると、

いつでも夢心地



揺れる、揺れる

自分の中に海がある

その波と呼吸をあわせる

呼吸が深くなる



立冬が過ぎて

またあたたかくなった

今日は雨

作業の前に昼寝をと

目覚ましもなしに

眠る



電話に起こされて

外を見るとそんなには暗くない

でももう時計の時間は夕方



冬眠の時期がそろそろ始まったみたい

新ユニット[hao pong] 初ミーティング

2004-11-10 | ひびのたび
きのうは[hao pong]初ミーティングのために京都へ。
[hao pong]はアーティスト好好みつことYangjahの新しいユニットなのです。

今年の6月にふたりでバリ島へ旅し、日本に帰ったらふたり展をしようと言っていたのだけれど、帰国後は(再入国後?!)は新しい暮らしにそれぞればたばたして実現しなかったのでした。

今回兵庫・芦屋のギャラリーa-space newnewさんのお誘いで12月に「冬のギフトサロン」に出展することに。
ちょうどいい機会なので、ふたりの念願のユニット結成も一緒にする運びになったのでした。

好好みつこは実はわたしの妹ちゃん。
わたしは3姉妹。
両親は太陽のような子どもたちになるようにと
「陽子、明子、光子」と名付けてくれた。
まるでワイルドスワンの世界?!
(ちなみに朝鮮語読みなのは今はわたしだけ)
こけしみたいに愛らしいみっちゃんです。
彼女は羊毛や布、紙などいろんな素材を使って作品を作ります。
そしてわたしの良きアドバイザー。
彼女のパートナー伊藤典晃くんも意欲的にアーティストとして活動しています。

[hao pong]のきのうのミーティング・コースは
京阪出町柳駅で集合
糺の森でランチ(みっちゃんの手作りお弁当)
散歩しながら雑貨やさん巡り
鹿ヶ谷のMANIAC STARでデザートタイム
京都市役所前まで歩いて、お好み焼きの風月で夕ご飯。

そうです、ミーティング デートだったのです。

じっとして話してもいいアイデアは浮かんでこない、
動いて浮かんでくるものを大切に!が
遊牧民の血を引くわたしたちのモットー。(ほんまかな?)

そうなのです、素晴らしいアイデアが浮かんできたのです。
12月乞うご期待。(ほんまかな?)

写真はカフェ MANIAC STARにて、研究熱心な好好みつこさん。


水たまり

2004-11-08 | ひびのたび
からだのなかの
水の存在を忘れがち
きれいな水も汚れた水も
放っておくと
濁っていく

溜まりに溜まって
飽和する

泣く
叫ぶ
もがく

いったん蛇口をひねると
止めることはできない

どんなことばにも
どんな風景にも

水たまりが枯れるまで

水を循環させる
そうするしかない








人ともめた

怒りと悔しさが
涙の栓をひねる

とめどなく
あふれる

それでも
いつかは
飽きたのか
枯れる

そして
なぜかさっきよりも
すっきりした顔になる
笑っている

すると突然
ケンカの相手のことが気になり出す

自分が悪かったとは思わない

それでも
彼の残り少ないここでの時間を
台無しにしてしまったような
罪悪感が影をかすめる

彼は外国にいるのだ
私のように
母語で話をきいてもらえる仲間は
ここにはいない

彼がピアノを弾く
音が彼のことば
わたしの方にも届く

気まずい空気を感じながらも
彼と同じ空間に身を置いてみる
少しずつなじんでいくように

他の人たちのほとんどは
ふたりの溝を知らない
そしてふたりはそれぞれ皆と大笑いする
ふたりの間にまっすぐな言葉の行き来はない

ただ帰り際に
「もう行くね 日本での残りの時間を楽しんでね」
と声をかけると
あたたかい瞳で
抱きしめてくれた

わたしの中の水たまりは
静かな湖
大荒れの潮
穏やかな小川
打ちつける滝
いつも変化する

人を巻き込むことも
たまにはいいのかもしれない

水たまりを循環するために









初オーディション

2004-11-07 | Performance
今日はAIHALL workshop&performanceのオーディションに行って来た。

とはいってもその振付家の笠井叡さんの公演も一度も観たこともなかったわたし。
ただ、いつもすごいなと憧れを抱いている花嵐のメンバーが皆、
「笠井さんのワークショップはいいよ!!!」
と言ってたのがなぜかずっと心に残っていたのだ。
そして、振付にはいい印象がなく、いつも即興のパフォーマンスをしているわたしは、
「振付っていったい何?」
と疑問に感じ続けていた。

さぶくなると冬眠に向かうわたしにはちょうどいい企画では?と応募を心に決めていたが、わたしの良き相談役の末っ子の妹(彼女もアーティスト、好好みつこさん)になにげなく口にしたところ、「え?」と驚かれてしまった。

「集団行動が苦手やのに、無理せんとマイペースでいいやん。さぶい時は冬眠しな、こころとからだのバランス崩すで!」との直球に「その通り!」とうなずいたわたし。

それでもやっぱりなんとなくこころにひっかかっていた。

それでこの前一緒にパフォーマンスをした美晴ちゃんにも相談したところ、
「とりあえずオーディションだけでも受けてみたら。」との一言に
「それもそうだ。」とまたまた納得したわたし。(主体性がないみたいやね)

というか走り出したら止まらないわたしの気質を自分でもわかっているので、充電する時期も大切だとやっと実感している今日このごろ。

それでもとりあえず応募用紙だけは送り、その後も揺れに揺れ、なんとか今日のオーディションは受けに行った。

笠井さんがどんな人なのかという好奇心だけを頼りに。



初めてのオーディション。
緊張よりも、好奇心が先立つ。
ちょうど知り合いのダンサーも数名来ていて、なんだかますますわくわくしてきた。
トイレに行くと、オーディションが行われる部屋で笠井さんが前屈して頭を垂れている姿が目に入った。笠井さんでも緊張しはるのかな?



そしてオーディション本番。

まずは笠井さんが今回のワークショップとパフォーマンス公演についてお話をされた。
「振付を振り付ける」というテーマに至った経緯(笠井さん自身のダンス経験など)の話を聞いて、想像していたよりも飾り気のない素直な人なんだなと好印象を受けた。
「彗星の先端にいつもなりたい」という言葉が印象的だった。

かるく体ほぐしをした後、「今の自分の状態を即興で踊る」。


そして、笠井さんがその場でつくった振付を皆で踊る。
まずは笠井さんについて踊り、次に笠井さんなしで踊る。
踊ってないはずの笠井さんがまるで本当にいるかのようにその姿を意識しながら。

「記憶をたどらない」
「いつも彗星の先端になる」
「外から動きが流れてくる」

今まで自分が避け、苦手とし、嫌悪していた振付とはなにかが違うらしい。
この時点で、もし受かったら参加しようと決意した。


次に、即興で内からの踊り。

過去に「あーなんであんなことしたんだろ?」と後悔する現在の自分の動きと
「終わったことなんて関係ないさ」とただ今を生きて未来に向かう自分の動きを
交互にするというもの。

一回目はそれぞれ自由なスピードで、笠井さんの合図で交互に踊ればよかったが、
二回目にはそれぞれ一定のスピードで,かつ合図で交互にと言われ、戸惑った。


最後には「地球最後の3分間」という踊りを、ひとりひとりが皆の前で踊る。

死に対して人は拒絶感や恐れを抱くけれど、もし最後の瞬間もこころから開き直り楽しめたら、実は死なないのかもしれないという話をしてくれた。
「彗星の先端になる」というのはそういうことなのかなと思う。

希望者から踊るので、早くしてしまいたいのだが、なんだかためらってしまう。
結局4番目くらいに踊る。(全部で16、7人いたのかな?)

短い時間なのでなんだか思いきり集中して、すぐには呼吸が戻らずインタビューにもむせてしまった。とほほ。
それでも合格通知がもらえ(なんと即答で返事がもらえるシステムだった!)さっきの決意の通り、参加を決めた。

いろんな人が踊るのを見て、笠井さんとのインタビューを聞いて、
やっぱりダンスはいいなあと実感。
からだはまっすぐにその人の情熱をあらわす。

笠井さんは真剣にそれぞれのダンスを観て、ひとりひとりと向き合い、ダンスへの想い、自分のからだ、ワークショップや公演について質疑応答を丁寧に行った。
そしてほとんどの人がオーディションを通過した。ひとりひとりが合格の言葉を受ける度、こころが温かくなった。

振付だけでなくオーディションへの偏見もくつがえされ、すかっとした一日だった。



Jump photo 2

2004-11-06 | ひびのたび
きのうはフランスから来たイタリア人アーティスト、クラウディアが写真撮影のためうちにやったきた。九条山ヴィラ
彼女もモデルになるので、日本人のフォトグラファーに撮影を依頼している。
だがきのうは彼が本業でいそがしいらしく、急きょ、アトリエ仲間の中村文博くんに撮影を依頼。彼もフォトグラファーで、自分の作品の撮影の他、舞台の撮影もしている。大阪アーツアポリア

昼間は中崎町に住む友人のところに撮影に行ったのだが、身ぶり手ぶりでの撮影だったそうだ。
ふふふ、どんなんやってんやろ?

夕方、まずは中村くんがうちにやって来て、夕ごはん(キムチポックム)を食べた後、クラウディアを駅に迎えに。
彼女は制作の打ち合わせ後だったらしく、なんだか大興奮気味。
ビール持参でやってきた。(日本語発音で「ビール、ビール!」と連発。)

まずは日本でそれまでに撮った'jump photo'を見せてもらい、だんだん具体的になってきた彼女のアイデアを聞く。
「7時のビールタイムがかなり押してしまった!」と言いながらも熱弁になり、ビールなんてそっちのけ。わたしはずっと大笑い。

いざ撮影になるとやっぱり迷う。
どんな風にジャンプすればいいのか、どんなイメージを生み出せばいいのか、どんな表情をすればいいのか???
「どうしたらいいの?」と助けを求めると、中村くんは一言、「自然にしたらいいよ!」
うーん。

クラウディアが求める作品になったかどうかは???

彼女いわく、「20代は何をすべきか、どうしたらいいのかともんもんとしてたけど、30代はアーティストとしても本格的に動き出す最高の時期だわ。」
勇気づけられる。

かなりつかれてナチュラルハイになってた彼女は、お互いが70、80代になって電話でジャンプフォトのこと覚えてる?と話す様子を一人芝居してくれた。(笑)

とりあえず試しにとった写真を。ストロボの脚が写ってるから変ね。
対照的な存在のふたりがおもしろい。
陰と陽だね。