からだのなかの
水の存在を忘れがち
きれいな水も汚れた水も
放っておくと
濁っていく
溜まりに溜まって
飽和する
泣く
叫ぶ
もがく
いったん蛇口をひねると
止めることはできない
どんなことばにも
どんな風景にも
水たまりが枯れるまで
水を循環させる
そうするしかない
人ともめた
怒りと悔しさが
涙の栓をひねる
とめどなく
あふれる
それでも
いつかは
飽きたのか
枯れる
そして
なぜかさっきよりも
すっきりした顔になる
笑っている
すると突然
ケンカの相手のことが気になり出す
自分が悪かったとは思わない
それでも
彼の残り少ないここでの時間を
台無しにしてしまったような
罪悪感が影をかすめる
彼は外国にいるのだ
私のように
母語で話をきいてもらえる仲間は
ここにはいない
彼がピアノを弾く
音が彼のことば
わたしの方にも届く
気まずい空気を感じながらも
彼と同じ空間に身を置いてみる
少しずつなじんでいくように
他の人たちのほとんどは
ふたりの溝を知らない
そしてふたりはそれぞれ皆と大笑いする
ふたりの間にまっすぐな言葉の行き来はない
ただ帰り際に
「もう行くね 日本での残りの時間を楽しんでね」
と声をかけると
あたたかい瞳で
抱きしめてくれた
わたしの中の水たまりは
静かな湖
大荒れの潮
穏やかな小川
打ちつける滝
いつも変化する
人を巻き込むことも
たまにはいいのかもしれない
水たまりを循環するために
水の存在を忘れがち
きれいな水も汚れた水も
放っておくと
濁っていく
溜まりに溜まって
飽和する
泣く
叫ぶ
もがく
いったん蛇口をひねると
止めることはできない
どんなことばにも
どんな風景にも
水たまりが枯れるまで
水を循環させる
そうするしかない
人ともめた
怒りと悔しさが
涙の栓をひねる
とめどなく
あふれる
それでも
いつかは
飽きたのか
枯れる
そして
なぜかさっきよりも
すっきりした顔になる
笑っている
すると突然
ケンカの相手のことが気になり出す
自分が悪かったとは思わない
それでも
彼の残り少ないここでの時間を
台無しにしてしまったような
罪悪感が影をかすめる
彼は外国にいるのだ
私のように
母語で話をきいてもらえる仲間は
ここにはいない
彼がピアノを弾く
音が彼のことば
わたしの方にも届く
気まずい空気を感じながらも
彼と同じ空間に身を置いてみる
少しずつなじんでいくように
他の人たちのほとんどは
ふたりの溝を知らない
そしてふたりはそれぞれ皆と大笑いする
ふたりの間にまっすぐな言葉の行き来はない
ただ帰り際に
「もう行くね 日本での残りの時間を楽しんでね」
と声をかけると
あたたかい瞳で
抱きしめてくれた
わたしの中の水たまりは
静かな湖
大荒れの潮
穏やかな小川
打ちつける滝
いつも変化する
人を巻き込むことも
たまにはいいのかもしれない
水たまりを循環するために