*殻便*[カ・ラ・ダ・ヨ・リ]*2004-2005

コリアン・ディアスポラ・アーティスト Yangjah の日々の旅をおすそわけ。

てしごと

2004-11-30 | ひびのたび
おとつい、きのうは[hao pong]の共同制作日。

相棒のみっちゃんが京都から来阪。
庭師をしている友達からおすそわけしてもらった材料を手に遠くからきてくれた。

a-space newnewでのグループ展の搬入展示日は来月の13日だけど、みっちゃんは他にも制作しなくてはいけないし、わたしもパフォーマンスがあるしで、ちょっと早めの制作をすることに。
ドタンバじゃないなんてめずらしい!?

お互いが大切にしていること、
いいなと感じるもの、
そういうものたちをあ・うんの呼吸でわかりあえるので、仕事がはかどる。
変な気遣いをしなくてもいいから。

そのかわり姉妹だからこそ、
ナアナアの関係にならないように
心配りをしなくてはいけないんだろうなあ。

ふたりで部屋にこもって制作する。
(何をつくったのかは、展覧会での乞うご期待!)
とにかくひたすら手をうごかす。
(口も!?)

ふと思い出した写真があった。

たぶん中東の地域で女性たちが土壁でできた部屋でパンをこねている写真。
とても美しい空気が流れていた。
目をひくような色彩はまったくない。
皆が床に座ってシンプルな手作業をしている。
どこか修道院のような雰囲気まで漂ってたともいえるかもしれない。
もっと素朴な感じで、暮らしの中に人と一緒にてしごとをする豊かさがあふれている写真だった。
ただただうらやましいと感じた。

夢中になる時、
太陽の照りつけるような情熱で動く時と
月がしんと輝く夜のように静かな意志で動く時がある。

どちらも欠かせない。

だからこそ、カラダで表現することだけではなく、手を動かしてモノが生まれてくる瞬間とも共にある生き方を選んでいるのだろうな。
そうすることで少しは自分のバランスをとることができるみたい。

オ・ド・リ・マ・ス

2004-11-25 | Performance
2004年12月11日(土)
18:30開演 18:00開場

卓道Me You House 月例ライブその4

福本卓道(尺八)
サカキマンゴー(イリンバ)
はくさん(ディジュリドゥー)

Yangjah(舞踏)
miki lyn taylor(舞踏)


お代1800円(予約)2000円(当日)(1ドリンク付き)
1000円(極貧の方要事前承認)

古本喫茶 伽羅3F「MeYouHouse」
大阪市北区中津1-13-10

予約 takudoo@d1.dion.ne.jp
詳しくは http://www.d1.dion.ne.jp/~takudoo/syousoku.htm

「カピウソ工房」版画教室

2004-11-24 | ひびのたび
きのうは大正区のブリコラージュへ。
「カピウソ工房」の宮本一さんと市居みかさんの「一日木版画教室」に行ってきた。

葉書大の作品を一日で完成させるとあってドキドキ。

「カピウソ工房」のおふたりの作品はそれぞれの個性が素敵で、どこで見ても「あっ!」っとうれしくなるものたち。

10時から始まり、まずは
其の1、下絵を描く。 宿題だったけれど、木版画向きの絵はどんなのがいいかよくわからなかったので(言い訳?!)即興で描く。

其の2、下絵を版木に映す。

其の3、その上に色をのせる。

ここまで終わるとランチタイム。

そうです。たった3行程でもかなり大変なのです。夢中になるけどね。

 
お昼ごはんはギャラリーの方がつくってくださいました。
肉じゃがに五目ひじき、さっぱり野菜の酢の物(?)、たくあん、野菜たっぷりのみそ汁、そしてごはん。ほんわかおいしかったです!


そしてお昼の行程へ。
みんなお腹いっぱいおねむモード。
それでも夢中にすすめていきます。

其の4、彫り

其の5、仮刷り

其の6、本刷り(多色刷りもどき!?)


彫りはとにかく彫っていくのみ!
テーブルが低いと、腰の強いわたしもさすがに腰痛に。
無駄な力が入ってるんやろうなあ。
それでも同じテーブルの北村さんにお借りした上等な彫刻刀はかなり彫りやすく、助かりました。(帰りには分けていただきました。感謝!!!)

なによりも以外にむつかしいことを発見したのは、刷りです!!!
紙の質、絵具と水の量、のせ方が絶妙のバランスなのです。
修行しなくては!

6時すぎまでひたすら版画一色の世界でした。
ひさしぶりに集中して、ぐったり。
帰りの自転車で、腰痛はすぐ治りましたが。やっぱり股関節を動かすのみ!

彫刻刀もいただいたし、また彫リます!刷ります!

今日の写真は、彫りの説明をしてくれる宮もっちゃんです。
するっするっと彫っていくのです、すごい!!!

『その名にちなんで』

2004-11-20 | ひびのたび
うつくしい「流れ」の小説にであった。
ジュンパ・ラヒリの『その名にちなんで』

今までにであったマイノリティー(ここではディアスポラという意味)をなんらかのカタチでテーマにあつかった作品に、わたしのこころの琴線に触れるものはなく残念な想いを抱いていた。そんなわたしのこころの霧を晴れやかにしてくれた作品である。

この作品では、名前がキーワードになっている。
世界中に存在する少数派の民族にとって、「名前」はなんらかの意味を持つ。
主人公のゴーゴリは著者と同じベンガル系のアメリカ人。両親がインドから移民してきたのだ。彼自身はアメリカ生まれのアメリカ人。
そんな彼は名前を変える。

わたし自身が19歳4か月ごろ、名前を変えた。

理屈っぽい大人たちの言いなりになって、民族名に変えるのは嫌だった。
なにかが違うと直感が静かに主張していたから。
18年以上もつきあってきた日本名と、民族名(パスポートや外国人登録などの公的な氏名は生まれた時から民族名)の両方を日常生活の中で使おうと試してみたこともあった。
もうなんだか面倒になってきた。
なによりも昔から、自分の日本名の「音」が好きではなかった。
名前の響きはわたしのからだに直接届く。

わたしが19歳の終わりに日本を飛び出しタイで1年を暮らした時、アフリカ系アメリカ人の男性に出逢った。一般的なアメリカ名を生まれた時から持つ彼は、30代からモロッコ、ネパール、タイと様々な地域で暮らしていた。わたしが最近名前を変えたという話にいたく感心していた。そして数年前、彼も名前を正式に変え、次はアフリカのギニアで暮らしはじめた。彼の名前はアフリカ名ではない。彼が夢の中でみた名前。彼自身がオーナーの本屋さんの店名でもある。

小説に話を戻す。
1世、2世間のギャップの描写が自分の体験と重なって微笑みがもれた。(私は3世だが)
例えば、ゴーゴリの実家でパーティが開かれる時は、母が数日前から料理を仕込み、友人をこころおきなくもてなす。
それに対して、ゴーゴリーが付き合ったアメリカ人の彼女の家に招待された時、シンプルな接待といつものままの食事に驚く。心地よく驚く。何の飾りも力みもしていない家族たち。
私が日本で感じることも似ているかもしれない。
とはいっても生まれ育った場所ではない韓国でももちろんギャップを感じる。

ゴーゴリが結婚した相手は、ひとりでパリに暮らしていた時がいちばん自由だったという。
その感覚はわかる。
アメリカではアメリカ人になりきれなく、ベンガルではベンガル人になりきれなく。
わたしも20代は自分の暮らしていく場所を探すのに必死だった。
外国を旅したり暮らしてきたのも、今思えば楽しんでいうよりは、自分の全存在を賭けていたかもしれない。今はもう疲れから一種の明るいあきらめが生まれたので、以前よりは生きやすくなったけれど。
ボヘミアンのような生き方を否定する必要はない。
浮き草のようでもいい。
毎日が旅なのには変わりはないから。



ジュンパ・ラヒリの作品については
ジュンパ・ラヒリ作品のページ
『その名にちなんで』ジュンパ・ラヒリさんに聞く

初「樸木」さん

2004-11-19 | ひびのたび
きのうは奈良の「樸木(アラキ)」さんへ行ってきました。
ずっと行きたかったお店。
わたしが大学を卒業してすぐに友だちと箕面で町屋カフェをするきっかけになったお店、大正区のカフェ「チャイ工房」ではじめて食べた「樸木」さんのパン。
法隆寺のほうでパンやさんとカフェをしているとはうわさには聞いていたけどなかなか行けないままでした。

8周年を区切りに法隆寺近くの田舎に小屋を建て、去る11月3日に移転オープンしたそうです。
「樸木」さんの姉妹は、わたしの両親のお店「金剛園」の設計もしてくれた「北村建築研究工房」のおふたりとその仲間たちと一緒に今回のお店をつくりました。
自家製天然酵母パン・ケーキ ベジタリアンごはんの店なのです。

きのうは母と京都に住む妹の3人で行こうと計画していたのですが、
前日に樸木さんに問い合わせてみると、JR法隆寺駅からバスがあるらしいが、お客さんはみな車で来るとのこと。バスの時刻表を調べてみると、1時間に2本あっていいほう。駅から歩くと40分はかかるそうで、道の説明はことばではできないそう。とほほ。

しかし!!!
ちょうど出発15分前に、父が車で一緒に行くと言ってくれたのです。わあい!母とふたり大喜び!
雨の日の外出は出かけるまでがとても憂鬱だったのです。

ちょうどお昼ごろ到着。
青い屋根のかわいい小屋。
外にはパン釜が。
横は田んぼと畑。
ちょうど土壁に空いた窓から、田んぼと大きな木がのぞき見できるのです。

「樸木」のロゴマークは友達の版画作家市居みかちゃんの作品。大きなパンを手にバンザイをする小人(?)さんと麦穂が彫られたまあるい作品です。なんだか大地のエネルギーがパンのいい香りとともに押し寄せてきそうな版画ですよ。

わたしたち家族は「玄米菜食セット」3人前と、「豆カレーセット」一人前を注文しました。
肉食動物(魚食?)の父もグルテンカツをもくもくと食べてましたよ。


デザートにハーブティ、カボチャのタルト、豆乳のティラミスを女三人でいただきました。
どれもほっぺがおちそうにおいしくて、しあわせな心地が中からむくむく湧きあがってくるような味なのです。

2時頃には建築家の北村さんたちが来るということで、自分たちの家のごとくくつろがせてもらいました。薪ストーブの調子を見に来てくれるとのこと。
その日は電気カーペットをあたためてくれていたので、ぬくぬくでした。

北村さんたちが到着するとますます大興奮のわたしたち。
それまで女性パワーに圧倒され、人見知りモードに入っていた父まで、北村さんを目にすると饒舌に変身!

みんなでシフォンケーキなどをいただき、これ以上のしあわせがあるかな!?

北村さんがすぐに調子のよくなった薪ストーブに火をつけてくれると一気にお店の中はあったかくなりました。

結局4時間以上もゆっくりさせてもらったのでした。

今度は天気のいい日に行けるといいな。



今回の写真は、樸木の「玄米菜食ランチ」です。
いちばん気に入ったのは、さつまいもとモチキビのグラタンです。
ほっとする味ですよ。